あるとき、母からこんな話を聞きました。「今まで生きてきた中でねえ、一番辛かったのは、待ちに待った赤ちゃんを、二度、流産してしまったこと」。そういった母の顔は、いつもの陽気な大阪のおばちゃんの顔ではありませんでした。一番辛かったのは、母の心の中にあるんだなあ、ということを、幼心に知った瞬間です。後にも先にも、聞いたのはこの時だけだったと記憶しています。
この世界にある苦しみや悲しみの中で、最も大きなダメージを与えるものは、やはり死ではないかと思います。愛するものの死、これは強烈な痛みになります。
小学生のときのことです、近所のお祭りで、ヒヨコ釣りをしていたんです。糸の先に餌をつけ、ヒヨコを釣り上げるんです。私はかわいらしいヒヨコを一匹、手に入れました。母は大反対したんですが、持って帰ってきたものは捨てるわけには行きません。生まれて初めて飼った生き物でした。毎日、学校から帰ってヒヨコを散歩させるんです。私の後ろをついてチョコチョコ走るかわいさは、たまりませんでした。しかし、一週間くらい経ったある日、学校から戻ると、ヒヨコがぐったりしているんですね。そして、あっという間に死んでしまいました。……(全文を読む787)
イギリスの歴史の中で名君の誉れが高い、エリザベス1世という女王は、晩年、議会との対立に苦しみました。彼女はそれまでのみずからの過ちを認め、宮殿に集まった下院議員たちに次のように語りかけたんです。「神が私を高い地位につけられたけれども、あなた方の愛情を得て統治してきたということこそ、わたしの王冠の栄光である、と考えています。」これは後に、黄金の演説と言われる、伝説のスピーチなんですね。この語りかけによって、女王は、議員はもとより一般国民との和解を見事に果たすのです。人々の心が動いたのは、女王がみずから非を認め、なおかつ支えてきてくれた人々に感謝したからです。私たちは女王や国王ではありませんけれども、それでも、多くの人々の友情や協力があったので、今までやってこれたのではないかな、と思うんですね。そしてその背後に、私たちに多くのよきものを与えて生かして下さった神がおられるのです。この神のことば、聖書の中に、次のように書いてあります。……(全文を読む791)
わたしはこの冬、ニュージーランドという国に行きました。 行って吃驚したことがいくつかあるんです。まず、南風が冷たいという事です。日本では北風が冷たくて、南風は暖かいのが普通なのですが、ニュージーランドでは南極に近い南からの風こそは冷たいのです。さらに夜空を見上げてびっくりしました。なんとオリオン座が引っくり返っているではありませんか。星座の形が北半球で見るのと180度逆向きなんですね。しかし、もっとびっくりしたことがあります。実は私はある少年と仲良しになっていろいろお話が弾んだんですが、好きな生き物の話になった時、彼はなんといっても蛇が好きだ。大きくなったらニシキヘビを飼って一緒にベットで眠りたいというんです。じつは私は蛇が大嫌いなんですね。そこで思わず「変わってるなあ。」と言うと、彼は言いました。「誰と比べて?」これには参りましたね。思いがけない返しであったからです。いったい誰と比べて彼の趣味が変わっていたのでしょう。私、高原剛一郎の基準に照らし合わせると変わっているんですね。しかし私が人類のスタンダードであるはずがありません。人間の基準となるのは人間をお造りになった神の言葉だけなんです。さて今日はこの神の基準である聖書の中からキリストの言葉をご紹介致しましょう。……(全文を読む790)
さて先日、ラジオの長寿番組「全国こども電話相談室」が半世紀の歴史に幕を降ろしました。こどもは大人が想像もしないことを訊いてくるので、百戦錬磨の回答者もしばしば詰まることがあったそうです。たとえば、「反省の色って何色ですか?」「おじさんは何歳からおじさんですか?」「ヘビはどこからしっぽですか?」なかなかとっさに答えられませんね。ちなみにヘビのしっぽは、ヘビの肛門から先の部分なんだそうです。
ところでこどもの質問の中には、人生の本質をついてくるものがいくつもあったそうです。「人生って何ですか?」「人間はなんのために生まれてきたんですか?」そういう質問が何度も寄せられたというんです。それに対して、サイエンスプロデューサーの杉本優子さんという方は「私もまた、人生って何かなってずっと考え続けています。」と回答なさいました。また科学ジャーナリストの中村浩美さんは「それを探していくのが人生だと思います。」と答えてらっしゃいます。科学のいろんな難問に答えることはできても、人間が何のために生まれてきたのか、それを説明することは難しいんですね。……(全文を読む789)
子どもの頃面白がって読んだ本の一つに『ガリバー旅行記』がありました。難破して流れ着いたのは小人の国です。大火事になった宮殿をガリバーが放尿して消すところなど、大笑いして読んだことを覚えています。
ところで、ガリバー旅行記はもともと子ども向けの他愛ない童話などではなく、当時のイギリス社会を皮肉った痛烈な文明批判の書物なのです。あるときガリバーは不死の人たちの住む国へ行くんです。そこに住む人々は永遠に死なないんですね。そんなことを住民から聞いたガリバーは心底羨ましいと思います。例えば200才まで生きたら貯金も貯まるし、知識も増える。その結果、凡人であっても大金持ち、大学者になれそうだと期待するんです。
しかし、彼が見た現実はそんな生易しいものではありませんでした。何百才も生きてると歯も髪の毛もなくなります。手当たり次第食べるんですが食欲があるわけではない、味が分かるわけでもない、ただ食べているだけなのです。本を読んでも一つの文章の前の方は忘れてしまうので結局読んだ事にはなりません。なんでも忘れてしまうのです。人の名前はもちろんの事、自分の名前さえもです。しかも病気になりあっちこっちひどく痛むのですが死ぬわけではない。そこでガリバーは言うんです。「こんな不快な人間は見たことがない。」しかも彼の見る所、女性は男性よりさらにひどいのです。普通の不快さに加えて、他に何とも言えない鬼気迫るものを発散してるではありませんか。……(全文を読む788)
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