#1202 見ないで信じる幸い

メッセンジャー似顔絵

ごきげんいかがですか。三綿直人です。

私は今、話題のChatGPTにはまっています。グーグルを恐れさせているというChatGPTは、OpenAIという会社が開発したAIチャットサービスで、専門家が答えてくれるように、また良き相談相手のように、いろんな質問に対話型で答えてくれるんです。
そこで「再起物語で有名なものを教えてください」と聞いてみると、「ピーターラビット」と返ってきました。イギリスでは子どもに最初に読み聞かせる絵本として、最も親しまれているのがピーターラビットだそうですが、主人公ピーターは冒険の中で何度も失敗します。しかしその失敗や困難を乗り越え、自力で自分の家に戻ることができた、失敗から学び、自分自身の力や能力を最大限活用して再起を果たすことが大切だと教えている、というんですね。他にも映画ロッキーを大成功させたシルヴェスター・スタローンは脚本を書いたが、要請した俳優が誰もオファーを受けてくれなかったため、自分で出演し大成功を収めた。誰が助けてくれなくても、自分の力を信じて、挑戦することが大切だ、という話もしてくれました。確かに自分の力を信じ、再び立ち上がって行く再起物語は、感動的で素晴らしいですね。
聖書にも再起物語が多く記録されていますが、それは自分の力ではなく、キリストによって再び立ち上がることのできた人々の記録である、と言えるでしょう。聖書が一般的な再起物語と違う点は、自分の力でどうすることもできないことにぶつかったとき、キリストによって再び立ち上がることができる、と語っている点です。あなた自身に力が無くても、キリストに力があるから大丈夫だと、聖書は語っているのです。今日は未来と希望を失い、心が完全に折れてしまっていたトマスという男が、キリストに出会って再び立ち上がった聖書のシーンからメッセージをお届けしましょう。
ヨハネの福音書20章29節にこんなことばが書いてあります。

イエスは彼に言われた。「あなたはわたしを見たから信じたのですか。見ないで信じる人たちは幸いです。」

今日はこの箇所から、「見ないで信じる幸い」とタイトルをつけて3つのポイントでお話しします。

考えて信じる

まず1つ目のポイントは、見ないで信じるとは、考えないで信じるではない、ということです。先ほどお読みした聖書のことばは、キリストが復活した日から8日後、トマスに出会ったときのキリストのことばです。トマスは他の10人の弟子たちが、「復活のキリストにお会いした」といくら言っても信じませんでした。他の弟子たちは、キリストが復活した初日にキリストに出会っていたんですが、そのときトマスは一緒にいなかったんです。彼は他の弟子の言うことは信じないで、「自分の指と手を、キリストの十字架の釘の跡に入れてみないと信じない」と言っていたんです。そのトマスにキリストは、実際に現れて、彼が信じることができるように、確かな根拠をトマスに与えたんです。
聖書は何も考えずに、根拠なしで信じよ、とは言いません。信じることができない人が求めれば、キリストはその人に信じることができるよう、根拠を与えてくださる方です。見ないで信じるとは、考えもなし、根拠もなしで盲信することではありません。クリスチャンとはよく考え、根拠を求め、根拠をいただいて、信じている人たちなんです。

本質を見る

2つ目のポイントは、見ないで信じるというのは、現象だけではなく、本質を見るということです。先日ある所で聖書のお話が終わった後、質問を受けました。「神がいるなら、今どうして奇跡を起こさないんだ?キリストが今も生きているなら、昔5千人の人々をパンで満たしたように、今、飢餓問題を奇跡で解決すればいいじゃないか」とおっしゃるんですね。よく考えてくださっている、素晴らしい質問だと思いました。
私はその方にこんなお話をしました。私の友人がJR東海に勤めていて、リニア新幹線の試験走行に招待してくれたことがあります。「時速500キロを体感してください」と言うんです。実際に乗せてもらったんですが、ほとんどトンネルの中を走っていることもあり正直、車内のスピード計が500を示すので500キロなのだろうと思うくらいで、からだが激しく揺れたり、押し付けられたりすることはありませんでした。その技術者の友人に感想を聞かれたので、正直に「500キロを体感することはできませんでした」と答えると、「試験走行は成功ですね」と言うんです。「時速500キロを感じさせないように設計され、素晴らしい技術に裏打ちされて、それが可能になるんです」というんですね。ところで、地球は時速11万キロで公転していますが、だれもそのスピードを体感していません。リニア新幹線以上のすごい技術が、そこにあると思いませんか?私たち素人は、時速500キロという現象に目を留めますが、技術者たちはその本質、土台である技術に目を留めてるんですね。
養老孟司さんの本に『いちばん大事なこと』というのがありますが、その中で「起こった事だけをつないだ歴史は、何かが起こらないようにするために日常的に払われている努力を無視している」という一節があります。私は本当にそうだなぁと思います。リニア新幹線という現象だけを見て「すごいな」というのではなく、その背後に設計者、技術者の存在と努力があることに目を留めるのは、成熟した人間ではないでしょうか。地球が自転しながら公転していること、毎日規則正しく太陽が昇り、星が輝くこと。この素晴らしい現象の背後に、これをお造りになった神がおられるのです。「私はこの地球やいのちの素晴らしさを見るとき、現象だけではなく本質を、表層的なものだけではなく土台に目を留めたいと思っています。そしてあなたにも、何も起こらないための努力、何も起こらないという奇跡があることに目を留めて欲しいんです」とお伝えしたんです。

復活の意味

3つ目のポイントは、復活の意味についてお話ししましょう。トマスは復活のキリストに出会いました。キリストが彼の人生を再び立ち上がらせる力となったんです。復活のことを英語でresurrectionと言います。最初のreは「再び」という意味です。surrectというのは「立ち上がる」という意味です。つまりresurrectionというのは「再び立ち上がる」というのが本来の意味なんです。トマスは再び立ち上がりました。キリストが再び立ち上がられたからです。自分で頑張ったのではなく、キリストが死を打ち破り、再び立ち上がられたので、彼は生きる勇気と希望をいただいたんです。お笑い芸人でタレントでもある岡村隆史さんが、精神的に追い込まれてお仕事を休んでいたことがありました。
その岡村さんを再び立ち上がらせたのは、彼が尊敬してやまない俳優の高倉健さんだったんです。ダメな自分を覚えてくれていて励ましてくれたその手紙に、高倉健さん自身の挫折と、再び立ち上がることができた経緯が書いてあったというんです。「勇気と力をもらった」と岡村さんは言っています。キリストは、復活を信じなかったトマスのところに来てくださり、声をかけ、励まされました。あなたが今キリストを信じていなくても、キリストはあなたの罪のために十字架にかかり、償いを終え復活されました。人が死んでも、再び立ち上がることができることを証明してくださったのです。この救い主、キリストを信じるなら、あなたも死を打ち破り、再び立ち上がることができると聖書は約束しています。
復活のキリストによって力が与えられるのです。誰も、死を経験して、今生きている人はいません。死後は誰にも見えませんが、キリストは私を復活させてくださると、見ないで信じる幸いがあるのです。
あなたも復活のキリストに出会えば、再び立ち上がることができるのです。心からお勧めいたします。


使用CDジャケット
ノア:信じます

今日のみことば
イエスは彼に言われた。「あなたはわたしを見たから信じたのですか。見ないで信じる人たちは幸いです。」
(ヨハネ20:29)