#1182 覚醒させられる人生

メッセンジャー似顔絵

ごきげんいかがですか。三綿直人です。

さて、2022年もあと1ヶ月と少しですね。今年のプロ野球、パシフィックリーグを開幕前にもかかわらず、随分盛り上げたのは、日本ハムファイターズの新監督となった新庄剛志さんですよね。監督ではない、BIGBOSSと呼んでくれ、とか、先発メンバーは、日替わりで、などなどユニークな手腕で話題を呼んでおられました。21歳8ヶ月での4番先発出場は、阪神タイガースの球団記録ですし、日本人初の野手メジャーリーガーもイチローさんでもなく、松井さんでもなく、新庄さんなんだそうですね。そんな新庄さんも阪神タイガースの新人時代、なかなか打てずスランプに陥っていたそうです。それで、いろんな人にアドバイスをもらうのですが、自分のバッティングを覚醒させてくれた人について話しています。覚醒という言葉の意味は、辞書によれば、「迷いから覚めること」「自分の非に気づくこと」とあります。新庄さんのバッティングを覚醒させた人、誰だと思いますか?バッティングコーチではありません。監督でもないんです。なんと、球場のグランド整備員さんなんだそうですね。「どうして自分は打てなくなったと思いますか?」と聞いた新庄選手に、整備員さんは答えたそうです。「野球のことはよくわからないんですが、バッターボックスの新庄さんの背番号が最近は5ではなく、2に見えるんですよね」。
新庄選手は、そのコメントで、自分の背中が丸まっていること、ボールを迎えにいってしまっていたのだということに気づき、胸を張ってボールをぎりぎりまで呼び込むようにすると、その日の試合で2打席連続ホームランを打てたんだと言うんです。自分のバッティングを覚醒させてくれたのは、グランド整備員さん、というのが新庄さんらしいですよね。
覚醒する、って幸いだと思います。今日は、聖書の中で、キリストによって人生を覚醒させられた人に注目して考えてみましょう。まず、聖書を一箇所お読みします。ルカの福音書5章8節です。

これを見たシモン・ペテロは、イエスの足もとにひれ伏して言った。「主よ、私から離れてください。私は罪深い人間ですから。」

これは、ペテロとキリストの会話です。私は罪深い人間です、とペテロは自分の非を認めていますね。そうです。彼は、ここでキリストに覚醒させられたんです。この聖書の箇所から、私たちの人生が覚醒させられるために、ということで、三つのポイントで考えてみましょう。

人間の力を超えた圧倒的な力との出会い

まず、一つ目のポイントは、人間の力を超えた圧倒的な力との出会いを通して、です。どんな時にペテロは、覚醒したのでしょう。「これを見たシモン・ペテロは、」とあります。これ、とはなんでしょう。目の前にある、大漁の魚だったんです。前の晩、全く捕れなかったペテロ。キリストに網を下ろしてみなさいと言われて、昼間に魚なんか捕れるわけがないと思いつつ、網を下ろしたところ、ペテロのこれまでの経験では考えられない、圧倒的な数の魚が捕れたんです。ペテロは、漁師でした。しかも、ただの漁師ではなく、漁師が相談に行く漁師、漁師を取りまとめる漁師、網元の漁師なんですね。漁については、人間の力の最高峰であるペテロ、と言うこともできるでしょう。そのペテロが見たこともない大漁の魚を見て、人間の力を超えた、キリストの圧倒的な力を見たんです。
ところで、なぜ勉強しなければならないか?と子どもに聞かれた時の答えに賢人たちが色々と答えています。将来の選択肢を増やすため、と言うのが最もいいね!とされている答えのようです。しかし私は思います。人間の持てる力で何かを極めた時に、人間の力を超える力がわかるために勉強するのではないか、と。一流と呼ばれる人たちは謙虚な人が多いように思います。なぜなら、突き詰めて学ぶと、人間にはわからないことが多いと言うことがわかるからではないでしょうか。先日、『科学者はなぜ神を信じるのか』という本をいただき読んでみました。面白いタイトルですよね。日本人からしたら、『科学者はなぜ神を信じないのか』、と言うタイトルの方がしっくりくるでしょう。しかしこの本の著者は、歴史における科学者を丹念に調べ、科学者が神を見出すことが多いということについて事実を並べています。面白い本でした。この世界の超絶技巧の仕組みを研究もしないで、神が造ったと言うのは子ども、しかしこの世界の超絶技巧の仕組みを研究した上で、科学者はこれは神業だと認める人が多い、と言うのです。宇宙を、地球を、人間の体の仕組みを細かく勉強すれば、人間の力を超えた圧倒的な力をそこに見るのではないでしょうか。皆さんも、自分の得意分野で真剣に何かを学び、極めるなら、その分野で、キリストはあなたに人間の力を超えた圧倒的な力を示してくださるでしょう。ペテロは、キリストの圧倒的な力を見て、覚醒したんです。

人間の思いを超えた圧倒的な恵みとの出会い

二つ目のポイントは、人間の思いを超えた圧倒的な恵みを通して、です。
実は、ペテロはキリストが網を下ろせと言うので、イヤイヤ降ろしたんですね。なぜわかるのでしょう。キリストが網を下ろしなさい、と言った網は、複数形が使われています。キリストはペテロが持っている網、全部を下ろしなさい、大漁に捕れるから、と言っておられたんですが、ペテロは疲れていました。徹夜仕事の後です。やっと網を洗い終わって、もう早く寝たいと思っていたところです。ですが、キリストが網を下ろせと言う。ので、ペテロは網を一つだけ下ろしたんです。網を下ろしてみましょう、とペテロが言った網は、単数形が使われているんですね。キリストを心から信じて網を下ろしたのではなく、表面上、従っただけだったんです。しかし、それなのに、大漁に捕れたんです。ペテロは驚きました。
私たちは多くを投資すれば多くのリターンを得る、多大な努力をすれば報われる、という世界に生きています。自分を信じず、表面上だけ従う人を、師匠と呼ばれる人は可愛がるでしょうか。少ししか投資しないのに多額のリターンを得ることはできるでしょうか。努力しないのに、得ることなんてできるでしょうか。しかし、キリストは、ペテロが半分疑いながら、面倒くさがりながら、網を下ろしたにもかかわらず、大漁の魚を与えたのです。この大漁の魚は、ペテロの努力の報酬ではなく、ただキリストから与えられた恵みでした。ペテロは驚きました。キリストの豊かな心に触れて、キリストの大きな恵みに出会って、覚醒したのです。

使命との出会い

三つ目のポイントは、使命との出会いです。続きのルカの5章10節にはこうあります。

イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間を捕るようになるのです。」

 ここで、キリストは、ペテロに使命を与えました。魚ではなく、人間を捕るようになる、と言うのです。魚を捕るよりも、人間の心をつかみ、捕らえることのようが難しいことです。しかし、キリストはペテロにそのような使命を与えました。三浦綾子さんという作家は、使命について、「命を使う」と書いて使命と説明されています。今、空前の健康ブームです。多くの人が、健康が最も大切だと考えています。確かに健康は大切ですが、何のために健康でいるのかは、もっと大切ではないでしょうか。あなたは自分の命を守るために生きていますか。それとも、使うために生きていますか。命とお金の共通点は、貯めることが大切なのではなく、使い道が大切だと言うことです。ペテロはキリストに出会って、使命と出会いました。何のために生きるのかがわかったのです。私は最近思うようになりました。人から認められるために生きるよりも、自分が認める人のために生きる方が良い、人から愛されるよりも、愛する人のために生きる方が幸いである、と。
あなたも圧倒的な力、圧倒的な恵み、そして自分の使命と出会うなら、覚醒させられます。そして、力も恵みも使命も、一人の方イエス・キリストから与えられるのです。ぜひ、あなたも聖書を通して、イエス・キリストに出会ってください。心からお勧めします。


使用CDジャケット
向日かおり:目覚めよと呼ぶ声がする

今日のみことば
これを見たシモン・ペテロは、イエスの足もとにひれ伏して言った。「主よ、私から離れてください。私は罪深い人間ですから。」シモンの仲間の、ゼべダイの子ヤコブやヨハネも同じであった。イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間を捕るようになるのです。」
(ルカ5:8,10)