新約聖書
 この方以外には、だれによっても救いはありません。世界中でこの御名のほかには、私たちが救われるべき名としては、どのような名も、人間に与えられていないからです。
(使徒4:12)

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「聖書と福音」高原剛一郎

No.727 2014年3月2日

「罪人をVIP扱いして下さるキリスト」

おはようございます、高原剛一郎です!

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 今年、小野田寛郎さんが91歳で亡くなられました。太平洋戦争の終戦後も日本の敗北を信じないで、フィリピンのルバング島で30年近くジャングルに潜伏し、戦い、そして生き続けたからです。1974年に帰国された時、すでに52歳になろうとしておられたんですね。ところで彼はなぜ、戦後30年間も山を下りなかったんでしょう?それにはいくつかの理由があったのです。戦争が終わった年、日本の敗戦を知らせるビラが彼のところにも届いていました。ところが同じ時期、別のグループが山を下りようとすると、不幸なことに敵のパトロール隊と鉢合わせになり、いきなり銃撃されたのです。戦争が終わったのであるなら、なぜ撃ってくるんだろう、これはまだ戦争が終わっていないということに違いない、と判断するんですね。さらに小野田さんは陸軍中野学校を卒業した諜報部員なのです。つまり、スパイだったのです。ゲリラ戦を指導するために送り込まれた特務機関員なんですね。そしてこのスパイは常に情報の裏読みをする癖がついているんです。戦争が終わったことを知らせるこのビラは、きっとゲリラ戦を戦う日本兵をあぶりだすための罠に違いない、謀略に違いない、と考えたんです。そんな残留日本人兵士を捜すために、日本政府も努力しました。皇太子殿下のご成婚を特集した新聞や雑誌をジャングルに置いて行ったのです。また小野田さん自身も現地人から奪ったトランジスタラジオで逐一日本のニュースを聴いていたんですね。ラジオでは北京放送が入るんですが、その中で日本語ニュースが流れるんです。ですから彼は大阪で万博があり、三波春夫がテーマソングを歌ったこと、公害問題が深刻化していること、さらにグアム島で自分とそっくりの境遇にあった、横井庄一という旧日本兵が帰国したということなども全部知ってたんです。

何を見ても聞いても目が開かれない

 しかし、それでも山を下りませんでした。なぜでしょう?あらゆる情報が日本の勝利を裏付ける根拠のように聞こえてきたからです。日本が豊かになった、と知るとそれは日本が戦争に負けていない証拠に見えたんです。東京オリンピックのニュースの中で、アメリカやイギリスの選手が参加しているというふうにきくと、戦争中なのにスポーツは別問題として受け入れる我が国日本は、なんて心の広い国なのか、と思ったそうです。アメリカの大型爆撃機が大編隊を率いて飛んでいくのを見ると、ああ、日本は占領されても大陸ではゲリラ兵が戦っていて、それをたたくためにアメリカは爆撃しに行ったんだと考えたんです。実はその爆撃編隊は、ベトナム戦争を戦うアメリカの空軍なんです。小野田さんは諜報機関員として、日本に関する情報に精通しましたが、どれを見ても何を聞いても、全部ウソで罠で虚構の話のようにしか聞こえなかったのです。その最大の理由は、日本の敗戦という現実を受け入れなかったことに由来するのです。日本が負けていない、という見方に立つと、どんな現実も自分の見方を裏付けるもののように、再解釈してしまうので目が開かれないのです。

証拠を見ても証拠に見えない

 ところで、今のこの世界は、神なんかいない、創造主など存在しない、すべては偶然でできあがったという前提に立っています。ですからどんなにみごとな神の作品である自然界を見ても、どんなに緻密に調整されている宇宙の不思議を知ったとしても、すべては偶然でそうなったとしか見えないのです。この世界の始まりをスタートさせた、第一原因者がおられるという現実を受け入れない世界では、神の存在の証拠を見ても、それが証拠に見えないのです。

上官による正式解任命令

 しかし、小野田さんにも目が開かれる時がやってきました。どのようにして彼は現実に目が開かれたんでしょう?かつての上官が現地に出向いて行って、正式に解任命令を出したことで納得されたのです。自分にゲリラ戦を直接命令した上官本人がその命令の終結を宣言したのです。

 それと同じように、この世界を造られた真の神さまは、神なき世界に慣れきっている私たちの目を覚ますために、自ら人となってこの世に来て下さったのです。この人となられた神こそは、イエス・キリストなのです。聖書の中にこんなことばがあります。「この方以外には、だれによっても救いはありません。天の下でこの御名のほかに、私たちが救われるべき名は人に与えられていないからです。」なぜこの方、イエス・キリストだけが、あなたを救うことができるんでしょう?

この方だけが造り主、購い主、救い主

 第一に、この方だけが人となった、あなたの造り主だからです。あなたの造り主であるなら、あなたに問題がある時、それを解決することがおできになります。なぜなら、作者が作品を造る力があるだけではなく、作品が壊れた時には、修理する力もお持ちであるからです。

 第二に、この方だけが、罪を犯したあなたのために、ご自分を犠牲にして代わりに死んで下さった方だからです。キリストがあなたに与えたのは、単なることばや単なる知恵だけではありません。キリストはあなたにいのちを与えて下さったのです。

 第三に、この方だけが、死を滅ぼして、復活なさった救い主だからです。今までいろんな人類の偉人がいましたが、みな一人の例外もなく、死んでそのままです。しかし、キリストだけが死を滅ぼして、復活して下さったのです。死を打ち破った方だけが死の恐怖に打ちひしがれている人間にとって、本物の力ある救いを与えることがおできになるのです。このキリストを自分の救い主として信じ受け入れる者は、一人として滅びることなく、キリストの内におかれ、死に至るまであなたと共にいて、あなたを天国にまで導いて下さるんです。

大物って誰だ?

 私は先日、ジョークを読みました。もう亡くなられた南アフリカの英雄マンデラ氏に関するものです。彼はニューヨークの国連で演説することになっていました。ところが寝坊して、当日大幅に遅刻してしまったのです。そこで飛び乗ったタクシーの運転手に「大急ぎで国連本部に向かってくれ。」と頼むのです。しかし運転者は断りました。「すいません、私は次スピード違反で捕まったら、免許取り消しになるんです。勘弁して下さい。」マンデラ氏は同情して言いました。「わかった。じゃあ、私が運転しよう。」そして猛烈なスピードで国連本部に向かうのですが、途中で交通警察に見つかり、止められてしまうんです。警官はキップを切りにタクシーに行きました。ところが何もせずに戻って来たんです。同僚の警官が「なぜキップを切らないのか?」と訊くと「いや、大物が乗っているんだ。」「大物って誰だ?市長か?」「いや、もっと上だ。」「大統領か?」「いや、それ以上かもしれない。だってマンデラを運転手にするくらいのやつなんだ。」

あなたを大物扱いされるキリスト

 キリストを信じる者は、キリストが運転する車で、天国に向かっているようなもんです。これほどの大物扱いはないと思いませんか?
 どうぞあなたも、ご自分の救い主としてイエス・キリストを信じて下さい。心からお勧めしたいと思います。

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