#1009 子供に教えなければならない一番大切なこと

メッセンジャー似顔絵

ごきげんいかがですか。三綿直人です。

先日、ある有名予備校講師が「子どもに教えなければならない一番大切なものは何か」という事をテーマに、子育て中のお母さんに特別授業をするというテレビ番組がありました。私も男の子2人、女の子2人を育てている親ですので、大変興味深いと思い録画して見たのです。この予備校講師は、レギュラー番組を何本問も持って、テレビで見ない日はないというくらい、影響力の大きい方で、個人的には大変好きな方です。あなたは、子どもに教えなければならない最も大切なものは何だとお考えになりますか。
彼は結論でこのように言いました。
「それは、姿勢です」
授業を聞いているお母さんたちが、一斉に背筋を伸ばしたのがとても面白かったのですが、この予備校講師は続けました。

「どの分野でも一流の人々は、必ず姿勢が良いのです。長時間机について勉強できるのはなぜですか。そのような姿勢が取れているからです。」

確かに、オリンピックで金メダルをとるようなアスリートに猫背の方はおられませんね。企業でも一流と呼ばれる方々はみな、姿勢がいいのです。なるほどなと思ったのですが、彼の続きのことばを聞いて、私は日本人に根付いているある考え方の影響の大きさに驚きました。彼はこう言ったのです。

「人類がなぜ霊長類最高の存在となれたのか。それは姿勢です。サルやチンパンジーは脳が発達しませんでした。なぜでしょう。教科書に載っているあの図を思い出してください。サルやチンパンジーは姿勢が悪いのです。だから脳が発達しなかったのです。」

進化論の考え方

聞いているお母さんたちは感心して、本当にそうだと納得しているのですが、私は姿勢が大切だということは同意しますが、サルやチンパンジーが姿勢が悪いので発達しなかったという進化論をベースにした考えた方にはまったく同意できませんでした。

進化論が日本人の心の奥底に根付いているのだなと思ったのです。そして、進化論の考え方で人間を考えると、やっぱり能力主義、成功主義、サバイバルという考え方になります。お母さんたちはなぜ教育問題に熱心なのでしょう。子どもに幸せになってほしいからです。
そして幸せは、有名大学に行き、有名企業に就職し、富と名誉を得て人生を豊かにすることだ。そのために子供に何を教えるのか、それは姿勢だというわけですね。果たしてこれは本当でしょうか。サルやチンパンジーと人間は姿勢の違いで脳の発達に違いが出たのでしょうか。現在の進化論学者によると、3つの点で間違っています。

サルやチンパンジーが祖先ではない

まず1つ目。最新の進化論はヒトの祖先はサルやチンパンジーではないと結論付けています。すなわち、進化論学者自ら、教科書に載っているあのサルやチンパンジーから背筋が伸びた図は間違っていると言っているのです。現在の進化論は、サルが進化して人間になったのではなく、サルもヒトも共通の先祖を持っている。その共通の先祖から進化して、今のそれぞれの種類になったと教えています。
では、共通の先祖とは何か。それはまだ分からないのだそうです。

2つ目に、ヒトの先祖は昔から直立二足歩行だったと、現在の進化論学者は教えています。
京都大学理学研究科の森本助教によると、「ヒトの先祖は手のひらを地面につけるサルのような歩き方ではなく、チンパンジーやゴリラのような指の背を付けるナックル歩行でもなく、昔から直立二足歩行だった。」
「サルが姿勢が悪かったので脳が発達しなかった。私たちは直立二足歩行だから脳が発達した。」というのはj完全に否定されているのです。

言語習得は進化では説明できない

そして3つ目に、言語習得の問題が進化論では説明できません。ワシントン大学の教授で、パトリシア・クールという言語脳学者によると、サルやチンパンジーと人の最大の違いは言葉を持っているか否かということだそうです。言葉というのは文法を持つ言語です。イルカやサルなどはそれぞれやり取りをしているそうですが、これはシグナル(信号)であって、言葉ではありません。文法がないからです。私たち人間が持つ言葉は、文法を持っているのですね。この教授によると、ヒトが言語を習得するには3つの条件が満たされる必要があるそうです。

3条件の1つ目は、生まれたての赤ちゃんに先天的言語能力が備わっているということです。
現在世界の言語は約7000あるそうですが、赤ちゃんはこのすべての言語を理解できる能力を持って生まれてきているそうです。すごいですね。言語習得の3条件、2つ目は、言葉を語りかける親の存在がいることです。親は子供が言葉を返せないときから語りかける存在ですね。
「あらー今日もいいうんちでましたね。」

この親が語りかける言葉に脳が反応し、脳の言語習得分野で複雑な電気信号が起こって言葉を覚えていくのだそうです。
不思議なことに、テレビやDVDなど機械を用いた音声ではこの学習反応は起こらないのだそうです。

言語は人間関係から習得する

そして言語習得の3条件の3つ目は、7歳までの関係構築だそうです。
幼児が持つ全言語対応の言語能力が母国語の身に集約されるのは、1歳を迎える前。そして、母国語の習得には限界点があって、5歳から7歳以降は大きく言語習得能力を低下させるのだそうです。幼児期の母国語習得は親と子の人間関係の中で構築されるのですね。

それを裏付ける事件がたくさんあるそうですが、代表的なものとして、1970年アメリカ・カルフォルニア州での事件が紹介されていました。ジニーという少女は親から虐待を受けていました。1歳8か月から13歳まで、密室に閉じ込められていたのです。食事は与えられますが、全く言葉をかけてもらえませんでした。児童養護施設の方が13歳のジニーを発見し、保護し、それ以降教育を施したそうです。しかし100語程度の語彙のみで、彼女は結局話すことができませんでした。5歳までに言葉をたくさん語りかけ、応答する経験がないと、そのあとにどんなに教育をしようとしても言葉は習得できないのだそうです。

ですから、サルの群れに人間の赤ちゃんを入れても言語を習得できません。語りかける親がいないからです。人間の世界にサルの赤ちゃんを入れても言語習得はできません。先天的言語能力がないからです。人間は人間同士の関係を通して言語を学ぶのです。サルよりも人間の姿勢が良いので脳が発達し、言語を習得したのではありません。

神からの語りかけ

それでは、言葉はどこから来たのでしょう。聖書は教えています。

初めにことばがあった。ことばは神とともにあった。

そうです。言葉のルーツは神なのです。
では、「聖書が教えている子供に教えなければならない一番大切なもの」とは何でしょう。それは、愛です。子どもの能力によらず、子どもの成功によらず、子どもという存在そのものを喜ぶ愛です。この愛は私たちをお造りになった魂の親、神を起源とします。神は私たちに言葉を理解する能力を与えました。言葉を語りかけました。言葉は何のためにあるのでしょう。愛を伝えるためです。

魂の親である神が、私たちに最も教えたいことは
「わたしあなたを愛している」です。
人間だけが言葉を持ちます。この理由は愛を伝え、愛を知り、愛を学ぶためです。人はパンだけで生きるのではありません。からだを生かすエネルギー源である食事はとても大切でしょう。しかし、心を生かすエネルギー源はもっと大切です。そのエネルギー源こそ愛です。神は、あなたを愛しています。

このあなたの造り主、神をお知り下さい。そうすれば能力主義、成功主義の世界から解放され、喜びと平安に満ちた人生に変革されるのです。私は親として子供に一番何を伝えたいのかと問われれば、それは「わたしはあなたを愛している」ということを伝えたいと思います。どうかあなたに、聖書の神からの愛が伝わるように、心から願っています。


使用CDジャケット
国分友里恵:主イエスのことばは

今日のみことば
わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。
恐れるな。わたしがあなたとともにいるからだ。
(イザヤ43:4-5)