#1099 あわれみ深い父なる神

メッセンジャー似顔絵

ごきげんいかがですか。高原剛一郎です。

さて先日,私はこんなショートストーリーを読んだんです。クラスメイトがこう言った「昨日、ペットを捨てて来た。」「えぇ!何処に?」「駅前のスーパー。」「お前、捨てるくらいだったら誰かに引き取ってもらえよ!」「あんな物、誰も引き取ってくれないよ。だらか、スーパーの前のペット処理器の中に入れて潰してきたんだよ。」半分、怒りながら話していた彼はようやく気が付いたんですね。友人が言っていた『ペット』とは愛玩動物のことではなくペットボトルのことだったのです。同じ言葉でも意味がまるで変わってしまうということがよくありますよね。
ところで、そんな言葉の一つに『神』があると私は思っています。一般に私たちが神と言う時、それは『人間が作った神々』宗教の神を連想することが多いでしょう。しかし、聖書が語る神は『人間を造った神』なのです。人が作った神ではありません。人を造った作者を聖書は神と呼んでいるのです。
この神を聖書は別の言葉に置き換えて紹介しているところがあります。今日はその聖書の箇所をまずお読みしましょう。

私たちの主イエス・キリストの父である神、あわれみ深い父、あらゆる慰めに満ちた神がほめたたえられますように。

ここから、3つのポイントで聖書の語る神をご紹介しましょう。

創造主はあなたのパトロン

第1に、創造主はあわれみ深い父と呼ばれている方です。
この父という言葉はギリシア語でパテラスと言います。ラテン語ではパテルと言います。スペイン語ではパードレって言うんですね。このパテラス、パテルという言葉から生まれた言葉がパトロンなんです。パトロンというのは支援者、後援者、賛助者、奨励者、財政的なサポートをするスポンサーのことです。
古今東西、偉大な作品を生み出したアーティストにはパトロンがついていましたね。芸術家が創作活動に専念できるために彼らの生活全般の面倒を丸ごと見た人のことをパトロンと言います。そして、このパトロンの支援なくして作家は偉大な作品を生み出すことはできなかったでしょう。仮に、できたとしてもパトロンの人脈なしにその作品が脚光を浴びるということは難しかったに違いありません。その意味で偉大な作品というのは作家とパトロンの共同作品ということもできるのです。
ところで、神はあなたのパトロンなのです。あなたが生きていくために必要な一切の物を無料で与えて生かしてくださっている方です。水も空気も太陽も人が生物的に生きていくのに欠かせない物って基本的には全部タダですよね。それらを整えて提供してくださった創造主がおられるのです。
神があなたに与えたのはそれだけではありません。あなたの体、あなたの中に眠っている才能、あなたの大切な人達も神が造られたものなのです。創造主こそはあなたに対してあわれみ深いパトロン、あわれみ深い父なる神なのです。

凶悪犯の家族の共通点

第2に、この父なる神はあらゆる慰めに満ちた神と呼ばれています。
ところで教育学や心理学の世界では、健全な人生のためには健全な自己像を持つことが大切だとよく言われています。自分なんてどうでも良い存在だと強く思い込んでいるとチャンスが来ても見逃してしまいますし、あらゆる事を否定的に深読みして、そして、やぶれかぶれの人生を送ることが多いと言われているのです。
FBIの捜査官ロバート・レスラーという人は、凶悪犯の家族にはいくつか共通点があると指摘しています。犯罪を犯した人が12歳になる以前に父親が家族を捨てて出て行ってしまっているか、或いは、18歳以前に本人が家を出て行った、そういう人の割合が非常に高いというのです。多感な少年時代に一家の中心である父親、あるいは、その役割を果たす人物から認められず、励まされず、慰めを受けず、愛されないで過ごした場合、その少年の精神構造と世界観に大きな負の影響を残すというのです。

神は慰めに満ちたメンター

孤独な少年時代を過ごした全ての子供が犯罪者になるのではありません。しかし、犯罪を起こしてしまった多くの子供は孤独な少年時代を過ごしていることが多いと言っているのです。そこで、イギリスではテロや犯罪に走った若者たちに対して、単に罰を与えるだけではなくメンタリングというアプローチを行なっています。このメンタリング、これはメンターによるアプローチなんですね。
メンターというのは良き指導者、助言者という意味です。再発防止のために良き助言者あるいは良き指導者がその少年と一対一になって向き合い、親身になって寄り添い、相手の少年に気づきを与えていくプログラムなのです。ただ一方的に命令したり叱りつけたりするのではありません。人生を良き方向に向かって歩き出して行くために、どこで間違ったのかを本人が気づいていくように促したり、励ましたり、慰めたり、勇気づけする人と共に時間を過ごすということなのです。
神はあなたに対してあらゆる慰めに満ちた方です。あなたに人生の目的を与え、あなたに価値があることを宣言し、あなたにやり直しのチャンスを与える全能者なのです。

キリストとの出会いという転換点

第3に、この方はイエス・キリストの父なる神です。
神は罪だらけの私たち人間がありのままで立ち返ることができるためにイエス・キリストをあなたにプレゼントしてくださいました。人の心の真実はその人の言葉よりもその人の態度や行動で立証できるものです。神はあなたを愛している方です。その愛が口先だけのものではなく真実な愛であることは何によって信じることができるでしょう。神があなたのためにイエス・キリストをこの世界に送ってくださった事実によってです。キリストはあなたの罪の全責任をあなたに代わって背負い十字架の上で裁かれてくださいました。
アメリカのトランプ前大統領政権の住宅長官を務めた人にベン・カーソンというドクターがいました。彼は世界で初めてシャム双生児の分離手術に成功した人です。彼はデトロイトのスラム街で生まれ育ったのでした。少年時代、両親は離婚し家の中は荒んでいました。愛される経験を持たない彼は一度怒りに火がつくと抑えることができませんでした。ある時、カッとなって喧嘩相手の腹をナイフで刺してしまうのです。ところが運よくナイフは相手のベルトのバックルに当たって折れたため相手は怪我がありませんでした。
こんなことを繰り返していては人生はダメになると思った彼は教会に通い出すのです。そしてそこで、人間の怒りも罪も全てを引き受けた上で赦しの執りなしを捧げたキリストと出会ったのでした。これが彼のターニングポイントでした。彼は自分の人生を全く新しくすることができる方が今も生きておられて、自分に聖書を通して語っておられるということを信じたのです。
どうぞ、あなたもあなたのために十字架で死に、三日目によみがえられたキリストを信じて、創造主なる父なる神のもとに立ち返ってください。心からお勧めします。


使用CDジャケット
岩渕まこと:父の涙

今日のみことば
私たちの主イエス・キリストの父である神、あわれみ深い父、あらゆる慰めに満ちた神がほめたたえられますように。
(2コリント1:3)