新約聖書
「きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。あなたがたは、布にくるまって飼葉おけに寝ておられるみどりごを見つけます。これが、あなたがたのためのしるしです。」
(ルカ2:11-12)

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「聖書と福音」高原剛一郎

No.873 2016年12月18日

「クリスマスはあなたのために」

おはようございます、尼川匡志です!

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クリスマスは大人も子どもも不思議と心がウキウキします。プレゼント交換をしたり、おいしい食事やケーキを食べたり、パーティーをしたり、親しい人と過ごす時間は格別です。
さて世界で一番初めのクリスマス、つまりイエス・キリストの誕生の知らせは野宿している羊飼いたちのもとに届けられました。
彼ら羊飼いは決して裕福ではなく、仕事はきつく、危険も伴います。人から見下げられるような仕事でもありました。
その彼らのもとに御使いたちが来たのです。

きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。あなたがたは、布にくるまって飼葉おけに寝ておられるみどりごを見つけます。これが、あなたがたのためのしるしです。

キリストは小さな人たちのために来られた

なぜ御使いは取るに足らない羊飼いたちにこんな大事な知らせを伝えたのでしょうか。
エルサレムで時の支配者や宗教家、権力や財力のある人たちに知らせた方がはるかに効果的なはずです。
でもこの中にこそ神の大切なメッセージが込められているんですね。
この世ではちっぽけに見えるような人たちにこそ神の目は向けられるんです。キリストは取るに足らないような人のためにこの世界にまでこられた救い主なんですね。

患者を励ますファシリティドッグ

クリスマスは誰もが同じように楽しいわけではありません。私たちの住む世界には多くの痛みや苦しみがあります。クリスマスを病院で過ごさなければならない子供たちも多くいるんです。
ファシリティドッグという言葉をご存知でしょうか。ファシリティとは施設のこと、ファシリティドッグとは病院などに朝から晩まで常駐し、病室を訪問して回る犬のことです。
苦しい治療や検査に耐えている子どもたちやその親には大変なストレスがたまります。彼らに寄り添って、慰め、励ますのがこの犬の仕事なんです。あるときはベッドの上で添い寝をします。撫でられるままに身を任せたり、顔を病人の膝に乗せたりして寄り添います。
このファシリティドッグは盲導犬以上の質が要求されます。ですから日本にはまだ「ベイリー」と「ナギ」という2頭しか存在しません。

神は私たちを慰め励ましてくださる方

この犬には子供たちの不安や恐怖を察知する力があるようです。
ナギが病院を巡回していた時のことです。一つの病室の前で立ち止まり動きません。
同行していたハンドラーと呼ばれる専門訓練を受けた医療従事者の方が「入っていいですか」と尋ねますと、その病室には先ほどまで目の前の手術が不安で不安で泣いていた女の子がいることが分かりました。ナギはそっと近付きしばらく寄り添っていました。彼女に微笑みが戻りました。
また5歳の小児がんの男の子はきつい抗がん剤の副作用で大人でも耐えられないほどの苦痛に襲われていました。お母さんは胸が張り裂けそうでした。
その彼にナギが出会って劇的な変化が産まれました。笑顔が戻り、病院が楽しみになったと言うんです。ナギを撫でていると心が落ち着き、ナギの優しい目で見つめられるとストレスが消えていくと言うんです。
相変わらず治療は苦しいんですが、その中に一時の楽しみがうまれたと言うんです。それは本人だけではなく両親にとっても計り知れない慰めだと言います。笑顔のある人生が少しよみがえりました。
犬には人間と共感できる特性があるそうです。そのようにプログラムされました。では犬にこのプログラムをした方は誰でしょうか。創造主である神です。
ここに神のご性質を垣間見ることが出来ます。
つまり神は私たちの心に寄り添い、慰め、励ましを与えたいと願っておられる方だということです。

弱者に寄り添い愛されたキリスト

本当に神は70億以上いる人間一人一人の心に寄り添い、慰め、励ましたいのでしょうか。私たちの心に勇気を与えたいのでしょうか。
それを知るには聖書のイエスを見ればよくわかります。取るに足らない、この世では価値のないような人たちにどのように接し、寄り添い、愛されたのかを知れば分かるんですね。
イエスは病気で弱っている者がみもとに連れて来られたとき一人一人に手を置いて癒されたと書いてあります。12年の長血という痛みを伴う婦人病で、全財産を失った女性の苦しみと、悲しみを、病気が完治した後ゆっくりと聞いて慰められました。
ツァラアトという忌み嫌われる病気で何年ものあいだ人のぬくもりから引き離されていたその人にそっと手を当てて「わたしの心だきよくなれ」と言い、治されました。
希望を持てない生まれつきの盲人に未来の希望を与え、そしてその目を開かれました。
結婚と離婚を5回も繰り返した女性の人生をやり直すことが出来るようにするため、炎天下の井戸の傍らでずっと待っておられました。
金が全てだと、取税人になった虚しい人生を歩いていた男を弟子とされました。
姦淫の現場で捉えられ、死刑にされるその女性に寄り添いながら、罪から立ち直る機会を与えられました。
罪人や遊女で世間から後ろ指さされて生きてきた人たちの家に行って一緒に食事をされ、「わたしがあなたの友です」と言われました。
3度イエスを裏切ってしまった弟子に、3度愛しますと言えるように導き、取り返しのつかない失敗から立ち直らせてくださいました。
イエスという方がどのように生きて来られたのか。この世界で小さくて、取るに足らない物に目を向けて生きられたのです。

神はあなたの痛みを知ってくださっている

あなたの人生は順調でしょうか。
病気のせいで心が塞いでいませんか。仕事がうまくいかなかったり、心無い言葉に傷ついたり、夢破れて絶望していないでしょうか。
未来が見えない人もいるでしょう。人を裏切ってしまった人も裏切られた人もいるでしょう。このままではどうなるのかと漠然とした不安に襲われてる方もおられるはずです。
そんなあなたのために「きょうダビデの町で、あなたのために救い主がお生まれになりました。」というメッセージが聞こえてくるんです。なぜ今朝このメッセージがあなたの耳に届いているのでしょうか。偶然ではないんです。
神はあなたの心の痛みをご存知です。あなたに寄り添い、慰め、励まし、立ち上がらせて、希望と笑顔のある人生に戻って欲しいんですね。
あの後羊飼いたちはこう言いました。「さあ、ベツレヘムに行って、主が私たちに知らせてくださったこの出来事を見て来よう。」と。
あなたは何と言われますか。今日聖書を開き、教会の門をたたいてみてください。
あなた自身の救い主を見出すために、あなたの心にクリスマスが今日来ますように、心からお勧めしたいと思います。

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