旧約聖書
 地の果てのすべての者よ。わたしを仰ぎ見て救われよ。わたしが神である。ほかにはいない。
(イザヤ45:22)

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「聖書と福音」高原剛一郎

No.745 2014年7月6日

「キリストを仰ぎ見る」

おはようございます、高原剛一郎です!

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 中国の大都市で今大きな問題となっているのがPM2.5と呼ばれる超微粒子による大気汚染です。今では月に20日以上が基準値を超えているので学校では野外の運動が制限されています。また公園でのんびり太極拳を楽しむこともできません。そんなジレンマを解決するために、ロンドンのオープロジェクトという建築事務所が大胆な提案をしているそうです。一言でいうと都心部の公園を半透明の巨大なドームで丸ごと覆って、外部の空気をシャットアウトするインドア野外を作り出すって言うんです。このドームの中には空気清浄フィルターを取り付けて、きれいな空気だけが流れ込むようにするっていうんです。ところでいったいどうやってその巨大ドームを作るんでしょう。簡単に言うとドームの内側に鉄製の構造体を張り巡らせて、それを半透明のフッ素樹脂フィルムで覆うんです。薄いフィルムで覆わないと太陽光が入って来ません。しかし、フィルムが薄いと雨風にさらされて破れやすくなってしまいます。そこでしなやかなのに破れにくい構造物の形にする必要があったんですね。いったいどんな形なんでしょう。

創造主とは自然界のデザイナー

 何とこの会社は植物の葉脈の発達の仕方を研究し、そこからアルゴリズムを開発して工業的に再現したのです。植物の葉っぱには血管のように網目状にチューブが張り巡らされていますが、あれはでたらめに配置されているんではありません。雨風によるストレスに対して究極的に対応できるデザインなんです。だからこそこのデザインを物真似てドーム公園を作ろうって言うんですね。建築上の効率をとことん突き詰めると自然界に既に存在しているものに行き着くのです。これは自然界が極めて優れたデザイン性を持っているからです。デザインはデザイナーの手による作品ではありませんか。つまり自然界にはそのデザイナーがおられるはずなのです。この自然界のデザイナーを聖書は創造主なる神とお呼びするんです。聖書はこう言っています。

「地の果てのすべての者よ。わたしを仰ぎ見て救われよ。わたしが神である。ほかにはいない。」

   ここから三つのポイントでお話ししたいと思います。  第一に、聖書が語る神は地球上に住む全人類の神であり、この創造主以外に他に神はいないということです。神は唯一であって民族や文化や国境を超えた普遍的な存在であると言うんです。ところでこの調和のとれた自然界は、いくつもの物理法則が組み合わされることによって支えられています。例えば万有引力の法則、ニュートン運動の三法則、理想気体の法則、メンデルの法則などなどなどです。自然界を造るとはこれらの法則を造ることにほかなりません。ところで万有引力の法則に民族や文化の違いはありませんね。日本の万有引力とアメリカの万有引力に区別はありません。万有引力は万有引力であって、それは唯一普遍、地のどこででも通用するルールです。この地の果てのすべてのものを支配する法則を打ち立てた方は唯一の存在なのです。したがって創造主に民族の区別はありません。日本人の神は他のすべての民族の創造主です。人類の先祖を造り出された神は唯一の神です、「私が神である。ほかにはいない。」とはそういう意味なのです。

創造主から離れた人間の現状とは

   第二に、「地の果てにいるすべての者」という呼びかけの中に、人類が自分の本当のルーツから離れてしまってる現状を読み取ることが出来ると思います。この地の果てという言葉には単に物理的な距離以上に精神的な隔たりの意味が込められているからです。この神からの逃亡、あるいは断絶は人間にとって不幸の根源なのです。なぜなら神とは私たちの命のルーツであり、祝福の根源であるからです。
 この4月、お笑い芸人のイモトアヤコという人がエベレスト山登頂に挑戦しましたが、途中で断念しました。今年のエベレストは大変荒れて危険だったのです。このエベレストでは8,000mから上をデスゾーンと言います。そこには遭難したままミイラになった登山者の遺体が100体以上ごろごろ転がっていると言います。これらの遺体は何十年何百年たっても土に返るということはありません。あまりの寒さで土の中にバクテリアが生息できないためミイラになったまま凍結しているんです。通常8,000mを超えると酸素ボンベを使って何日もかけて登ります。と言うのは空気が地上の3分の1の薄さになっているからです。空気が3分の1になると酸素も3分の1になります。普通の人はただじっとしているだけでも窒息していくような苦しさにもがくのです。体を慣らしていないと深刻な高山病になるんですね。下手すると肺水腫になって呼吸不全を起こしてしまうのです。私も一度4,400mの山に登って体が順応せず本当に苦しかったことを覚えています。苦しい理由ははっきりしています。空気が薄い所にいるからです。地上はるか離れて酸素の薄い所に身を置くからしんどくなったのです。人生が苦しくしんどく思えるのはなぜですか。空気を初めとする様々な恵みを提供している神から遠く離れたところに身を置き続けているからではありませんか。

神に立ち返る唯一かつ素晴らしい方法

 第三に、神のもとに立ち返る道はたった一つ、「神を仰ぎ見る事」なのです。ところで神は肉眼で見ることはできません。目に見えない神を一体どのようにして仰ぎ見ることが出来るんでしょう。目に見える人としてこの世に来られ、あなたの罪を背負ってあの十字架についたイエス・キリストを信仰によって仰ぐ事なのです。
 今年のソチオリンピックでは三人の女子フィギュアスケート選手が日本代表として演技しました。その一人の鈴木明子選手は、ソチを最後に現役のアスリートとしては引退を表明しました。ところで彼女が初めて全日本選手権で表彰台に立ったのは24歳です。また初優勝するのは28歳でした。女子フィギュアスケートの選手としては世界的に見ても珍しい超遅咲きの選手なのです。多くのライバルが次々と引退していく中で彼女が諦めなかったのはなぜでしょう。実は彼女は大学時代、拒食症になってしまうんです。見られるスポーツであるフィギュアの選手は特に体重コントロールがシビアですね。彼女は頑張りすぎる中で精神のバランスを崩し、160cmの身長で32kgまで体重が落ち、病院で治療したのです。回復した後、筋力が落ち練習もできない中で、コーチと一緒にテレビでフィギュアスケートの世界選手権を見たとき、荒川静香選手が優勝したのです。思わず彼女が言います。「ああ、私もこんな大舞台で滑りたい!」するとコーチが軽く言ったそうです。「出来るよ!誰が教えてると思ってんの。」自分を信じよと言ったんではありません。名コーチである私に信頼せよと言ったんですね。この信頼が彼女に力を与えたのです。ならば私たちも人生の名コーチ、永遠の命の名コーチ、天国に至る道への名コーチであるイエス・キリストを信頼し、この方を仰ぎ見ようではありませんか。そうすればどんな人でも救われるのです。心からお勧めしたいと思います。

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