#1008 神による身分証明

メッセンジャー似顔絵

ごきげんいかがですか。高原剛一郎です。

ところで、ファーブル昆虫記で有名なアンリ・ファーブルは元々は学校の先生でした。
彼は忙しい教員生活の合間を縫って、昆虫採集の標本を作っていたのです。
ところがある時雑誌に載っていた、タマムシの論文に感動するのです。
死んだ昆虫をきれいに並べる標本より、生きている虫を観察したほうがもっと興味深いに違いない。そう確信した彼はその後、55歳から91歳までの間、自分の目でじっくり見たものだけを基に「ファーブル昆虫記」を完成させるのです。
実際に見て、理解している人の言葉には特別な説得力や感動させる力が宿っていますね。この本は今に至るも世界の名作になっているのです。
ところで、聖書を見ると本当のこと、見たり聞いたりして良く知ってることを語っているにも関わらず、人々がそれに耳を貸そうとしなかった、というケースがいくつか紹介されいるのです。
聖書にこう書いてあるのです。

この方はご自分のところに来られたのに、ご自分の民はこの方を受け入れなかった。しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとなる特権をお与えになった。

ここから二つのポイントでお話いたしましょう。

ヤン・カルスキーの証言

第一に、この方、すなわちイエス・キリストはユダヤの国に来て、真実の証言を語りましたが、大部分のユダヤ人たちは受け入れなかったというのです。
なぜ受け入れなかったのでしょう。イエス・キリストの語る言葉が耳障りの悪い言葉であったからです。イエスはユダヤ人に対して、一人ひとりの人間は神の前に赦しを求めるべき罪人である、と糾弾なさったのです。
私は二月にポーランドという国に参りました。そこで町の要所要所にヤン・カルスキーという人物の銅像を見たのです。
この人はポーランドがドイツとソ連に分割されて滅ぼされたその時から、ポーランド地下政府運動に加わった人物です。
当時ロンドンにあった亡命ポーランド政府のスパイとして大活躍したポーランドの英雄なのです。
彼はいくつもの偽名を使い、変装し、別人になりすまし、ナチスドイツに囲まれたワルシャワに潜り込み、ユダヤ人が受けているひどい迫害を目の当たりにしたのです。
そればかりか、自ら収容所に入り込んで、そこで行われていることを脳裏に叩き込み、そして脱走し、亡命ポーランド政府に報告していたのです。
しかし、亡命ポーランド政府にはナチスの横暴を止める力がありませんでした。
そこで彼は、イギリスの外相アンソニー・イーデンとアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトのところに派遣され、ユダヤ人が絶滅させられそうになっているということを証言するのです。
しかし、両国とも動きませんでした。それでヤン・カルスキーはアメリカの良心と言われている最高裁判事フェリックス・フランクファーターと会って、自分が見てきた真実を証したのです。

信じたくない情報は信じようとしない

しかし、フェリックスはそれを聞いた後、こう言います。
「私の頭と心では、あなたが言っているようなことはとても信じられません。私は長年にわたって、裁判の法廷で人間を見てきたプロです。人間がどのようなものであるかわかっているつもりです。あなたが言うような残虐な行為は、絶対にありえないことです。」
彼は言外に「大げさなことを言いなさんな。」とたしなめているのです。
ヤン・カルスキーはその時、つくづく思ったのでした。人は信じたくない情報は信じようとしない。
たとえそれが本当のことであったとしても、聞きたくない話、信じたくないこと、それは心の耳を閉ざして却下してしまうのです。
イエス・キリストはすべての人が神の赦しを必要とする罪人であること。罪を持ったまま死ねば、永遠の地獄に落ちること。それはユダヤ人とても、例外ではないということを語られたのです。
しかしそれは当時のユダヤ人にとって、プライドを傷つける聞きたくない言葉であったのです。
しかし、イエスが人に罪の指摘をなさるのは、解決策があるからなのです。
人間の罪を完璧に赦す神の救いをもたらすために、イエスはこの世に来られ、十字架にかかり、三日目に復活してくださったです。

パスポートによる証明

第二に、誰でもイエス・キリストを自分の救い主として信じる者には、神がその人の身分と安全を保証し、神の子どもとなる特権を与え、天国に入る資格を与えてくださるということなのです。
先日私は、パスポート学の本を読みました。
作者のグエンテイ・ホンハウさんはベトナム難民の両親のもと、日本で生まれ育ったのです。
彼女はベトナム政府からはベトナム人と認められず、日本では親が日本国籍でないという理由で、日本人と認められません。
そのため、海外に行く時にはパスポートの代わりに日本の出入国管理局が発行する再入国許可書を携えなければならないのです。
ある時、彼女はドイツへの旅行に行くことになりました。大学の研究旅行です。ちゃんとEUのビザも取り、準備万端です。
ところが入国審査で彼女は拘束されてしまうのです。「パスポートは。」と訊かれ「これが私の旅券です。」と答えます。
「でもこれパスポートじゃないわね。じゃ、パスポートないの。」この質問に「イエス」と答えた瞬間、突然世界は姿を変えたのです。
相手の笑顔は消え、疑惑の視線が突き刺さります。そして大きな男性に連行され、別の場所に移されたのです。
なぜパスポートがないのか。どうやってここまで来たのか。なぜベトナムのパスポートを持ってないのか。なぜ日本のパスポートを持っていないのか。一体どこの国なのか。英語でまくしたてられたのです。
彼女は必死で自分を証明しようとがんばります。自分の親はベトナム難民で自分自身は日本で生まれたこと。日本の国籍制度のこと。ビザを申請する時に集めた書類を一枚一枚見せます。在学証明、外国人登録証、銀行の残高証明、ドイツの研究機関からの招待状をずらりと並べて、私はこういう者です。怪しい者ではありませんと説明したのです。
しかし、どの証明書もパスポートのような効力はなかったのです。
「あなたは誰なんだ。なぜここにいるのか。」その質問にちゃんと答えることができなかったのです。

神の国に入る資格の証明

めまいとともに世界が土台から揺らぐような気持ちになったそうです。その時痛感したことがあったのでした。
私の存在証明は、私以外の権威あるものから保証されない限り、認めてもらうことはできないということです。
パスポートがなくても、私が私であるということは、紛れもない事実です。
パスポートがなくても、私がここにいるということは、誰にも否定できないことです。
しかしひとたび国境を越えようという時には、この事実は私以外の誰か、しかも権威ある何者かによる証明が絶対的に必要なのです。
天国はこの地上のどんな国よりも遠い、究極の外国です。
この神の国の国境に立ち入るためには、その資格があることの証明が必要なのです。
ではどうすればよいのでしょう。聖書はこう語っています。

イエス・キリストを受け入れる者、すなわちその名を信じる者には、神の子どもとなる特権をお与えになった。

イエス・キリストを信じることこそが、あなたの存在証明となるのです。
どうぞあなたもイエス・キリストを信じてください。心からお勧めします。


使用CDジャケット
Migiwa:いつくしみ深き

今日のみことば
この方はご自分のところに来られたのに、ご自分の民はこの方を受け入れなかった。しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとなる特権をお与えになった。
(ヨハネ1:11-12)