新約聖書
「『なぜ、あなたがたの先生は、取税人や罪人といっしょに食事をするのですか。』イエスはこれを聞いて言われた。『医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招くために来たのです。』と。」
(マタイ9:12-13)

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「聖書と福音」高原剛一郎

No.625 2012年3月18日

「罪人を愛するキリスト」

おはようございます。高原剛一郎です!

 私は先日、ボー・バウマンという人が集めた著名人の言葉を読みました。この本は、彼が13歳の時、世界的に活躍している人たちに同じ質問をして返って来た答えを集めたものです。質問はこうです。「人生で一番大事なことってなんですか?」

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 ある実業家は一言で答える代りに一つの短い話をしたのです。それは双子の息子を持った父親の話です。一人は何でも明るく考える子で、もう一人は何でも悲観的に考える子どもです。双子の誕生日に父親はプレゼントを用意しました。暗く考える子の部屋には最新のゲームやおもちゃをどっさり置いたのです。そして明るく考える子の部屋には馬のウンチをばらまいたというのです。二人が学校から帰って部屋に入るとまるで違った反応をしていました。暗く考える子の部屋では息子のすすり泣きが聞こえてきたのです。「どうして泣いてるの?」と聞くと、息子は答えました。「だって友達の妬みをかっちゃうよ。それにこんなにおもちゃがあると、たくさん説明書を読まなければならない。おまけにいつも電池の心配をしていなければならない。壊れた時の心配もあるし」。次に明るく考える子の部屋をのぞいて見ると、なんと彼は馬フンだらけの部屋の中で嬉しそうにダンスをしているのです。「何がそんなに嬉しいの?」すると少年は答えました。「きっとこの部屋のどこかにかわいい子馬がいるんだよ」。それを聞いた父親は次にすることを決めたのです。暗い面ばかり探してる人には幸せも不幸に見えるけれど、明るい面に気付く人には思いがけない未来が開かれてくる、と言いたいようですね。

 ところでイエス・キリストほど人の明るい面をご覧になった方はありません。ある時キリストが、札付きのワルや、反社会的なことを仕事にしている人々と一緒に楽しそうに食事をしていました。その時、それを見ていたエリートたちがキリストの弟子たちに質問するんです。

「なぜ、あなたがたの先生は、取税人や罪人といっしょに食事をするのですか。」イエスはこれを聞いて言われた。「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。」「わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招くために来たのです。」と。

 イエス・キリストは、すねに傷持つアウトローたちの間に入って、それは楽しく交わりを持つことが出来た。その理由は何だったんでしょう。三つ理由があると思うのです。

あなたは途方もなく価値あるもの

 第一に、キリストはその人のしてきた事や、その人の職業、その人の外見を見たのではなく、その人そのものを見ていたからです。人間の本質って何でしょう。それは、神の形に似せて人格的に造られているということなのです。キリストは罪そのものに対しては妥協なく、それを憎み、嫌い、決して大目に見ることはない方です。しかし、どんなに罪に落ちぶれていたとしても、その罪に縛られている人間そのものは神の作品であることに変わりはないのです。
 戦国時代、お茶の道具は大変価値のあるものでした。茶碗一つ、急須一つが、一国と交換できるほどの価値があったと言われています。しかし、どんなに価値があってもそれは焼き物ですね。うっかり落としてしまえば割れてしまうのです。そこで非常に高価な器を元に戻す茶器修復士という仕事が登場するのです。修理の方法には二つあったそうです。一つは、漆に絵の具を混ぜて継ぎ目が分からないように接着する方法です。もう一つは、金継ぎといって、金で割れ目をつないでしまう方法です。これを用いると割れ目の部分に金の筋が残るのですが、この筋が却って器の品を引き出し、何と割れる前よりも価値が上がったと言われているんです。名器と言われてる器は割れてしまったからといって簡単に諦めることはできません。それは途方もない価値あるものなのです。
 それと同じように人間は神の前に途方もなく価値あるものとして造られたのです。たとい今は神から離れ、人格的に欠けがあり、性格的に歪みがあり、内側に傷があったとしても、それでも神の似姿に造られたことに変わりがないのです。キリストはなぜ罪人を愛されたのでしょう。神の作品だからです。今日、神はあなたを神の壊れた最高傑作としてご覧になっておられるのです。

マイナス面をプラスに変えてくださる神

 第二に、完全修復の自信があるので罪人たちと積極的に交わることが出来たのです。キリストの周りにいた取税人たちは、決して10代の若者ではありません。すでに大人として社会で生活している人たちです。若い人たちなら人生にしくじりがあってもまだまだ先がある、人生は長い、やり直しが効くということもあるでしょう。しかし人生を半分以上過ぎた人に今更やり直しって効くんでしょうか。効くのです。それどころか人生で受けてきた傷や負の遺産ですら、キリストに用いられるならば建設的なことに役立てることが出来るのです。
 ところでゴキブリが好きな人っていないと思うんですね。恐らく世界一の嫌われ者の昆虫だと思うのです。ところが先日、このゴキブリから究極の抗生物質が発見されたと言うのです。そもそもゴキブリってどうして不衛生な環境でも病気にかからずに繁殖できるんでしょう。不衛生なバイ菌が来てもびくともしない抗生物質を脳内に貯蔵しているからなんです。この物質を抽出することで夢の医薬品が発明されるかもしれないって言うんですね。一般人が害虫と呼んで嫌っているゴキブリも、科学者の手にかかれば人命救助の特効薬にすることが出来るのです。ましてや全知全能の神があなたの人生の傷や、過去の痛みや、呪わしいかつてのことをどうして良きもののために用いることが出来ないということがあるでしょう。解決は生けるキリストの中にあるのです。

命を提供してくださったキリスト

 第三に、キリストは私たちの罪を許し、永遠の命を与えるために天から来られた方なのです。先ほど読んだ聖書の箇所で、キリストは罪人を病人になぞらえて説明なさいました。「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく病人です」と語られたのです。確かに罪はどんな丈夫な人をも弱らせ、衰えさせ、そして最後は死に至らしめるものなのです。この人を死に連れて行く罪を解決するためにキリストはこの世に来てくださったのです。ではどのような治療をしてくださるのでしょう。あなたは臓器移植という治療法を聞いたことがあると思います。駄目になった心臓や、肝臓や、腎臓を、健康なそれらと入れ替えることによって患者を救い出すという手法です。しかしこの方法には一つ条件がありますね。提供者を必要とするということなのです。
 キリストはあなたの罪を許すためにご自分の命を提供してくださった医者なのです。どうぞ、十字架にかかって死に、三日目に復活したイエス・キリストを、あなたの救い主として今日信じ受け入れてください。心からお勧めしたいと思います。

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