「慈愛の神の子イエス・キリスト」
大変良い温泉で日頃の疲れが癒されたのです。ところが散歩がてら土産物を買うために奥様と一緒に旅館の玄関を出たその瞬間、番頭さんがこう言ったんです。 「じいさん、ばあさんお出かけです。」
一瞬頭の中が真っ白になりましたが、聞き違いだろうとやり過ごして、一時間程して戻ってきたのです。
すると、さっきの番頭さんが言いました。「じいさん、ばあさんお戻りです。」
二回も聞いたのでこれは間違いありません。彼は言いました。「客に対してじいさん、ばあさん呼ばわりするなんて失敬じゃないか！」と言ったのです。すると番頭さんはきょとんとして「そんなことは言ってません。」と言うのです。
よくよく聞くとこの番頭さんは彼らの部屋番号である「13番さん」と言ったのです。ただ言葉のなまりで「13番さん」が都会の人には「じいさん、ばあさん」に聞こえたって言うんですね。いやあ一字違いで大違いですね。
ところで一字違いが大きな違いを生むものはこれに限った事ではありません。神様についてもそれが言えるのです。
私たちが今まで聞いてきた神とは人間「が」作った神々のことを神と呼んできたのです。人間の宗教心や祟りを恐れる心が作った神々、人間が作った神々を神と呼んできたのです。
しかし聖書の語る神は人間「を」お造りになった方です。世界「を」造り、宇宙「を」造り、自然界「を」造り、そしてあなたという存在 「を」造られた方、この世界の第一原因者である方を「神」、「創造主」と呼ぶのです。
そしてこの神こそは人が崇めるべきお方なのです。聖書にこのように語られています。
私たちの主イエス・キリストの父なる神、慈愛の父、すべての慰めの神がほめたたえられますように。
ここから三つのポイントで考えたいと思います。慈愛の神様
第一に、あなたの創造主なる神は慈愛の父なる神です。
慈愛と言うのはわが子を愛するような慈しみから出てくる愛のことを慈愛と言います。それは恵みの愛と言い換えることが出来ます。神様はいつでもあなたに対して恵み深くあられる方です。たといそう見えない時があったとしても神は依然としてあなたに対して恵みを施そうと待ち構えておられる方です。
私は先日、元ヤンキースの松井選手とそして今も大リーグ現役のイチロー選手のエピソードを読んで考えさせられました。
実は二人は高校時代からお互いをよく知っていたのです。練習試合で交流があったんですね。松井選手は大砲、イチロー選手は安打製造機、二人はお互いをライバルと認め合う良き友であったのです。
その松井が日本のジャイアンツから大リーグのヤンキースに移籍を決めた時、日本中は祝福したのです。と言うのは、ヤンキースというのは大リーグの数ある球団の中でも名門中の名門、超一流の選手たちが目白押しのスター軍団で、優勝する可能性が一番高い球団でもあるからです。日本の超一流選手を出すからには最も脚光をあびる球団に行くのがふさわしいと考えて誰もがこの決定を祝福したのです。
イチロー選手の本意
ところがイチロー選手だけは違いました。この彼の決定に異を唱えたのです。日本中が最良の決定をしたと喜んでいる時に、まるで水をさすように友の決定に対して異議を唱えたのです。
いったいなぜそんなことを言ったんでしょう。ヤンキースに入団してしまったらヤンキースのすごいピッチャーたちと対決できなくなってしまうからです。
野球人として、また一流の打者として最もエキサイトするのは最高のピッチャーと対決して勝つことです。イチロー選手はヤンキースと何度も対戦し、その実力をよーく知っていました。そしてヤンキースのピッチャー達を尊敬していたのです。また松井選手を心底スラッガーとして認めていたのであえてそんな意見が出たんですね。
しかし、もし事情を深く知らない人がこの言葉を聞けば、花形球団に入ったことへの妬みに違いないとそのように勘違いされるかもしれません。しかし、それは本当の意味で友を愛し、野球を愛する心から出た言葉であったのです。
神様は慈愛の神です。たとい表面的に愛してるように見えなくともそれでもあなたを愛しておられる方です。
親が子を愛するようにあなたを愛して救いに導きたいと願っておられる方なのです。
心を痛める愛
先日、高知県でこんなことがありました。同居している息子の机の中から覚せい剤の袋を見つけてしまったお母さんの話です。
この息子は5年前にも一度覚せい剤で捕まっていました。反省してもうやめたと言っていたのですがいつの間にかまた元に戻り手に入れ使っていたと言うのです。
このお母さんは息子のことを心から愛していました。そして愛していたがために警察に通報したのです。このままいったら息子はとことんダメになる、もはや警告や説得では更生できないということを知ったのです。
そして拘置所にいる間も一切息子に面会に行くことはありませんでした。それは胸がつぶれるような思いであったからです。そして何よりも罪に向き合ってほしかったからです。
裁判所での判決の時、お母さんは只々声を殺して泣くだけでした。
しばらく見ない間に何年分も老けてしまって、ふらふらになってる母親の姿を見た時、自分の人生をここまで真剣に考えている存在に彼は打ち砕かれたと言うのです。
神様はあなたのために心打ち砕かれるような思いで、あなたの救いを待っておられる方なのです。
慰めの神
第二に、神は慰めの神です。
少し前の話ですけどアメリカのテキサス州にあるハロルドという街で学校教師が自己防衛のために銃を携帯して学校に行くことが了承されたというニュースがありました。
学問の場所で何でそんなことがあるんでしょう。学校内の発砲事件が相次いだからです。自分と生徒たちを守るためには武装して教壇に立つこともやむを得ないというわけです。
ところでFBIは学校内での銃乱射事件を起こした未成年17人の精神鑑定を行った結果、共通点を見つけ出したと言うのです。それは全員、少年とその父親との関係に重大な問題があったということです。
この少年たちは父から励ましや慰めや祝福を受けたことがなく、むしろその存在を否定され続けてきたと言うことがはっきりしたのです。
万一あなたの父親がそのような方であったとしてもどうぞ諦めないでください。あなたの魂の親である神は慰めの神なのです。どんなことがあってもあなたを見限ることがない、決してあなたを諦めることがない方です。
一人子を犠牲にされた方
第三に、神はイエス・キリストの父なる神なのです。
イエス・キリストの父なる神、つまりイエス・キリストは神の一人子である方だということです。
神はこのご自分の一人子をあなたのために十字架の上で犠牲にして、あなたの罪を償ってくださった方です。
そればかりか、このキリストを三日目に死からよみがえらせ、死を滅ぼし、あなたのために栄光の天国を準備してくださいました。
どうぞこのイエス・キリストをご自分の救い主として信じ受け入れてください。心からお勧めしたいと思います。
