新約聖書
「神が多くの子たちを栄光に導くのに、彼らの救いの創始者を、多くの苦しみを通して全うされたということは、万物の存在の目的であり、また原因でもある方として、ふさわしいことであったのです。」
(ヘブル2:10)

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「聖書と福音」高原剛一郎

No.837 2016年4月10日

「高貴なる人生の目的」

おはようございます、高原剛一郎です!

カット
版画家として有名な宗方志功は、学生の頃は油絵に夢中でした。そんな彼が崇拝するのは、ゴッホでした。
それでいつも「ワだば、ゴッホになる!」と口癖のように言っていたので、「ゴッホ、ゴッホと、おまえ風邪でもひいているのか。」とからかわれていたそうです。彼は画家になると志し、念願の東京に出ます。そしてそこで、ゴッホと通して版画に目覚めてしまうのです。
それはゴッホの描いた「タンギー爺さん」という絵の背景に、歌川広重や渓斎英泉の浮世絵が、そっくりそのまま写しとられて描かれていたんです。自分があこがれて止まないゴッホがあこがれていた手本は、なんと日本の版画だったのか、と感動した宗方は心機一転、版画家を目指すようになったんです。
すばらしい作品は洋の東西を問わず、手本にされ、真似され、そして採りいれられていくもんなんですね。

自然界は創造主のすばらしい作品

そう考えますと、今のハイテク製品の多くが、自然界にあるものの仕組みを採りいれて作られている理由がよくわかります。自然界に存在するものがハイテク製品のお手本になるのは、自然界そのものが創造主のすばらしい作品であるからです。
聖書にこういうことばがあります。

神が多くの子たちを栄光に導くのに、彼らの救いの創始者を、多くの苦しみを通して全うされたということは、万物の存在の目的であり、また原因でもある方として、ふさわしいことであったのです。

ここから、三つのポイントで考えましょう。

ハイテク製品の部品を供給していた東北の工場

第一に、神は万物の存在の原因者である、ということです。
すべてのものの造り主、この世界の第一原因者、あなたの作者である方を聖書は、神と呼んでいます。
ところで東日本大震災があった時、実は世界の産業界にも大激震が走ったと言われています。東北地方は美しい水資源に恵まれているため、大量の水を使用するハイテク電子部品の工場がたくさん集まってるんですね。震災によってこれらの工場がストップしたことで部品の供給が止まってしまいました。その結果、自動車や航空機やスマートホンなどハイテク製品が造れなくなってしまったんです。
例えば、自動車は一台、二万点から三万点の部品が組み合わさって完成します。このうち一点でも欠けると造ることができません。安全な車は完成した部品がすべてそろって、初めて完成するんです。どれかが欠けると完成できないんです。東北の工場には、これらハイテク製品の心臓部にあたる部品工場が集まっていました。だから東北の工場が停止すると、世界中の工場が連鎖停止してしまったというんです。

設計者が人間をつくられた

ところで、自動車ですら、三万点の部品の組み合わせで完成している。とするならば、人間の体の場合は、もっと複雑で多岐にわたる組織の組み合わせ、ということができます。
その体の一つ一つのシステムはどれもこれも未完成のものであっては成り立たないんです。一つ一つが初めっから完全なものとして組み合わされていて初めて生きるものとなるんです。実は進化論では、生命体というのは少しずつ不完全なものがより完全なものへと姿を変えていったと説明するのですが、それでは生命体はそもそも存在することできません。
一つ例を挙げてみましょう。人間の細胞の活動エネルギーは、アデノシン三リン酸という物質なんです。アルファベットで、ATPというんですね。このATPは非常に複雑な分子構造をしています。このATPこそは、DNAの活動エネルギーなんです。DNAはATPがなければ、複製することも、伝達することもできません。ATPなしにDNAは活動できません。
ところで、ATPはDNAの指令によって初めて作り上げられるものなんです。DNAがあって初めてATPは存在することができるんです。つまりATPはDNAがなければ、存在できず、DNAはATPがなければ活動できないんです。お互いがお互いを必要とし合っていて初めて存在しているという関係です。ちょうど、東北のハイテク部品が全部そろって初めてハイテク製品が完成するのと同じです。
すばらしいハイテク製品は、初めから完全な部品がすべてそろっていて、初めて出来上がるんです。すばらしい人間の体は初めから完全な部品がすべてそろっていて、初めて生きることができるんです。これは少しずつ単純な物質が変化を重ねて、生命体になったという進化論では全く説明できないことなのです。
唯一納得のいく説明は、すべての完成部品を初めから用意して造られた第一原因者、設計者が人間を造られたということだけなのです。

人の目的の実現のためにキリストが来られた

第二に、神は万物の存在の目的者であられるということです。聖書によると、すべての人間には目的があります。どんな人にも、目的があります。神の栄光を現すという目的のために人は造られたのです。今は、人は、この目的を見失って、無目的の人生を生きてますね。
しかし第三に、神は本来、人が造られた目的をその人の人生の中で実現するために、救い主イエス・キリストを遣わしてくださった、というのです。

アトランタでのある事件

今から十年程前、アメリカのアトランタで凄まじい事件が起きました。
強姦の罪で捕まったブライアン・ニコルスという33歳の男が裁判の最中に暴れ出し、警備員から銃を奪い取って乱射し、逃走を始めアパートに逃げ込んで、その部屋の住民である女性を人質にとって立てこもったのです。彼女の名前は、アシュリー・スミスという人でした。犯人と二人っきりになったアシュリーは、彼に向かって静かに語りかけたんです。
実は自分には5歳の娘がいること、夫は4年前に事件に巻き込まれて刺殺されたこと、もし自分が殺されたら、この娘は天涯孤独になってしまうこと、そして自分は夫の亡き後、やけくそになって軽犯罪を犯してしまったため養育権を取り上げられてしまったこと、そして娘に会えるのは月に一回だけで今日がその日にあたるので、どうぞ私を行かせてほしいとお願いしたんです。しかし、犯人の応えは、ノーでした。でも彼女の身の上話を聞いてるうちに犯人は落ち着きを取戻すのです。
そして彼女が日課にしてる本の朗読をしてもよいかと尋ねると、それに対してはイエス、でした。彼女が読んでいた本は聖書の入門書であったのです。
その本の中にはこうありました。
「神はすべての人に目的を持っておられる。私たちは絶えず神にどうすればよいかを問いながら、生きるべきである。」
そこを読んだ後、彼女はこう言ったんです。
「あなたが逃げ続けてるのは、捕まってしまったらもう何もかもがおしまいだと思ってるからでしょ。でも神さまは私たちの罪を赦すために、キリストに罪を負わせて、彼のいのちで償いを終わらせてくださったのです。どんなひどい過去の人も、キリストによって罪赦され、新しくされ、人生の目的に向かって新しい歩みを始めることができるのよ。あなたは自首をして刑に服すべきです。そして刑務所の中で他の服役囚たちにキリストの福音を伝えるというのが、あなたの使命であり、目的ではありませんか。」
驚くべきことが起こりました。犯人は銃を置き、彼女を解放し、自首したのです。そしてFBIに向かってこう言ったそうです。
「彼女は私をキリストに導いた、天使のような人です。」

キリストによる新しい人生

キリストは私たちを新しい人に造りかえることがおできになるのです。
どうぞあなたもこのイエス・キリストを信じ受け入れてください。心からお勧めしたいと思います。

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