#1148 診断、治療それに続く祝福

メッセンジャー似顔絵

ごきげんいかがですか。那須清志です。

新型コロナウイルスの騒動に巻き込まれて2年以上経ちました。これまでは何とか守られてきたのですが、オミクロン株の感染力は凄まじいものです。私も家族のうちに陽性者が出て、1週間の自主隔離期間を過ごしました。家族の一部は職場への報告のためにPCR検査を受けましたが、結果が出るまではドキドキです。自分の体でありながら、自分では判断できないのです。無症状でも感染が有り得るとなればなおさら厄介です。結局、家庭内感染は起こらなかったので感謝でしたが、陽性者の方々の大変さを少し味わうこととなりました。
 さて、病気を判断する「検査キット」なるものがありますが、これらは肉体に関わるものです。聖書は魂の状態を判断する「検査キット」みたいだと言えるかもしれません。聖書の前に立つと、人間の内面を探らされます。聖書は心を映す鏡と言った人もいます。次のような、聖書のことばがあります。

しかし、私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死なれたことによって、神は私たちに対するご自分の愛を明らかにしておられます。

 今日もここから三つのポイントで考えていきましょう。

聖書から見た魂の診断結果

第一に「聖書から見た魂の診断結果」です。
 完全な義を持つ神の基準から見ると、残念ながら人間の魂の状況はよくないです。ここでは「罪人」と表現されています。但し、ここでいう罪人とは、警察沙汰になる、裁判を受けるようなという社会的な犯罪と言うよりは、「神から離れてしまった状態」のことを表す聖書の独特な表現です。ある意味で、聖書ほど人間の素晴らしさや尊厳を語っているものはありません。だからこそ、聖書に影響を受けた文化を持つ国々では人権意識が高まり、命の大切さを強調しているのです。ところが、その素晴らしいものとして造られた人間が神から離れ、魂の親である神を無視したところから大きな問題が生じました。その人間の状態を「罪人」と表現しています。
 検査をし、肉体に異常があることがわかると、私たちは通告されます。再検査してくださいとか治療してください、などです。それは私たちを責めるためではありません。良くなってもらうためのアドバイスで、私たちの体を思っての勧めなのです。聖書が人間を罪人として喚起するのは、責めるためでも脅すためでもありません。自分の罪の中で滅びてしまい、永遠の祝福を受けることができなくなってしまう人間に対する同情の勧告なのです。

神が用意した治療法

第二に「神が用意した治療法」です。
 神は、人間の不完全さを指摘するだけでなく、そこからの回復についてアドバイスされました。それは、私たちが何かをするというのではなく、神の用意した治療法を私たちが採用するということです。その治療法の鍵となるのがイエスキリストの十字架と復活です。
 アメリカ海軍にシールズと呼ばれる特殊部隊があります。肉体的にも精神的にもトップレベルの軍人たちで、約半年の訓練課程を耐え抜ける者は志願者の20%を切ると言われるほどのエリート集団です。
その部隊の一人、マイケル・モンスーアは2006年にイラクに派遣され、イラク軍兵士の訓練と反乱軍との戦闘に従事しました。半年ほどたち、他のシールズ隊員やイラク兵と共に建物の屋上にいたとき、反乱軍が手りゅう弾を投げ込んできました。モンスーアは素早く手りゅう弾を体で押し隠し、爆発を自分の体で吸収したのです。まわりの仲間たちは傷を負ったものの命を失うことはありませんでした。モンスーアはそこで受けた傷が原因で30分後に亡くなりました。まさに、身代わりの死を遂げたのです。モンスーアのことを良く知る人は、彼のことを「静かなプロフェッショナル」とか「楽しいことが大好きな男」と形容しています。
 一方、イエスは神からこの地上に遣わされました。究極の目的は人類の罪を背負って、罪の身代わりの死を遂げるというものでした。旧約聖書のイザヤ書では「彼は私たちの背きのために刺され…」と預言されましたが、実際は十字架の上で、釘で刺し貫かれるという激しい痛みを経験したのです。また「その打ち傷のゆえに私たちは癒された」という預言もありますが、イエスの傷がなければ人類の救いはありませんでした。ちょうどモンスーアの傷によって仲間たちが守られたのと同様です。モンスーアの名は、ミサイル駆逐艦の名前を初め、さまざまところで使われてその功績が記念されています。イエスの名は、死で終わらず、3日後に復活され、今も生きておられる救い主として2000年に亘って、覚えられています。

神との新しい関係

第三に、「神との新しい関係に進む」ということです。
 「神がご自分の愛を明らかにしている」とありますが、神の愛は「人間の罪の赦し」ということでとどまりません。その目指すところは、これまで失われていたあなたと創造主との新しい関係を築くことです。この関係は人間の結婚にも例えられています。結婚を願う男女間の「愛の関係」をイメージしてください。トラブルが解決して、めでたく結婚、そして結婚生活が充実して発展していくような感じです。
 以前、検察官と犯罪人の交流についての記事を読みました。平田友三という検察官は、犯罪人Aに死刑を求刑し、裁判の結果、死刑判決が下りました。犯行内容からみて、死刑求刑は妥当なものでした。しかし、平田さんはAくんの生育環境や犯行に至った経緯を見ると同情を禁じ得ませんでした。関係を深めるにつれて、あたかも自分の弟が犯罪を犯したかのように思うようになったそうです。その後も交流が続き、Aくんの心は次第に大きく変化していきます。Aくんが聖書に触れたことも理由の一つですが、自分の犯した罪を心から悔いるようになりました。自分の過ちの責めを静かに背負うことに残りの日々を費やし、全財産を被害者の遺族に送るなどしました。死刑執行の後にAくんが書いていた手紙を平田さんは受け取りました。そこには平田さん家族への感謝のことばが満ちていたと言います。平田さんの娘さんとの手紙のやり取りは280通にも及び、家族のような交流があったと言いますから驚きです。
 死刑を求刑した検察官と死刑囚の深い交流。こういうことは滅多にないでしょう。ただ、どれほど同情しても、死刑を回避させることはできません。そこに人間の同情の限界があります。しかし、神はあり得ないことをされました。罪とその裁きを宣告した神が、イエスの身代わりの死を通して人間に完全な赦しをもたらしたのです。それだけでもすごいことですが、それは祝福の初めでした。神は私たちとさらに深い交わりを願っています。

神と人とのコミュニケーション

 コロナ禍にあっても、情報機器を使って音声や画像でコミュニケーションをとることができます。直接会うのと比べると不完全とはいえ、ないよりは随分助かります。神は救い主イエスを信じる者にコミュニケーションを取る手段をも備えてくださいました。
 是非、あなたも聖書が告げる魂の診断結果に心を留めてください。神の用意した治療を受けいれ、神の救いを自分のものとしてください。さらに、あなたの良い所も悪い所もすべて知った上で、喜んで導いてくださる神と共に歩む道に進んでください。心からお勧めいたします。


使用CDジャケット
吉田恵子:我が救い

今日のみことば
しかし、私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死なれたことによって、神は私たちに対するご自分の愛を明らかにしておられます。
(ローマ5:8)