私は日本に生まれ育った、在日韓国人三世ですが、過去に約三年間韓国で暮らしたことがあります。そのとき、日本語の講師の仕事をしていたのですが、ある日、教え子の男性が私を食事に招待してくれました。私を日本語で接待したいというのです。いわば、自らの日本語の実力試しです。
大通りで彼は、タクシーを止めて言います。「先生、タクシーにお乗りください。」タクシーの中でも、いろいろと話しかけます。韓国料理のお店の前で、タクシーを止めました。「先生、到着しました。お降りください。」お店に入ります。「先生、私たちの食事のために、予約しておきました。こちらへどうぞ。」ここまでは完璧な日本語です。テーブルの前で雑談をしていると、料理が出てきました。「先生、料理が来ました。食べなさい。」
彼はなぜ、私に食べなさいと言ったのでしょうか。それは、食べなさいと言う言葉を目上の人に対する尊敬語であると思い込んでいたからです。これはほほえましい例ですが、思い込みというのは、時に取り返しのつかない大損失をもたらします。今日は神様の祝福を妨げる、三つの思い込みというテーマでお話ししたいと思います。
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最近、田中角栄ブームなんだそうです。小学校しか出ていない彼が、持ち前のバイタリティーと行動力で並みいる官僚を使いこなし、日本の一時代を築き上げたことは偉業といえることでしょう。
とろろが少年時代の角栄氏には、一つ大きなコンプレックスがありました。いわゆる、吃音だったのです。しかもジフテリアの後遺症で詰まるようにしか話せなくなったため、一生治らないと思い込んでいたのです。悲惨なのは、それを上級生たちから徹底的にからかわれたことでした。
ある日のこと、母親に頼まれて電球を買いに行った帰り道、例の上級生の集団に出くわしたのです。ひどい言葉でからかわれた角栄少年は、怒りに任せて、買ったばかりの電球を木にぶっつけ、そして大きな声で何かを言い返したのです。その時彼は、ふと気がついたのです。
「今自分は少しも詰まらずに言い返すことができたぞ。そうかこれは治せるぞ。」と考えるようになったのです。
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イギリスが生んだ人気作家にサマセット・モームという人がいます。彼の作品はどれもこれも文章がわかりやすくて、ストーリー性があって、今でも読み継がれているんですね。
ところがはじめはなかなか売れなかったそうです。あるとき彼は名案を思いつきました。ロンドン中の新聞に結婚相手を求むという広告を打ったんです。その広告の文章は次のようなものでした。「私はスポーツと音楽を好み、教養を備え、温和にして若さ十分の億万長者です。私の望む結婚相手はずばり、サマセット・モームの最新刊の小説に登場するヒロインとそっくりな魅力的な女性であることです。
この広告の効果は絶大でした。いったいモームの小説に出てくる、究極の理想の女性とはどんな人なんだろうと、人々は書店に殺到し、彼の本は見る見るうちにベルトセラーになったというんです。モームはユーモアたっぷりの広告文を打って出たのは、一にも二にも、自分の作品に対する愛情です。この小説は読めば必ず読者を虜にするだけの魅力があると固く信じていたんですね。彼の作品への愛着が小説をベストセラーにする起爆剤となっていたのです。
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先日、私はイスラエルに行ってきました。この国は何度行っても本当に不思議な、魅力のある国です。今から二千年前にイエス・キリストが実際に歩かれた道や、見ておられた山や湖が、そのまま現実として目の前に存在している国なんですね。
イエス・キリストの存在は、歴史的な事実です。聖書以外の文献にも、イエスの名前は登場します。それらによると、このかたには不思議な力があり、民衆の心をひきつけた。どういうわけか十字架にかけられ、死にます。しかし、その墓は存在していません。その後、イエスの弟子といわれる人たちが、イエスはよみがえった、人間は死んで終わりではない、イエスを信じるものには永遠のいのちがあるという、いわゆる福音を命がけで言い広め始めるんです。そして、瞬く間にユダヤ地方からローマ社会にまで広がっていきます。
弟子達は、イエスが十字架にかけられたとき、見捨てて逃げ出した人たちです。その彼らがなぜ、イエスの死後わずか二ヶ月足らずでこのように豹変したのか。謎です。
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おはようございます。高原剛一郎です。
今から60数年前、アメリカハリウッド映画に「聖衣」という作品がありました。聖なる衣と書いて「聖衣」です。これはイエス・キリストが十字架にかかる直前まで身に着けていた上着のことなのです。
この映画を作製するために、二千人以上のエキストラが集められました。当時はコンピュータグラフィックの技術がまだありませんから、何から何まで、実写する以外にありません。それで二千人以上のエキストラに、二千年前のローマ時代の衣装を身に着けさせて、撮影したんです。しかし、撮影前に助監督が高台に立って、念入りにチェックする必要があったのです。というのは、着ている衣装はローマ時代のものなのですが、着ている人々は現代のアメリカ人だったからです。それで助監督はスピーカーで指摘するんですね。
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