ごきげんいかがですか。高原剛一郎です。
ところで、落語家の春風亭柳昇さんは、講座にあがるとよくこう切り出していました。「え～私、春風亭柳昇と申します。大きなことを言うようですが、今我が国において春風亭柳昇は私一人でございます。」ワンパターンの切り出しですね。
でもよくよく考えると、深いなとも思うんですね。世の中に七十七億人もの人間がいますけれど、この私は私以外ひとりもいない、私だけが私である。
神は究極の希少価値を持つ者として、私達一人一人を造ってくださったということに繋がるのではないかと思うからです。今日もあなたの造り主である神の言葉、聖書からメッセージをお伝えしましょう。
聖書にこういう言葉があります。
今私が肉において生きているいのちは、私を愛し、私のためにご自分を与えてくださった、神の御子に対する信仰によるのです。
ここから三つのポイントでお話します。
キリストを通して神につながる
第一に、イエス・キリストは神の御子であるということです。
この手紙を書いたパウロは、宗教の開祖としてではなく、万物の創造主と同じ本質の神のひとり子として、イエス・キリストを信じたのです。その信仰が彼に永遠のいのちを与えたのです。
ところで今年の一月、歴史作家の半藤一利さんが九十歳で亡くなられました。昭和の戦争について、たくさんの著作がある歴史家です。ところでそんな半藤さんに、異色の作品が一つあるんですね。『漱石先生ぞな、もし』というエッセイの本で、これは夏目漱石に関する百以上ものエピソードを書いたものなのです。なんでこんなこと知ってるのというくらい、漱石についての意外な話が満載なんですね。
ところで彼がこの本を書けたのはなぜでしょう。実は彼の奥さんが、夏目漱石の孫なんです。それで彼女を通して、他の誰もがアクセスできない漱石資料に直接あたることができたんです。孫という身内を通して、大作家に繋がれたことが決定的なことでした。
それと同じように、私達は神の御子を通して父なる神ご自身に繋がることができるんです。イエス・キリストは神から離れてすっかり神がわからなくなっている人間に、神とはどういう方であるかを示すために来られた救い主なのです。
ありのままで愛されている
第二に、パウロはキリストは自分を愛してくださってることを信じて、いのちを得たのでした。
ところで一般的に世の中で多くの人に愛されている人ってのは、美しい人、賢い人、能力に溢れている人。一言で言ったらすごい人です。すごい人にはすごい人気が集まります。みんなから求められ、称賛され、応援してもらえます。
ではそのような人気者やすごい人は、たくさんの人からたくさんの愛を受けて心は平安に満ちているんでしょうか。実はそうとは限らないんですね。人気者の人であればあるほど、その人気がいつまで続くかを心配して、気が気でないものなのです。というのは、人間の愛や世間の評価というのは、一瞬でひっくり返るからです。一瞬でひっくり返るものを目当てに生きていくというのは、実に危険なことなんですね。最後は絶望で終わることが多いからです。
しかし神の愛は決して変わりません。あなたが良いときも、悪いときも、あなたが成功しているときも、失敗したときも、神はそんなことには全く影響されずに、一貫した愛であなたを愛してくださる方です。
あなたが神を呪っているときですら、あなたを愛することを止めることができない方です。あなたは神の愛を繋ぎとめておくために、神の顔色を伺う必要が全くありません。神はあなたがおべっかを使う必要がない方なのです。人の心の奥底までも見通してる方の前に、演技する必要はありません。つまり、あなたはありのままのあなた自身で神に愛していただいているのです。
伊澤記念男牧師
第三に、キリストは私達を罪の結果である永遠の地獄から救うために、ご自分を捨てて十字架のうえで身代わりに死んでくださった方だということです。
むかし、福島浜通り出身の牧師に伊澤記念男さんという方がおられました。彼は小児麻痺で生まれたため、言語障害や歩行が困難で、前世の因縁の重圧に押しつぶされるように生きていました。見るに見かねたご両親はお寺に彼を預け、悟りを開いてもらおうと思ったのですが、その修業生活は返って因果応報の考えを強化するものとなってしまったのです。
彼はとうとう自分の人生を憎むだけではなく、この人生を生きる羽目を作った両親をも憎むようになり、絶望をしながら寺を出て家に戻るのです。そしてその日の夜、彼は真夜中に自宅を放火し、家族もろとも自分の人生を終わらせようとするのです。ところが火の勢いがあまりにも凄まじく、恐くなった彼は思わず地面を這うようにして家を出たとき、溝にはまって泥から抜け出すことができなくなってしまいます。幸い家族も早くに気づき、「火事だ！火事だ！」と叫びました。近所の人々や消防隊が駆けつけ、次から次へと貴重品や家具を持ち出していったのです。
あなたのために死なれた方
ところがその中で母親だけが半狂乱になりながら、「記念男！記念男はどこなの！」と探していたのです。家が焼け落ちる直前まで、火の粉をかぶりながら我が子を探し続けていました。ついに家が崩落します。しかし彼女は諦めず、もしや自力で外へ出てくれたかもしれないと考え、家の周りを目を皿のようにして探し続け、そしてとうとう溝の中にはまっている伊澤さんを見つけ出したんです。溝の中に降りていって、泥まみれの彼をしっかりと抱きとめてこう言ったそうです。「記念男、母さんのために生きておくれ」伊澤さんは絶望の中で生きる意味を新しく発見したのです。私をここまで愛している人のために生きてみよう。
キリストはあなたを愛し、あなたの罪を洗い流すために、ご自分を十字架のうえで与えてくださったのです。この方こそはあなたの罪を許し、あなたに天国の国籍を与え、あなたに新しく生きる意味を与える神の御子です。
どうぞ、あなたのために死んでくださった方、墓に葬られた方、そして3日目によみがえられたイエス・キリストをご自分の救い主として、信じ受け入れてください。心からおすすめいたします。
（ガラテヤ2：20）
