ごきげんいかがですか。三綿直人です。
私は、毎年の年末年始、長野県は菅平で開かれるバイブルセミナーに講師としてお招きを受けています。今年は講演をリモート配信することになり、講師と配信スタッフだけが二年振りに会場のヘルモン山荘に集合したんです。冬のバイブルセミナーは、スキーやスノーボードが楽しめるということもあり、元気な若者の参加が多いのですが、今年は誰もいません。
イメージと実際は大違い
山荘の入り口に立った時、二年前に、若者たちが講師を歓迎して雪像を作ってくれたことを懐かしく思い出しました。それはスフィンクスの雪像だったんですね。スフィンクスはご存知の通りライオンの体に人間の頭が合体しています。その人間の頭部分が何と私なんですね。そして、頭部には申し訳程度に髪の毛を表す木の枝が置いてあったんです。こういうのは講師冥利につきますね。愛されている証拠です。そのことを思い出して、「ああ、来年こそはみんなで集まって、バイブルセミナーを開きたいなあ」と思いました。
ところで、スフィンクスで有名なのは世界最大スケール、ギザのピラミッドのそばにあるスフィンクスですね。このギザのスフィンクスの先100mに何があるかご存知ですか。何と、ケンタッキーフライドチキンの店舗があるんです。ピラミッドやスフィンクスは、砂漠のど真ん中にあるというイメージをお持ちの方が多いと思いますが、実は、すぐそばは市街地なんですね。イメージと実際は大違いなんです。
さて聖書もイメージと実際は違うことが多いと思います。多くの日本人にとって、聖書は道徳的、倫理的、観念的な教えが書かれてある書物だとイメージしておられると思いますが、実は現実的で、実際的なメッセージを語っているのが聖書なんです。
今日は「人生を豊かに生きる秘訣」と題して、聖書が語る豊かな人生について三つのポイントで考えてみましょう。
富があれば豊かになるわけではない
まず一つ目に、富は豊かな人生を保証しないということです。ルカの福音書12章15節でキリストは次のように語っています。
どんな貪欲にも気をつけ、警戒しなさい。人があり余るほど持っていても、その人のいのちは財産にあるのではないからです。と。
いのちは財産にあるのではない。つまり、富があれば豊かな人生というわけではないとキリストは教えておられるのです。
アメリカ人のある男性が、テレビのインタビューに答えていました。若い時に実業家として成功し、300億の財産を築いたんです。ところがその後、事業は失敗、自己破産して奥さんと1LDKの部屋に住んでいる。そこにテレビの取材が入ったんですね。
「財産を得た幸せ、財産を失った不幸、あなたは今どのようなお気持ちですか。」と。
よく聞きますよね!しかし、インタビューを受けた彼は穏やかに答えるんです。
「信じてもらえないかもしれませんが、今の方が幸せです。」
インタビューアーが「うそでしょ?」と再度聞くと彼はこう答えました。
「300億稼いだ時、私が何を考えていたか教えましょう。この300億をどうやって500億にしようかと考えてたんです。その時どれだけ不安だったか。もっともっとという思い、そしてそれを失ってしまったらどうしようという恐れ、全てを失って初めて、落ち着いた生活ができるようになったのです」と。
いやあ考えさせられますよね。私たちは富を得れば平安で豊かな人生を送ることができるとイメージしています。しかし、これはあくまでも持っていない人のイメージなんですね。実際に財産を得た人の多くが、もっと富を得ようと貪欲になったり、富を失ってしまうかもしれないという不安とともに生きているというんです。
いのちは財産にあるのではない。富があれば人生は豊かになるのではないのです。
キリストの例えは現実的
二つ目のポイントは、成功は豊かな人生を保証しないということです。キリストは続けてたとえを話されました。一人の大金持ちがビジネスで大成功したお話です。彼は、さらにビジネスを拡大するために、次々と企画、実行します。そして、大成功を収めて、自分自身に対してこう言うんですね。
「さあこれから先何年分もいっぱい物がためられた。さあ休め。食べて、飲んで、楽しめ。」
しかし、神は彼にこう言われます。
「愚か者。お前の人生は今夜で終わりだ。お前が用意した物は、いったいだれのものになるのか」と。
このキリストのたとえ話は非常に現実的だと思いませんか。ビジネスの成功本は飛ぶように売れ、株の投資セミナーは大盛況です。人は自分の成功のために一生懸命努力しています。しかし、キリストは現実を教えます。いくら成功し蓄えても、今夜人生が終わるなら、あなたの人生は豊かと言えるのかと。このたとえ話で登場する金持ちの男は、「私の穀物」「私の財産」「私のたましい」と、「私」「私」と繰り返し語っています。「私」に執着しているんです。
成功することが人生の豊かさになると思ってる人は大勢います。しかし、私の成功、私の才能、私、私、私の人生が今日終わるなら、あなたの人生は豊かだと言えますか。キリストは非常に実際的な話をしているのです。
神が豊かな方であることを知る
三つ目のポイントです。神が豊かであることを知る人生が、豊かな人生であるということです。キリストは金持ちのたとえ話に続けて弟子にこう語っておられます。
「空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもしないが、天の父なる神は豊かな方でその鳥を養っていてくださる。あなた方は鳥よりもはるかに価値がある。天の父はあなた方を覚えておられる。だから心配しないでよい。」神が豊かな方であることを知り、この神に信頼して歩む人生こそ、いのち輝く豊かな人生であると教えておられるんです。
神はあなたを満たすことができる
こんなお話を読みました。ノルウェーの国王オラフ5世の話です。彼は名君でいつも民のことを気にかけていました。ある時、王は街を歩いていました。いろんな不幸が重なって、家を失い困窮している人が道端に座っていました。彼は王様を見ると悲痛な声で訴えます。「王様、助けてください!私は何日も、何も食べていません!」
王様は彼のそばに近付き状況を聞きました。そして名前を尋ねます。「あなたの名前は何と言うのか。」「はいヨハンと申します。」王様はペンとメモを取り出して「今日の夕食会にヨハンを招待する」と書き、サインと王様の印を押してヨハンに渡します。
ヨハンは夕食の時間がやってきたとき、招待状を持って宮殿に行くんです。ガードマンである兵士が立ちふさがり「お前のようなものが来るところではない!」と突き返そうとします。しかし、ヨハンはメモを取り出し「王様からの招待です。」メモを見ると確かに王の印がそこにあり、「今日の夕食にヨハンを招待する」と書いてあります。兵士はしぶしぶ彼を中に通します。彼は食べ物をたらふく食べました。王様も大喜びしてくれたんです。
次の日になりました。また腹が減るんですね。そして夕方になると、ヨハンは再び宮殿に行くんです。兵士が近付いて来て言います。「昨日は王様の招待があったが、今日はそうさせないぞ!図々しいやつめ!」しかし、ヨハンは、兵士に王様のメモを見せてこう言います。「ここに招待状があります。」兵士が見ると「今日の夕食にヨハンを招待する」と書いてあるんですね。兵士はしぶしぶ中に通します。王様はヨハンを見てこう言うんです。「ああ、ヨハン、よく来てくれた。好きなだけ食べて帰ってくれ」
彼は毎日、王の宮殿で夕食にあずかったといういい話なんです。あなたは神に造られ、神に愛されています。この神は豊かなお方で、けちくさい方ではありません。あなたを満たすことがおできになる方です。自分で自分を豊かにしようとする世界の中でキリストは教えておられます。
この豊かな神のもとに帰るなら、あなたの人生は豊かにされる。満ち満ちたものになると。ぜひこのキリストによって、父なる神のもとに帰る方となってください。心からお勧めします。
(ルカ12:15)