「宇宙の人間原理と創造主」
「私はもう3年も悩んでいるのですが、人間は最後は死ぬのに、どうして一生懸命生きるのですか。ゴールに着いて何かいいことがあるわけでもないのに、どうして努力したり、恋をしたり、悩んだりするのですか。結局死んでしまうのに、生きることや、その間にすることに、どんな意味があるのでしょうか。友達や親に聞いても、誰も答えてくれません。」
これは人生についての根本的な問いだと思います。しかし、ほとんどの方は、明快な答えを持っていません。
わからないのです。どうしてわからないのでしょうか。人間の存在目的を、人間を出発点にして考えているからです。
私の友人に、ほとんど自力で別荘を建てた男がいます。プロではないけれど、プロ並みの仕事を何でもこなす人なんですね。
ところが彼の作った玄関扉には、下の方に高さ10㎝ほどの小さな扉が付いているではありませんか。
「何ですか、これは」と尋ねてみると、飼っている猫が出入りするための出入り口なんだそうです。私はそんなものが世の中にあるとは知らなかったので、びっくりしました。
しかし何のために存在しているかわからないものは、その作者に訊いたら、何のためのものかを説明してもらえるのです。
人間の存在の原因者がおられる
どうして人間の存在理由がわからないのでしょう。人間を存在させた神を認めないからです。
あなたを造り、あなたが生きていくために必要な地球を造り、そしてこの地球を命溢れる星にするために環境を整えておられる創造主を認めること、これが人生の目的を知る第一歩なのです。
聖書の中に次のような言葉があります。
天を創造した方、すなわち神。地を形造り、これを仕上げた方。すなわちこれを堅く立てた方、これを茫漠としたものに創造せず、人のすみかにこれを形造った方、まことにこの主が、こう仰せられる。『私が主である。他にはいない。』
過酷な宇宙環境
ところで宇宙の中で人が生きているということは、奇跡だということをご存じでしょうか。
先日「私を宇宙に連れてって」という本を読んで、私はそれを痛感いたしました。地球を飛び出して、ロシアのミールに長期滞在した宇宙飛行士たちは、狭くてうるさくて、あつくて汚い密閉空間で生活することになります。
しかし、その結果ユーリ・ロマネンコ宇宙飛行士は情緒不安定になり、アレキサンドル・ラベーキン宇宙飛行士はうつ病になって自殺を考えるようになります。宇宙船は快適とは言えないからです。
精神以前の問題として、食べ物の問題も深刻です。
宇宙船の限られた空間の中で、食料はできるだけ小さく、軽くなければなりません。それで圧縮された、歯磨きチューブみたいなものになってしまうのです。食の楽しみがなくなるとき、人間はちょっとのことでめげやすくなってしまうのです。
しかしそれ以上に大変なことは、食べたものを排泄することです。実はアポロ計画で使われた大便バッグは、透明のビニール袋でした。これをお尻にあてがってするのですが、宇宙飛行士のお尻の形状の平均的な曲線に合わせて作ったため、結果として誰のお尻にもフィットしないものができてしまったのです。
密着させるためのノリが体毛にくっついて、抜けてしまうのです。それでも何とか出したら、今度はバッグに殺菌剤を絞り入れて、封をして手で良くもむのです。そうしなと大腸菌がガスを発生させて、バッグはやがて破裂してしまうんです。
そして揉み方が十分でなかったために、実際破裂する事態が何回も起き、無重力空間をプカプカと大便がさまようようなことが起こり、宇宙船の中はパニックに襲われるということが続いたのです。
あまりの悪評に、トイレが作られるようになったのですが、凍った便が塵状になって舞ったり、ポップコーン状になって吹き上がったりする事故が起こります。
ちなみにスペースシャトルのトイレの開口部はたった10㎝です。適切な位置に肛門を持ってこられるように、肛門を写せるカメラを覗きながら、宇宙飛行士たちは排便のポジショニングの訓練をするんですね。
地球は見事に作られている
トイレだけではありません。宇宙遊泳でハイになって、宇宙船に戻りたくなくなった飛行士や、宇宙酔いで吐き気に悩まされたり、自分のあまりの体臭に苦しんだりします。実に宇宙船の中は壮絶な世界なのです。
こういう問題をひとつひとつ解決するために、各方面の専門家が世界中から集められ、人間そのものの弱さや特性が探求され、さまざまな技術を新たに開発して、居住空間の居心地を改善してきたんですね。
これらの知恵の結集なしに、人が忍耐できるような居住空間を宇宙の中に造り出すことは絶対にできなかったと、作者は断言しているのです。とするならば、この上もなく快適なこの地球という宇宙船は、人間を知り尽しておられる創造主によって見事に形造られたものだと言えるのではありませんか。
超絶なバランスで成立している宇宙
実はこの十年ほどの間で、物理学者たちが向き合い出しているテーマがあるのです。それは宇宙の人間原理です。
それは、宇宙な人間が存在できるように設計されているという考えです。つまり、人間が生きていくために宇宙があるという仮説で、1970年代にブランドン・カーターという学者が言い出すんです。
しかし、当初科学者の間では、大反発を浴びた異端的な考え方だったのです。しかし、今は違うんですね。
この10年の間に人間原理をめぐる風向きが、完全に変わりました。物理学者の多くの者達が、宇宙はなぜこのような宇宙なのか、を考えるようになったのです。本来、自然科学の世界では、「どのように」ということは問うても、「なぜ」ということは追及しません。しかし、今や最先端宇宙論や、物理学者は人間原理を無視できないのです。
例えば、地球にエネルギーを供給しつけている太陽は、水素の核融合をしています。
水素はヘリウムに変換するとき、水素の質量の1000分の7の割合で、エネルギーに代わるのですが、これが1000分の6に下がると変換できなくなり、宇宙は水素ばかりになってしまって、他は何も造り出すことがないのです。
逆に1000分の8に上がってしまうと、水素はあっという間に枯渇してしまうのです。超精密な調整された値の上に、この宇宙は成り立っているのです。このようなパラメーターは他に、40近くもあるというのです。
その40近くのパラメーターのたった一つの値が、ほんのわずか今より違っているだけで、宇宙は存在できなくなるというのです。
宇宙を作られた方が救い主として来られた
聖書はこう語っています。「天を創造した方、すなわち神、地を形造り、これを仕上げた方、人の住みかにこれを形造った方」がおられると。
この神の存在は、目で見ることはできません。しかし、神が整えられた宇宙の構造を通して、充分に認められるのではありませんか。
ところで神がいる、ということを知るということは、第一歩です。この紛れもなく存在する神が、どんなご人格の方なのか、それを明らかにするために、神は人となってこの世に来られました。この方こそ、イエス・キリストです。
壮大な宇宙を指のわざで造られた方が、この世界に来てくださったのは、あなたと出会い、あなたを神のもとに引き戻し、神の目的にかなった人生に導きくためなのです。
どうぞキリストを通して、この宇宙の造り主なる創造主の神様を、あなたのたましいの親として出会ってください。心からおすすめします。