#1089 人を幸せにする関係

メッセンジャー似顔絵

ごきげんいかがですか。高原剛一郎です。

さて、先日私はこんな寓話を読みました。一人の愚かな男が、買っていたラクダに餌をやることにしたのです。かめの中に穀物を入れると、ラクダはかめに頭を突っ込んで美味しそうに食べ始めました。ところが頭を突っ込み過ぎたのか、かめからラクダの頭が抜けなくなってしまうのです。
途方にくれていたとき、一人の旅人が通りかかったのです。「良いことを教えてあげよう。まず初めにラクダの首を落としなさい。」男は言われるままにラクダの首を切り落としたのです。「次にかめを割りなさい。」男はかめを叩き割りました。旅人は言いました。「ほら、ごらん。ラクダの頭はかめから取れたでしょう。」しかし男の手元には、粉々に砕けたかめと、死んだラクダしか残りませんでした。というお話です。
彼は大切なものをふたつとも失ってしまったっていうんですね。ではどうすれば良かったんでしょうか。初めにかめを壊して、ラクダの頭を取り出せば良かったんです。そうすれば、かめは失いますがラクダの命は助かるからです。
この寓話のポイントは、一番大切な事とするべき事の順番を考えて行動しようということだと思います。つまり、物事には優先順位というものがあって、大切なことから手をつける事が人生を実りあるものにする秘訣だということだと思います。

一番大切にすべき関係

ところで、よく人間は関係のなかで生きるものだと言われますが、人間が一番大切にすべき関係とは、一体何なんでしょう。
あるときイエス・キリストに対して、旧約聖書の専門家が質問する場面が聖書に出てきます。

「先生、律法のなかでどの戒めが一番重要ですか。」イエスは彼に言われた。「『あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知性を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。』これが、重要な第一の戒めです。『あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい』という第二の戒めも、それと同じように重要です。この二つの戒めに律法と預言者の全体がかかっているのです。」

さて、ここには人が大切にすべき三つの関係が描かれています。それは、第一に対神様関係、対神関係ですね。第二に対自分関係、対自関係です。第三に対人との関係、対人関係です。
ところが多くの人は、まず何おいても対人関係にあくせくして疲れ果てているのではないでしょうか。今日はここから三つのポイントでお話したいと思います。

自分自身のイメージ

第一に対人関係の基礎は、自分に対するイメージに由来しているということです。
一般的にすべての人に好かれようとすればするほど、多くの人から見向きもされなくなるようですね。というのは、相手によって自分の意見や行動がころころ変わると、一貫性が無くなるので返って信用を失ってしまうからです。それどころか、自分が何者なのかすらもわからなくなってしまうんですね。
漫画家のおかのきんやさんという方は、長い間うつ病を患っていました。この方がそこから脱出できたきっかけは、カウンセラーからの一つの言葉からでした。
ある日の診療でカウンセラーにこう言われたというのです。「おかのさん、あなたは良い人ですか。それとも良い人と思われたいのですか。」この質問を問われた瞬間、心の中のもつれた糸が解け始めたといいます。そのとおりだ、自分は良い人というより、良い人と思われたかったんだと気づいたというのです。そうしたらとても気が楽になった。というのは、自分を縛っていたのはすべての人に受け入れてもらおうとしている自分自身だと気がついたからです。
良い人に思われたいと思うと自分の本音を言わなくなります。ほんとに自分がしたいことを飲み込んでしまいます。そのうちに自分がなにを考えているかすらも、わからなくなるというのです。

創造者にとっての人間の価値

第二に自分を受け入れていく基礎は、自分のルーツを創造主にまで遡ることにあるということです。
一体あなたはどうして生まれてきたと思われますか。自分の意志で生まれてきたのではありませんね。また両親の意志ですらもないのです。親はあなたの誕生のために神が用いた器ではありますが、本当の意味であなたの作者ではないからです。あなたをこの世に生まれさせたのは、創造主なる神です。
私はときどきメルカリやYahoo!オークションを見て驚くことがあるんです。こんなもんがこんな値段するのか。あるいは、世の中にはこんな物を欲しがる人がいてるのか。あるいは、こんな物が意外と需要があるんだなという驚きです。私自身の価値観では、一円の値打ちもないと感じている物に対して、他の誰かにとってはお宝になるということが結構あるんですね。つまり、自己評価というのは案外当てにならないものなのです。
自分では自分をつまらないと思っていても、その自分を存在させた神様にとっては、あなたは世の中にたった一人しかいない創造主の最高傑作なのです。そして神は、あなたに生まれてきてほしいと願ってあなたをお造りになられたのです。
あなたのお母さん以上に、あなたの誕生を心待ちにしてあなたを造られた方、それが創造主なる神なのです。

最高の愛し方

第三に、この方はあなたを最高の愛し方で愛してくださった方であるということです。
オークションでは、最高の値段をつけた人がそのお宝を落札することができるんですね。人は自分の罪のために死の奴隷となっていました。今生きていても、必ず死ぬことが定まっているのが人間です。人とは、罪と死の奴隷と言えるでしょう。
しかし神は、人を罪と死から贖い取るために最高の値を付けられたのです。神のひとり子の命と引き換えに、あなたを神の子として迎え入れてくださるというのです。
実に神こそは心を尽くし、命を尽くし、知性を尽くして、ひとり子をお与えになるほどにあなたを愛してくださった方なのです。このような愛し方であなたを愛した存在は、どこにもいません。
どうぞ、あなたもイエス・キリストを信じて、人生の優先順位の回復を得て、永遠の命のなかを生きる人となってください。心からおすすめいたします。


使用CDジャケット
国分友里恵:みことばなる

今日のみことば
「先生、律法のなかでどの戒めが一番重要ですか。」
イエスは彼に言われた。「『あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知性を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。』
これが、重要な第一の戒めです。
『あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい』という第二の戒めも、それと同じように重要です。
この二つの戒めに律法と預言者の全体がかかっているのです。」
(マタイ22:36-40)