旧約聖書
「天を創造した方、すなわち神、地を形造り、これを仕上げた方、すなわちこれを堅く立てた方、これを茫漠としたものに創造せず、人の住みかにこれを形造った方、まことに、この主がこう仰せられる。『私が主である。ほかにはいない。』」
(イザヤ45:18)

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「聖書と福音」高原剛一郎

No.816 2015年11月15日

「地を人の住みかに造られた神」

おはようございます、高原剛一郎です!

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 今から25年ほど前、地球環境を再現した巨大密閉空間施設がアメリカのアリゾナに造られました。バイオスフィア2(Biosphere2)という施設です。高さ28メートル、広さは3700坪、地面から上の空間は、鉄とガラスで覆われています。また、地下は鋼鉄でふさがれているのです。外の世界とは空気も通さない、完全密閉構造なのですね。この巨大な缶詰のような環境の中に、人工的な熱帯雨林やサバンナ、水深8メートルもある海を造ります。海の中には、サンゴ礁や魚が泳ぎまわっています。要するに、地球そっくりの環境を人工的に造りだしたのですね。
 何のためにそんなものを造ったのでしょう。やがて人類が宇宙のどこかの星に移り住んだとき、閉鎖された生物圏をつくって、そこで生存できるかどうかということを実験によって確認しようとしたのですね。それで、このバイオスフィア2には、男4人女4人、合計8人の人間が、その中に入って2年間共同生活をすることにしたのです。8人は全員科学者で、様々な実験をすることになっていました。

次々と発覚する劣悪な環境

 彼らは初め、豚を飼っていたのです。しかし、すぐに殺して食べています。なぜなら、豚は人間の食べるものを食べるからです。地球環境の中では家畜は役に立つのですが、人工的地球環境では豚は食物を巡って人間のライバルになってしまうというのです。
 しかし、もっと深刻な問題が出てきました。それは、酸素が不足していたことです。いったいどういうことが起こったのでしょう。まず熱帯雨林が、次々に枯れていくのですね。温度も気圧も丁度良いように調節されているのに、どうしてジャングル地帯が駄目になっていったのでしょう。人工的地球環境では台風や大嵐が発生しないからです。
 実は、樹木というのは、大風に吹かれて負荷がかかることで、それに打ち勝つために大地にしっかりと根付いていくのですね。ところが、バイオスフィア2には一切風が吹かないのです。ストレスがないという環境が、逆にストレスとなって、広大なジャングルは滅びていったのですね。さらに、酸素が猛烈に減っていきました。何と7万トンもの酸素が消滅していったというのです。激減したのは酸素だけではありません。CO2二酸化炭素も大量に不足していきます。実はバイオスフィア2の中にあるコンクリートの建物が、CO2を吸収していたのです。二酸化炭素が減ると、植物が育ちません。光合成できなくなるからです。するとますます酸素が減っていくのです。普通の地球環境では酸素濃度は21%です。しかし、バイオスフィアでは14%にまで減ってしまいました。慢性酸素不足でみんなふらふらです。全員が睡眠時無呼吸症候群になり、血液の組成まで変化してしまったのです。

人間関係のこじれが生じた

 メンバーの一人は医者でした。彼は全員の健康チェックをする人です。しかし、正しい診断もできなくなっていきます。というのは、その本人が、あまりの酸素不足のために簡単な足し算ですらできなくなっていくのです。
 理論上地球環境を再現したはずのバイオスフィア2は時間がたつほどに劣悪な環境になっていったのです。そしてそれとともにメンバーひとりひとりが、いらいらし始めるのです。そしてとうとう、男女4人ずつが2チームに分かれて反目するようになります。互いに口を利かなくなる人が出てきます。押しつけがましい人が出てきます。そしてやがて権力闘争が始まるというのですね。そしてこの人間関係のこじれは、酸素不足と同じぐらいにひとりひとりのメンタルにダメージを与えていったというのです。実験を始めたばかりのとき8人の男女は、みんな選ばれた科学者として希望で胸がいっぱいになっていましたが、終わってみると疲れ果てていたのですね。

この世の創造者がおられる

 さて、わたくしはこの2年間の実験記録を本で読んで3つのことを考えました。第一に、この地球を人の住みかにつくられた神が間違いなしにおられるということです。聖書の中にこう書いてあります。

天を創造した方、すなわち神、地を形造り、これを仕上げた方、すなわちこれを堅く立てた方、これを茫漠としたものに創造せず、人の住みかにこれを形造った方、まことに、この主がこう仰せられる。「私が主である。ほかにはいない。」

人間が生きていくのに2年も持たないようなバイオスフィア2でしたが、そんな不完全な地球環境でも、でたらめに偶然にできたのではありません。科学者たちが集まって、知恵を結集して造り上げたのです。そんなものでも、十分な環境とすることはできなかったのです。そうするならば、完璧な地球環境は科学者をはるかに上回る知恵の神によって、人の住みかとして設計されたと考えるのは、当然のことではないでしょうか。

創造者とつながる

 第二に、創造者とつながることは人間にとって大きな力となるということです。酸素不足や思わぬ環境の劣化によっても、8人の科学者がパニックになることはありませんでした。なぜでしょうか。密閉環境の外にいる家族とは、電話や面会で会うことができたからです。面会と言ってもバイオスフィアの中に入ることはできません。扉を開けてしまうと外の環境が入り込むので、実験の意味がなくなってしまうからです。
 しかし、外との仕切りとなっていたのは、透明なガラスでした。ですから、姿を見ることができた。言葉を交わすことができた。外の、今自分を見守っている人と、つながることができた。この息の詰まる缶詰世界の外側に、温かく自分を見守り、心配し、応援してくれる人を彼らは持っていたのです。
 さて、主なる神様は、あなたの魂の親、魂の父です。時に、完全な地球環境に住んでいるのにもかかわらず、私たちは、精神的に窒息しそうな気分で生きているというようなことは、ありませんか。孤独と暗闇で見通しが立たず、絶望的な思いにとらわれるということは、ありませんか。おぼえて下さい、あなたを心配し、応援し、支える神がおられるのです。「私が主である。ほかにはいない。」と神はあなたに語っておられるのです。

天国が用意されている

 第三に、彼らが精神的に持ちこたえることができたのは、この実験が、二年間限定で時が来ればそこから出ることができると知っていたからです。あるいは実験の途中であったとしても、どうしても耐え難くなったときには、外に出ることができたのです。
 神は、人間の罪によって、生き辛くなった世界の外側に永遠の天国を用意しておられる方です。そして私たちに、この罪の世界から罪のない世界に入る資格を与えるためにイエス・キリストを十字架の上で裁いてくださった方なのです。このキリストは、十字架で死んで3日目によみがえり、あなたの罪についてけりをつけて下さった方です。
 どうぞあなたもこのイエス・キリストを信じ、ご自分の救い主として受け入れ、永遠の命をお受け下さい。心からお勧めしたいと思います。

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