新約聖書
 マリヤは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださる方です。このすべての出来事は、主が預言者を通して言われた事が成就するためであった。『見よ、処女がみごもっている。そして男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。』(訳すと、神は私たちとともにおられる、という意味である。)
(マタイ1:21-23)

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「聖書と福音」高原剛一郎

No.766 2014年11月30日

「インマヌエルと呼ばれるキリスト」

おはようございます、高原剛一郎です!

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 今から450年ほど前、時の権力者、織田信長はポルトガルから来た宣教師とその通訳者、了斎を前にしていくつか質問をしたと伝えられています。「お前たちはどこから来たのか。」「はい、ポルトガルです。」「ではポルトガルとはどこにあるのか。」「はい、ここです。」と言って地球儀を宣教師は見せたんですね。「日本に来るのにどれぐらいかかったか。」「はい、2年半です。」「日本に来た目的は何なのか。」「はい、キリストを述べ伝えることです。」その時、信長が声を荒げて詰問します。「嘘を付け!そんなことのために遠い国からやって来るはずがない。お前たちは日本の宝を盗むためにやってきた泥棒に違いない!」その時、通訳の元琵琶法師了斎は答えるんですね。「お方様のおっしゃる通りです。私どもは日本の宝を盗むために来た泥棒です。但し、日本の宝とは金銀財宝ではありません。日本人の魂です。今、日本人は死と死後の裁きの手にがっちりつかまれています。私どもはこの死の手から日本人の魂という宝を神の手に連れ戻し、盗み出す泥棒でございます。」信長はその答えを聞いて即座に伝道を許可したと言われています。その心意気に感じ入ったんですね。

キリストは天から来られた

 ところでキリストはポルトガルよりもっと遠い所から来られた方です。天からのこの世に下って来てくださった、人となられた神であるからです。今日は神があなたの命を救うためにこの世に遣わされたイエス・キリストについてお話しいたしましょう。今から二千年ほど前、ユダヤのナザレにいたヨセフという人物に神からの言葉が伝えられました。やがて婚約者のマリヤが男の子を産むが、それは不貞によるものではなく神の霊によるものである。聖書の本文ではこう書いてあります。

「マリヤは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださる方です。このすべての出来事は、主が預言者を通して言われた事が成就するためであった。『見よ、処女がみごもっている。そして男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。』(訳すと、神は私たちとともにおられる、という意味である。)」

 ここにキリストがこの世に人として誕生された理由が書いてあります。それはインマヌエルと呼ばれるためです。インマヌエルとは「神が私たちとともにおられる」という意味です。

自分を犠牲にする

 上智大学の名誉教授にハビエル・ガラルダという人がいます。彼は昔、あるハンセン病専門病院で実習していたことがあったそうです。そしてその中で忘れられないことが一つあったとおっしゃるんです。ある病室に二人の男性患者が入院していました。この入院は当時退院できない入院です。一人の男性Mさんは、病気のために完全失明の状態でした。とっても明るい方です。しかし天涯孤独で、家族も親戚も一人もなく、面会者もなく、そして貧しく、病院の外に一歩も出たことがない、そしてこれからも出ることがない方です。もう一人の男性Hさんは、テレビを見るのが唯一の楽しみという人です。休憩室に施設に一台だけ設置されたテレビを見るために、毎日足を運んでそして一日を過ごすという方なんですね。
 底冷えのするある冬休みの日のことです。失明しているMさんがハビエルさんにこう言いました。「私はね、もう何があったって絶対に決めていることがあるんですよ。どんなことがあったとしても扇風機を買うことに決めているんです。」「え!こんなに寒いのにですか。」「いやいや、ここは夏がどうしようもなく熱いでしょ。だから来年の夏までに買えるように今貯金してるんです。」Mさんは本当に貧しかったので、ごくわずかな収入の中から一円一円貯めて、一年がかりで夏に扇風機を買うという夢を持ってたんですね。
 それから半年ほどたって夏の熱い盛りにその施設を訪問して見られたのです。ところがMさんの部屋には扇風機がない。ああ、貯金間に合わなかったんだなあと思ってこの話題に触れないようにしたかったのですが、どうにも我慢できなくなって「Mさん、扇風機どうなったんですか。」「ハビエルさん、扇風機なんかなくたって人間死にやしませんよ。いえ、お金はたまりましたよ。でも同室のHさんの病状が悪化して彼は両足を切断したのです。それで休憩室まで歩いて行けなくなり、ずいぶん寂しがってたんです。だから扇風機の貯金とちょっとした借金でテレビを買ってあげました。」
 ごく自然に、淡々とMさんがそのように話したというのです。自分は目が見えなくてテレビを買ったって見ることはできません。しかしMさんにとって唯一の友であるHさんが、それを見て楽しんでくれていたらそれが自分の喜びだっていうんですね。どうしてそんなふうにできるんでしょう。自分と同じ境遇なので同じ思いになることが出来たというのです。

すべての人に勝る友 キリスト

 私はそれを読みながら、ああ、こんな人が同じ部屋の同居人であるとは、Hさんは何て幸せなんだろうと思いました。自分のことを親身になって思いやる友がルームメートなのです。たとえ健康で、裕福で、自由があっても、憎しみに支配された人生は苦々しいものです。しかし、自分の問題を親身になって共に担い、励まし、慰める勇敢なる友を持つ人は本当に幸せ者であると思います。そして、このラジオを聞いてくださっているあなたにも、このMさんに勝る友がおられるということを今日ご紹介したいのです。それこそが人となったイエス・キリストなのです。なぜならこの方は人とともにいる神、インマヌエルであるからです。人を責めるためではなく、人の弱さ悲しみを我がこととして引き受けるために、生身の肉体を持ってこの世に来てくださった神、それがイエス・キリストなのです。

キリストは人間の罪を解決された

 ところで、聖い聖い聖い神と、罪にまみれた人間が、永遠にわたってともにいることを喜ぶことが出来るようになるためには、どうしても解決せねばならないことが一つあります。それは人間の罪を永久に完全に処分するということです。キリストは単に人とともにいて、人に励ましを与えるためにだけ来てくださったのではない。人が本来落ちていくべき地獄の苦しみを、たった一人であの十字架の上で引き受けるために天から来てくださった方なのです。そして、墓に葬られてから三日目に死を突き破って復活された方なのです。この死とよみがえりの生涯に入るためには、まず一度天から来られる必要があったのです。今、キリストはご自分を救い主として受け入れる人の心の中に住んでくださる方です。そして心の中でキリストが住んでくださるということによって、文字通りインマヌエル、人とともにいる神となってくださるんです。どうぞあなたもこのイエス・キリストをご自分の救い主として信じ受け入れてください。心からお勧めしたいと思います。

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