#1036 恐れを取り除く神

メッセンジャー似顔絵

ごきげんいかがですか。高原剛一郎です。

さて、高校・大学の受験シーズンに入りましたね。全国の受験生の方々には、心からのエールを送ります。
何年か前のことですが、とある大学名のついた駅に降り立ったとき、駅構内に予備校のポスターがはってあったんです。こう書いてありました。
「試験会場ではみんな賢そうに見える。でも大丈夫。君もそう見えてる。〇〇予備校」なんだか暖かい気持ちになりました。
一年間頑張った受験生は、つい緊張しがちです。周りの受験生が、みんな自分よりできそうな気がしてきます。自分で自分を追い詰めてしまうような心理状態の受験生に、別の見方を紹介して励ましたんですね。「君だって充分賢く見えてるんだぞ」と。
ところであなたはご自分のことを、どのようにご覧になっていますか。そして、その自己像は正しい自己像でしょうか。聖書は、人が勝手に思い込んでいるセルフイメージではなく、神の目にどのように映っているかについて語るのです。
聖書は次のように語っています。

恐れるな。私はあなたとともにいる。たじろぐな。私があなたの神だから。私はあなたを強くし、あなたを助け、私の義の右の手で、あなたを守る。

ここには恐れを克服する励ましが語られています。ところで人はどういうときに恐れるでしょう。

全知全能の神に守られる

第一に、危機のときに信頼できる味方がどこにも見当たらないときです。
もし信頼できる味方が、すぐ傍についていてくれたら、勇気がわいてくるのではないでしょうか。
昔、「大草原の小さな家」という本が、ドラマ化されたことがありました。両親と三人の娘の物語です。アメリカが西部開拓にまい進する時代の話です。父さんは大草原に小さな家を建てるのです。何でも一人で出来てしまう、実に器用なお父さん。
ところがある日の夕方、家に戻ってきた父さんは、全身汗びっしょり、顔面蒼白です。何があったのでしょう。なんと未完成の小さな家の周りには、40頭ばかりの狼の群れに取り囲まれていたのです。
ボス狼が遠吠えすると、40頭がそれに続きます。実に不気味です。しかしこの家はまだ建てている最中で、なんと玄関に扉がなく、のれんのように布が下ろされているだけなんです。
家族はみんな恐怖に凍り付きます。しかし父さんは「大丈夫だ。今晩は父さんが寝ずに家の中から門を見張っているから」そう言って、ライフルに実弾を込め始めたのです。
いかにたくさんの狼がいても、入ってくるのは一頭ずつです。もし我が家に侵入するなら、これで打ち殺すから、大丈夫だというんです。その宣言を聞いた三人の娘たちは、心からほっとして、すやすやと眠りにつくのでした。
狼が去ったわけではありません。家の周りは相変わらず狼だらけです。それでも子供たちが安心できたのは、何故ですか?頼もしい父がともにいて、守ってくれていることが分かったからです。
聖書はこう語っています。「恐れるな。私はあなたとともにいる」と。
聖書の神は全知全能です。この神に守られる人生を生きたいとは思いませんか?神様はそれを望んでおられるのです。

人生のどん底を味わう夫婦

第二に、私たちは神ならぬものを神とするとき、恐れが生じるのです。
財産を神のように信頼している人は、その財産が消滅すると同時に、恐れで破滅します。友人を神のように頼っていこうとする、そういう人はその友人の態度で振り回されて、疲れ果ててしまうのです。世間の評判を神のように頼っていると、評判がひっくり返ったときに、自滅することでしょう。
ところで今年2020年は、アメリカの大統領選挙の年ですね。この大統領選挙の年、人生のどん底を味わう夫婦が一組あらわれます。それは大統領選挙に負けた夫婦です。
今から34年前、レーガン大統領の再選を阻止すべく立ち上がったのが、モンデールという候補でした。しかし525票対13票という、圧倒的大差をつけられ歴史的大敗を喫したのです。
その後の彼は悲惨でした。うつ状態になり、しかもそれが何年も続いたのです。そこで彼は立ち直りのきっかけとするために、自分が受けた選挙の12年前にニクソン大統領と対決したマクガバンという人物に会いに行くことにしたのです。というのは、マクガバンも520対17という大敗北を喫していたからです。「一体どうやって乗り越えたんだろう」、それで直接会いに行って秘訣を聞いたのです。
「マクガバンさん、どれくらい時間がたったら乗り越えられるんでしょう。あなたの場合はどうでしたか」。すると彼は言いました「もし私にそんな日が来たら連絡するよ」。なんと12年たっても、立ち直っていなかったのです。

神はあなたを決して見限らない

ところでレーガン大統領の次にブッシュ大統領が当選しました。しかしブッシュ大統領は2期目の選挙で、クリントンに負けたのです。
ブッシュさんは回想録にこう書きました。「この感情を文字にすることは難しい。それはつらいことだ。本当につらい。とてもつらい。とんでもなくつらい」。
このクリントン大統領時代、副大統領を務めたゴアという人も、大統領選挙に出馬し、負けてしまいました。その後、彼は顎ひげを生やし、隠居老人のようになり、あんなに雄弁な人であったのに沈黙の人に変わり果てたのです。
彼らは党の代表に選ばれるほど、有能で、エリートで、成功者の道を歩んできた人たちです。人並外れてタフで、賢くて、強いはずです。しかし選挙に負けたとき、自分の価値の全否定に走ってしまったのです。
人間の価値を成功することとか、世間の人々に支持されることに置くと、失敗したり、選ばれなかったりしたとき、まるで自分を無価値な人間のように考えてしまうのです。
成功も評判も、神ではありません。神は唯一です。あなたを造られた神は、唯一の神です。
そしてこのお方は、決してあなたを見限ることがありません。この神を神とすることが、人間の基本だと、聖書は語るのです。

すでに赦されているということ

第三に、人は自分の罪や悪と向き合うとき、恐れを抱きます。裁きが来ることを予期するからです。
昔、東京で講演したとき、一人の韓国人のクリスチャンの方が来て私に身の上話をしてくれました。実は彼は韓国で軽犯罪をし、タッチの差でうまくのがれ、日本に入国できたというのです。
ところが日本でキリストに出会い、罪の赦しを受け取ったのです。クリスチャンになったんです。そのとき、正しく生きたいという願いが生まれ、とうとう逮捕覚悟で帰国したのでした。
入国管理で別室に連れて行かれることを覚悟しましたが、特にそういうこともなく、すんなり家に帰ることができたのでした。ところが心が落ち着きません。いつ過去がばれて逮捕されるか、そういうことにおびえる毎日です。
とうとう彼は自首しに行きました。警察で調べられた結果、なんと新しい大統領就任のとき、恩赦を受けていたということが明らかになったのです。
「赦されている」これが、彼の心から恐れを取り去ってしまったのです。神はキリストによってあなたの罪を赦してくださいました。それが「義の右の手であなたを守る」という意味なのです。
どうぞあなたもイエス・キリストを信じて、全き平安、恐れをはねのける、偉大な崇高な素晴らしい道を歩んでください。心からお勧めいたします。


使用CDジャケット
向日かおり:強くあれ雄々しくあれ

今日のみことば
恐れるな。わたしはあなたとともにいる。たじろぐな。わたしがあなたの神だから。わたしはあなたを強くし、あなたを助け、わたしの義の右の手で、あなたを守る。
(イザヤ41:10)