ごきげんいかがですか。高原剛一郎です。
私は先日、101歳のおばあさんがインタビューを受けている様子をテレビで見ました。このかたは、もう長く生きたいとは思わないそうです。また、特に食べたいものもない。着たい服もない。欲しいものは何もない、とおっしゃるんですね。
でも、ひとつだけ頂けるものなら頂きたいものがある、とおっしゃるのです。それは、やさしい言葉です。誰かから心のこもったやさしい言葉をかけてもらうと、その日一日中、幸せな気持ちでいることができるんですね。
ところで、今まで数え切れないほどの人たちの心を幸せで満たし、燃え上がらせ、平安を与えてきたことば、それが聖書です。
その聖書の第一行目は、とっても大事です。というのは、聖書全体の土台を置いているからです。そこで今日は、この聖書の第一行目、創世記一章一節をご一緒に考えましょう。
はじめに神が天と地を創造された。
第一のことば「はじめに」
さて、この一節には五つのことばが使われています。
第一に、「はじめに」です。宇宙の始まりを語ることばですね。
ところで、宇宙には始まりがあったことを科学者が認めたのは、実は二十世紀に入ってからなんです。1929年に、ハッブルという天文学者が、はるか彼方に見える銀河が皆、赤色に光ることを見つけたのです。地球から遠のいていく星や銀河は、おしなべて赤い光を出すんですね。これは赤方偏光偏移といって、宇宙が膨張しているかあるいは膨張していた頃のなごりを示す証拠なんです。宇宙が膨張しているということは、時をずっとさかのぼっていくと宇宙にはスタートした時点があった、ということになります。
こうして今では、ほとんどの科学者が宇宙がゼロからスタートしたこと、宇宙には始まりがあったということを、ようやく認めるようになったのです。
ところが聖書は、3500年前に、既に宇宙が無から造られたということを宣言していたのです。いったい誰によって始められたのでしょう。
第二のことば「神」
それが、第二のことば「神」です。この「神」というのは、ヘブライ語で「エロヒム」という言葉です。それは人間が作った神々ではなく、宇宙創造の神、万物の第一原因者のことです。
ところで、そのようにお話しすると「その創造主は誰によって造られたの?」と聞くかたが、たまにおられるんですね。というのは、すべての結果には原因があるとするなら、神という存在にも神を生み出した原因があるのではないか、と考えるわけです。しかし神は、この、原因と結果という因果法則に全く支配されないかたなんです。
私が大学を出て勤務しておりました会社には、いろんなルールがありました。出勤時間や、定時の終業時間も決まっていました。一応、朝の九時から夕方の五時半までが労働時間なんです。ところが、このルールを完全に超越している人物が、ひとりいたんですね。十時過ぎにふらーっと現れたかと思うと、午後二時ごろには会社を後にしてゴルフに行くんです。彼は規則に縛られていませんが、誰も彼をクビにすることはできませんでした。なぜなら、彼はオーナー社長だったからです。
会社のルールを作った社長は、そのルールに縛られていなかったんです。同じように、物理法則である因果律を造られた神様は、自らはその因果律に支配されることはないのです。つまり、創造主なる神は誰にも造られることなく、自ら存在しておられるかたなのです。
第三のことば「天」
第三のことばは「天」です。ヘブライ語では「シャマイーム」といいます。これは複数形の形をしているんですね。
実は、聖書を見ると、「天」には三つあります。第一の天は、大空のことを指します。第二の天は、宇宙のことをいいます。そして第三の天とは、パラダイス、天国のことなんですね。霊的な世界を含めて、空間を造られたかた、それが神なのだ。神がお造りになった空間を「シャマイーム」、「天」というのです。
第四のことば「地」
第四のことばは「地」です。これはヘブライ語で「エレッツ」といいます。「エレッツ」には、地球とか土地とかいう意味と共に、「物質」という意味があるんですね。
物質には重さとエネルギーがありますので、神は重力やエネルギーを持つ物質を造られた、ということができるわけです。つまり、神様は「はじめ」という時間、「天」という空間、「物質」という重力およびエネルギーを造られたのです。そして、この三つは宇宙を構成する連続体で、互いに影響を与え合っています。
そのことが分かったのは、アインシュタインが二十世紀に入って相対性理論を明らかにしてからなのです。たとえば、空間というのは重力によって曲がるんですね。時間も、重力によって遅くなったり速くなったりします。光のスピードで移動すると、重力も重くなっていきます。時間、空間、重力はそれぞれ互いに関連する連続体なのです。しかし、アインシュタインがそれを語る3500年前に、聖書はこの三つを同時に存在させたということ、互いに関連しているということを宣言していたのです。
第五のことば「創造した」
第五のことばは「創造した」です。これはヘブライ語では「バーラー」といいます。
この動詞は、神に対してのみ使う動詞なんです。そしてこの「バーラー」という動詞は、単数動詞なんですね。実は、「神」というヘブライ語の「エロヒム」というのは複数形なんです。複数形の主語に単数形の動詞が使われることによって、神の三位一体を表しているのです。しかも「バーラー」という言葉は、ヘブライ語の「ベイト」、「レイシュ」、「アーレフ」という三つの文字でできているのです。これは、神の三位一体の頭文字でもあるのです。
あなたは神の最高傑作
はじめに神が天と地を創造された。
つまり、この宇宙は神の作品なのです。そして、この神の作品の中に最高傑作として造られ、置かれているのが、あなたという存在なのです。
いかなる作品にも作者の意図や、メッセージ、目的があるように、あなたには全知全能の神の目的があります。人は、自分の決心や意思で存在するようになったのではありません。もしそうであるとするなら、どんな人生を生きようが、途中で人生をやめようが、本人の勝手ということになりますね。
しかし、人生は神からの賜物なのです。あなたは生きているのではなく、この偉大なる神によって生かされているのです。目的を持って造られているのです。無から有を造りだすかたは、今のあなたの心がどんなに空っぽであったとしても、それをいのちと平安で満たすことがおできになります。
では、私たちはいったいどうすれば良いんでしょう。「はじめに天と地を創造された」神だけを、自分自身の造り主として信頼すること、このことが第一歩なのです。
どうぞあなたも、ご自身の創造主なる神様を信じてください。心からお勧めしたいと思います。
(創世記1:1)