#1016 大切にされているあなた

メッセンジャー似顔絵

ごきげんいかがですか。三綿直人です。

さて今年の春、私は、青森県弘前市にある教会に招かれ聖書のお話をしたんですが、講演終了後、主催者の方が「日本一のさくらまつり、『弘前さくらまつり』に一緒に行きませんか」と言ってくださいました。
290万人の人々が訪れるというその「さくらまつり」は、全国でも屈指の桜の名所と言われているだけあり、活気に溢れていました。ソメイヨシノ、しだれ桜など約五十種類、二千六百本の桜が咲いているんです。
1882年に植栽されたという日本最古のソメイヨシノ、日本で最も幹が太いという、5メートル15センチの幹の太さのソメイヨシノ、桜の花びらでお濠を埋め尽くす花筏、いわゆる「桜の絨毯」と言われるそうですが、お濠が、散った桜の花びらで埋め尽くされ、風に揺られているその美しさは、思わずため息が漏れるほどでした。
見どころ満載の弘前さくらまつりでしたが、ひと際、私の心を打ったのは弘前城天守閣移設工事の話でした。
今、弘前城は天守閣が本来の石垣の上にありません。築城から四百年経過して、土台である石垣が、経年劣化により膨らみ、このままだと崩落する可能性があるということで、石垣修復工事のため70メートル天守閣が移設されてるんです。
日本の曳屋という技術で、天守閣のみを動かし、石垣を修復し、また戻すと言うんですが、これにかける期間が何と23年。平成20年から取り組み、令和13年に完了予定だそうです。
なぜこれほどまでにお金と時間と手間をかけるのでしょう。弘前城が地域の方々に大切にされているからです。
次の100年、200年、300年も立派に弘前のシンボルとしてそびえ立つことが出来るようにという、弘前城を愛している人々の働き掛けで実行されているんです。

キリストを信じる新しい人生

さて、いろんな所で聖書のお話をしていますと、特に年配者の方にこう言われることがあります。
「聖書の話はよく分かる。これはほんとやと思うし、ええ話やと思う。でも、もう年を取りすぎました。新しく人生を始めるなんて今更無理なんです。」
私は弘前城のことをお伝えしたいと思います。クリスチャンになる、即ちイエスをキリストと信じるということは、これまであなたが歩んで来た人生、即ち天守閣を壊すことではありません。
キリストを信じる新しい人生というのは、今までの人生をリセットする事ではないのです。それは土台修復工事、土台入れ替え工事なんです。
このままでは崩落の危険性が高いので、あなたのこれまでの人生という天守閣を、イエス・キリストという決して崩れない土台に移設しませんかということなんです。
聖書の神、キリストはあなたを大切にしておられます。あなたの人生を大切にしておられる神を、お知り頂きたいんです。
さて今日の聖書の言葉を紹介しましょう。

キリストは私たちのために、ご自分のいのちを捨ててくださいました。それによって私たちに愛が分かったのです。

キリストはあなたの味方

キリストは私たちのために人生を捧げてくださいました。すなわち、時間と労力のすべてを、私たちのために捧げ、あなたの人生が崩落しないように、人生の土台をキリストの愛に移設する取組みをしてくださっているのです。
私たちの人生が崩落する時とはどんな時でしょう。何かに失敗した時ではありません。人生崩落の危機は愛を失った時、愛が分からなくなった時ではありませんか。
受験に失敗しても、自分を愛してくれている人がいれば、やり直そうと思えます。就職に失敗しても、また失業しても、また自分で何もできず介護される必要が出て来ても、自分の味方、自分を大切にして愛してくれている人がいれば、挑戦する思いが出て来るのです。
でも、自分を愛してくれる人はいない、愛していた人に裏切られた、誰も自分の味方はいない、自分を大切にしている人はいないと言うとき、私たちは人生に絶望するのではないでしょうか。
人生崩落の危機に瀕している方に聞いていただきたいことがあります。それは、キリストはあなたのためにいのちを捧げ、あなたの味方であり、あなたを大切にしている方だということです。

『カモメに飛ぶことを教えた猫』

先日、小学校6年になる息子が社会科見学に行くと言うので、「どこに行くのか」と聞きますと「劇団四季のミュージカルを見に行く」と言うんですね。
私は大阪で生まれ育ちましたが、社会科見学で覚えているのは、水道局、仁徳天皇陵、奈良の大仏と奈良公園の鹿、またその糞です。
今どきの小学生はいいですね。小学校の頃から、一流のものに触れることが出来るんですから。
その劇団四季の演目が『カモメに飛ぶことを教えた猫』というお話なんです。原作はチリの小説家ルイス・セプルベダという方です。こんなお話です。
主人公は黒猫のゾルバ。ある港町に住む黒猫のゾルバは、一羽のカモメに出会います。海に流れ出た原油に羽をやられてしまい瀕死のカモメはゾルバに三つの願いを託します。
一つ目、「私はこれから卵を産むけどそれは決して食べないで。」猫は本能的にカモメや卵を食べてしまうのですが、心優しいゾルバは承知します。
二つ目「そして、その卵の面倒を見て卵をかえして。」「君には羽があるけれど僕にはない。どうやって?」「それはあなたが考えて。」ゾルバは80日間、仲間の猫と協力しながら、猫の毛で温めて返してやります。かえった雛を、フォルトゥナータ(幸運な者)と名付けて世話をするんですね。
三つ目のお願いが一番難しいお願いでした。「雛が大きくなったら飛ぶことを教えてあげて。」生まれて一番最初に猫を見たフォルトゥナータは、自分が猫だと思っています。
羽があるのに地を駆け巡るんです。しかも、ゾルバ自身が飛べないのに、また跳び方も分からないのに、どうやって教えるんでしょう。
しかし、ゾルバは困難にあっても、面食らいながらも、フォルトゥナータに猫人生を捧げて飛ぶことを教えようとするんです。さてさて、フォルトゥナータは飛べたんでしょうか。
ま、こんなお話です。読みたくなった方は是非図書館へ行ってください。

愛を分かち合う

さて、私はこの話を読んで、「幸せとは何か」を作者が語っているように思いました。ゾルバもフォルトゥナータも幸せ、幸運なものだったと作者は語っているように思います。なぜなら愛が分かったからです。
ゾルバが自分の人生、いのちをフォルトゥナータに捧げたので、フォルトゥナータは愛を知りました。その愛を受け取ってもらえたゾルバも愛の素晴らしさを味わったのです。猫とカモメを結びつけたのは愛だったのです。
キリストは私たちのために、ご自分のいのちを捧げてくださいました。それによって、私たちに愛が分かったと、ヨハネは語りました。
愛は一方が自分を捧げるだけでは味わえません。与え、受け取ったときに、両者とも喜びを分ち合うのです。
キリストはあなたに自分を捧げ、今もあなたを愛しておられます。あなたがこのキリストの愛を受け取った時、あなたにも、またキリストにも喜びが湧きあがるのです。
どうか、このキリストの愛をお知りくださり、受け取ってください。心からお勧めします。


使用CDジャケット
福原タカヨシ:翼のない鳥

今日のみことば
キリストは私たちのために、ご自分のいのちを捨ててくださいました。それによって私たちに愛が分かったのです。ですから、私たちも兄弟のために、いのちを捨てるべきです
(Iヨハネ3:16)