ごきげんいかがですか。三綿直人です。
さて、日本に聖書の福音が広がったのは、戦後、海外から多くの宣教師が来日して、聖書を教えてくださったからなんですね。その時代のことを伺いますと、とっても苦労されています。
ある宣教師は、駅前で、新約聖書を配りながら、声を張り上げて伝えました。「これは、聖書です。とっても良い本です!」ご婦人が通りかかりました。その真正面に立って、宣教師は言いました。「どうぞ、お嫁になってください」。いきなりプロポーズですね。でも言った本人は、満面の笑顔なんです。
私が直接お会いして、大好きだった宣教師に、トマス・ヒルさんという方がおられました。今は奥様の故郷であるタイで宣教しておられます。奥様はタイ人なんですね。彼は、「私は宣教師です。でも、悩みがあります。毎日悩んでいます。」どんな悩みですかと聞くと、「はい、対人関係です。」大変な中でも、ユーモアを忘れずに聖書の神さまの愛を伝えてくださった宣教師の方々に、私は本当に感謝してるんです。
さて、今回は、対人関係に悩むあなたに、というタイトルで、3つのポイントでお話ししましょう。新約聖書マルコの福音書12章31節をお読みします。
第二の戒めはこれです。『あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。』これらよりも重要な命令は、ほかにありません。
自分のように隣人を愛する
「他人とうまくやっていく」という本を読みました。以前「話を聞かない男、地図が読めない女」という本が大ベストセラーになったんですが、その著者の新刊です。アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズですね。
54か国語に翻訳され、著書は累計3000万部売れているというんですから凄いですね。彼らは、対人関係改善のスペシャリストだと紹介されています。
この本の中で、すべての人間が興味あること、全世界共通で興味ある事は、たった一つだ、というんです。
いろんな興味関心は、時代によっても、文化によっても違いそうなもんですが、彼らは、いや、たった一つだというんですね。なんだと思いますか?それは、「自分自身」だというんです。そして、人はみな、自分に一番興味があり、自分が重要と認められることを求めているというんです。だから、それにかなったスキルを身に着ければ、対人関係は誰でも劇的に良くなると語り、そのためのハウツーがとっても詳しく書いてある本なんです。
自分なんて嫌いだ、という人もおられますよね。こんなところがあって、こんなところがあって・・・と。でも、興味がない人の嫌なところって、そこまでたくさんあげられますか。「自分に一番興味がある」ことの証拠が、「自分大嫌い」ともいえるのでしょう。
2000年前に、イエス・キリストは、「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい」と言っておられます。人間関係の祝福は、一番愛している自分自身と同じように、他の人を愛することによって与えられるのだと。こうすることで、人間のだれでもが持っている普遍的欲求は、互いに満たされるんです。
一つ目のポイントは、「自分自身を愛するように、隣人を愛する」ということです。
対人関係の前に対神関係
はい。わかりました、自分と同じようにね。とそんな簡単に物事はすすみませんね。この言葉の前に、「これは第二の戒めだ」と書いてありました。そうです。もう一つ、第一の戒めも知らなければ、第二の戒めは守れないです。第一の戒めを読んでみましょう。
今読んだ箇所の、前、マルコの福音書12章の29-30節です。
イエスは答えられた。「第一の戒めはこれです。『聞け、イスラエルよ。主は私たちの神。主は唯一である。あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。』」
ここで、聖書は対人関係を教える前に、対神関係を教えています。
人との関係をよくするためには、もう一つの関係、対神との関係を考える必要があるんですね。
二つ目のポイントは、神との関係という視点を持つということです。
喜劇王といえば、チャールズ・チャップリンです。彼は1歳の時に両親が離婚し、母親がシングルマザーで育てますが、その母親も5歳の時に亡くなり、とっても苦労して育ちます。そのチャップリンが、あるとき、生い立ちについて聞かれます。「あなたの生い立ちは、悲劇そのものなのに、どうしてそんなに喜劇をたくさん作れるんですか?」
その時、彼はこう答えます。「人生はクローズアップで見れば、悲劇。ロングショットで見れば喜劇。」
ロングショットと言うのは、映画用語で「被写体を遠くから撮影すること」なんですね。彼は、演劇や映画を撮る際、常に2つの視点を使いこなしていると言ったんです。感情を伝えたいときは、クローズアップ、全体を俯瞰して伝えたいときは、ロングショットです。
聖書も2つの視点で、私たちが人生を見るように教えています。まず、神との関係、神がどう見ておられるか。そして次に、人との関係、人がどう見ているかです。私たち日本人は、人がどう見ているか、の視点しか持っていません。なので、他人が気になります。いや気にしすぎるんです。また逆に人が見ていなければ平気で悪いこともできてしまうという人もいます。
聖書は、まず、神との関係を考え、神との関係を回復しなさいと教えています。対人の関係は、相手がいることですから、簡単にはいかないかもしれません。しかし、対神との関係は、和解を望んでくださっておられるのが、神なので、あなたが望むなら、いつも神はあなたとの関係回復を待っておられると聖書は教えているのです。
私たちをお創りになった神は、私たちを、そしてあなたを愛しておられます。この視点を持つと幸いです。
尽くすと見えるもの
3つ目のポイントは、尽くすと見えるものがあるということです。
心を尽くし、思いを尽くし、力を尽くしてとありました。
人生の中で、全力になることを持っている人は、輝いていますね。力を尽くして、何かをやり遂げた。その経験は素晴らしいでしょう。全力を尽くした人にしか見えない景色があります。
私の妻が、私の頭部をしげしげと見つめながら、「あっ、ハゲがある」と先日いいました。いや、全体がハゲてるやろ、と突っ込みましたら、後頭部の横一直線のハゲを見て言ってたんですね。これは私が小学生の時、凧揚げをして朝礼台の角にぶつけて、5針縫った傷でした。傷は、近づいたら見えるんです。
さて、あなたは、全力を尽くして誰かを愛したことがありますか。もし、あるなら、その人だけが見えるものがあるはずです。それは何でしょう。それはその人の痛み、その人の悲しみ、その人の人生で負ってきた傷です。みな心に傷があります。そして、全力でその人を愛したならば、その人の傷に気付くのです。自分の力では、この人の傷をいやすことはできないとも気づきます。
ですから、まず、神であるキリストに近づいてください。キリストの十字架に近づいてください。キリストの傷に気づくでしょう。キリストは、傷のない方と紹介されていますが、十字架で、傷ついておられます。あなたの傷をいやすためです。傷ついた救い主だけが、あなたの傷をいやすことがおできになります。そして、あなたの愛する人の傷も癒すことがお出来になるのです。
ぜひ、神であるキリストに、その十字架に近づいてください。そして、神との関係が回復し、あなたの傷が癒されると、健全に自分を愛することができるようになります。そして、健全に自分を愛することができれば、健全に隣人を愛することができ、対人関係が回復していくと聖書は教えているのです。キリストを信じてください。心からお勧めします。
(マルコ12:31)