#1110 原点に帰る

メッセンジャー似顔絵

ごきげんいかがですか。高原剛一郎です。

さて、私は昨年の9月に福島に参りました。そして、自分史上最高のフランス料理をいただいたんです。今までもフランス料理はいただいてきましたけれども、自分の中では別格でしたね。頭文字Hのそのお店に『萩』というそのお店に、福島の好間でキリストを伝えているご夫妻が招待してくださったんです。
ここは究極的に食材にこだわるお店だったんですね。そこで出される野菜は今朝穫れたものだけです。また、あわびも水揚げした瞬間から水を出すというので1時間以内にさばきます。鰹も朝獲れたものを仲介業者を経由せず漁師から直接仕入れて、そして調理されていました。
しかし、シェフは少しも気難しくなく楽しそうなんですね。訳を聞いてみました。実は、彼はかつて九人のシェフや従業員を雇うオーナーでしたが、あの東日本大震災で周囲の町が津波でやられお客さんが誰も来なくなったそうです。必然的に従業員は全員解雇です。改めて自分で包丁を取ってやってみて愕然としたそうです。なんと腕がすっかり落ちていたというのです。それでも店を開いていると「美味いフレンチを食べさせてくれ」と大変な中、お客さんが来てくれました。その時、自分の中で気持ちに変化が起こったというのです。

初心に帰る

それまでの自分は良い料理を出す、その対価としてお客さんからはお金を貰う。まあ言わば、経済の論理でシェフをやってたんですね。でも、その時は私はお客さんに生かしてもらっていると思えたのだそうです。そして、こんな時にも来てくれるお客さんに対して自分はもっと料理を勉強すべきだと思って一からやり直してみると、初めて料理人になった頃のことを思い出したというのです。そもそも何故料理人になろうとしたんだろう。金儲けじゃない、ちやほやされるためでもない、作ったものを美味しいと言ってもらえるのが嬉しくて楽しくて始めたことを思い出したというんですね。以来、やることなすことが新鮮な気持ちで取り組めるようになったとおっしゃっていました。初心に帰るとはそういう意味なんだなあと感心したのでした。
実は、聖書の中にも同じように語られている箇所があるのです。

わたしは、あなたの背きを雲のように、あなたの罪をかすみのように消し去った。わたしに帰れ。わたしがあなたを贖ったからだ。

ここらか3つのポイントでお話しいたしましょう。

創造主の作品

第1に、人生に行き詰まった時、原点に帰ることが一番の特効薬です。そもそも何故それを始めたんだったか、どうしてそれが嬉しかったのか、それを嬉しいと思い始めたのはいつだったのか、それをもっともっと突き詰めて遡っていくと、そもそも私は何をするために生まれて来たのか、私を造った方は誰なのかというところに行き着くように思うのです。
聖書はあなたを人として、個性あるもの、特性あるものとして造られた作者がおられるのだと告げています。そして、その作者のことを創造主というのです。この創造主が言われるのです。「わたしに帰れ。」神というあなたのルーツ、第一原因者に立ち返りなさいとバイブルは勧めるんですね。
ところで、最高の食材で調理されたものを食べながら私はふとこんなことを考えました。料理人もすごい、しかし、料理人が調理するこれらの食材は誰が造ったんだろう。もちろん、野菜は農家の方から仕入れます。でも、農家の方が植物を無から創造したのではないですよね。
人が食べる植物は人がこしらえたのではなく神の作品なのです。また、活きのいい魚は漁師から買うにしても、その魚そのものは人間が造ったものではありませんね。魚を造られたのも創造主なのです。言わば人間は創造主の作品たちによって命を繋いでいるともいうことができるんですね。

作者を忘れるという不幸

第2に、罪こそは人間の不幸の始まりと知ることなのです。罪とは原点を忘れて生きることです。人間の原点とは神です。自分の造り主です。自分の創造主、作者を忘れて生きることを聖書は罪と語っているんですね。その在り方を罪と言うのは、作者に対して恩を仇で返すことと同じであるからです。

赦されているということ

第3に、神はその罪を雲やかすみのように消し去ってくださったがゆえに、人は再び創造主のもとに帰ることができるということです。
『男はつらいよ』シリーズの主役で国民的スターだった渥美清さんは石井愃一(いしい けんいち)さんという付き人を持っていました。この石井さんには一つ忘れられない思い出があると言います。実は、『男はつらいよ』シリーズの第1作のクライマックスは寅さんの妹さくらと夫の博の結婚式のシーンなのです。このシーンは主役の渥美清はじめ、当時の映画界の大御所、志村喬や笠智衆はじめベテラン俳優がずらりゲスト出演していたそうです。その大物俳優が朝の8時に大船の撮影所に集まるという大変に気合の入ったシーンなんですね。
その前日のことです。実は付き人石井さんにも工員Dという役で出番が決まっていたのです。まあ出演するといっても台詞があるのは工員ABCまででDにはありません。なのに石井さんは役者魂に火が付いて全員分の台詞まで覚えてるうちに興奮して寝付けなくなってしまうんですね。そして、ふと気がつくとなんとあさの8時になっていたのです。8時に大物全員が撮影するのに8時に目が覚めたんですね。真っ青になって撮影所に駆けつけると9時を過ぎていました。
付き人石井さんを見た渥美さんは耳元で一言「安心しな、他の出演者みんなに石井は俺の用事で遅れるからと言ってあるから。」そう言ってくださったそうです。この事は生涯忘れられない思い出だと言うのです。これで映画界から干されずに済む、怒られずに済むというそういう安心感と同時に、何よりも自分がこの映画スターにどんなに大切に思われているのかということを知った。これは生涯の宝だと書いてありました。
ところで神は人間の罪を赦してくださったのです。口先だけの赦しではありません。十字架についたご自分のひとり子イエス・キリストをあなたの罪の身代わりにして裁かれたのです。あなたの罪はキリストの犠牲によって赦されました。そして、キリストは死後三日目に復活することで、この赦しを立証してくださったのです。
どうぞ、このキリストを信じ、あなたの神のもとに立ち返ってください。心からお勧めいたします。


使用CDジャケット
Migiwa:帰ろう

今日のみことば
わたしは、あなたの背きを雲のように、あなたの罪をかすみのように消し去った。わたしに帰れ。わたしがあなたを贖ったからだ。
(イザヤ44:22)