新約聖書
「罪から来る報酬は死です。しかし、神の下さる賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのちです。」
(ローマ人への手紙6:23)

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「聖書と福音」高原剛一郎

No.593 2011年8月7日

「主客転倒を転倒させよ」

おはようございます。高原剛一郎です!

 私は先日、非常に興味深い記事を読みました。現存する陸上生物の中で、最強の動物は何かっていうんですね。答えは、アフリカゾウです。というのは、体重が6トンもあるのに、走り出したら時速40キロにもなるのです。これは、オリンピックの100メートル走の選手よりも速いスピードです。6トントラックが時速40キロで、ノーブレーキで突進した時、正面衝突して生きている生物はほとんどいません。このように凄まじい衝撃力を持っているのがアフリカゾウなんですね。

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 そして、今から数年前、このアフリカゾウがサバンナでシロサイを攻撃して突き殺すという事件が続発したことがあったのです。野生の動物は、腹が減っている時にはイライラするでしょう。特に肉食動物は、草食動物を食べなければ生きていけないのですから、空腹の時には襲撃する訳です。しかし、草食動物が同じ草食動物を意味もなく、ゲーム感覚で突き殺すというのは異常事態なのです。しかし、アフリカの国立公園の観察者達は、この象の暴走行為の原因に思い当たることがあったというのです。実はこのサバンナでは一時期、象が大量繁殖したことがあったのです。大食漢の象が増えるとサバンナは大変な飢饉になります。というのは、一頭で一日あたり200キロの植物と100リットルの水を平らげてしまうんです。つまり1年間では60トンの植物が消滅します。畑にすると、3ヘクタール分が不毛の更地になってしまうんです。それで係官たちは、象の間引きをしたのです。増えすぎた象の数を減らすために、一定数撃ち殺していったんですね。その時、象の全ての世代から万遍なく間引きしたのではなく、年老いた象ばかりを殺処分したのです。その結果、象の群れの中から若い象にサバンナの掟を教える世代が丸ごと忽然と消えてしまったのです。

力あるものの暴走がもたらす悲劇

 象はとても賢い生き物だそうですね。マサイ族の男が近づくと警戒しますが、女性が近づいても警戒しません。何故なら、マサイ族で狩をするのは男だけだと知っているからです。この象の群れの中には、サバンナで生きるルールを教えるシステムがあるのです。ところが、この長老核の象が一頭もいなくなった結果、若い象達はやりたい放題でそのまま大人になってしまったのです。これらの象が成長した時、もはや彼らを止めるものは何もありませんでした。彼らは気分次第で大暴れする、サバンナの無法者集団となってしまったのです。最も力のある動物が自分の意のままに振舞うと、サバンナの世界が崩壊するのです。ならば、象よりももっと知恵のある人間が自分の意のままに振舞うなら、この世界は一体どうなるでしょう。滅びるのです。
 聖書はこう語っています。

「罪から来る報酬は死です。しかし、神の下さる賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのちです」と。

聖書は語る人間の罪

 今の世界が破壊と悲惨に満ちている原因は何でしょう。人間が罪の支配を受けているからだ、というのです。では罪とは一体何でしょう。この世界の創造主を忘れ、オーナーである神から離れ、自分こそは世界の中心であるかのよう振舞うことを罪というのです。本来中心でもない者が自分を中心に考えて、自分の思いのままに周りを支配すること、これを罪と語るのです。

私は誰のために存在しているか?

 ところで、人生ってなかなか自分の意のままになりませんね。長生きしてほしい人に限って早く亡くなり、この人、何とかならんかという人に限って元気だったりします。会社でも学校でも家庭の中でも、誰もが一番疲れ果てる原因は人間関係です。自分の期待通りに周りの人が応えてくれないということによって、イライラが募ってくるんですね。
 ところで、どうして周りの人々は私の意のままにならないんでしょう。私はその人達の中心ではないからですね。私の周りの人々は、私の為に存在しているのではないのです。また、世界は私の為に存在しているのではありません。では誰の為に存在しているんでしょう。神の為に存在しているのです。

神は不公平な方?

 先日、私のいます集会に一人の聡明な女性が来られました。そして、一つだけ質問するので短く答えてほしい、というのです。私はドキドキしながら伺いました。「世の中を見渡すと、どう考えても恵まれている人、幸せな人、生まれた時から憎らしいほどにあらゆる良いもので満たされている人がいる。そうかと思うと、生まれた時からどうしようもないほどにまで、惨めな条件を備えている人もいる。どうしてこんな不公平を神は赦すのか。私は今までいろんな教会へ行ってこの質問をしましたが、説明を聞けば聞くほどイライラします。どうしてこんなことを神様は赦すんですか。一言で私を納得させてください。」っておっしゃるんですね。そんなの一言で出来ません。私には出来ませんが、一つだけ言いました。「納得出来ないのは、説明が悪かったからではなく、あなたの世界観が転倒しているからだと思います。」と申し上げたのです。

主客転倒の発想

 この世界は、あなたが納得するために造られたのではありません。神の為に造られたのです。神は、私達には分からない理由で今のこの世界をまだ保っておられるのです。それに対してけしからんというのは、あなたのほうが神よりも賢く、正しく、偉大だということです。神の為に存在している世界を、自分のために存在していると思ったり、世界の中心は神なのに、自分が世界の中心だと考えることを聖書は的外れ、罪だと語っています。腹が立って仕方がない理由の一つは、自分を世界の審判者にし、神を被告人扱いしているからだと思います。ちょっと言い過ぎたかな、と思って心配したんですが、彼女は深く頷いているではありませんか。そして、「分かりました。そうだったんですね。」て、おっしゃったんです。

主客転倒を転倒させると…

 なぜ自分の罪が分からないんでしょう。なぜ人生の目的が分からないんでしょう。なぜ世界の目的が分からないんでしょう。自己中心で世界を見るからです。万物の存在の目的は神なのです。そして、この方が罪によって神を見失った私たちの為に、キリストを与えて罪を赦してくださったのです。あなたの罪の赦しのため、神はキリストを身代わりに裁いた後、三日目に蘇らせてくださったのです。だれでも、このキリストを信じるなら、罪赦され永遠のいのちを持ち、そして永遠の天国に行くことができます。そして永遠の天国で初めて帳尻の合った調和した世界を見、この世界の不公平を納得することが出来るのです。

気づかないところで私を待っておられる神

 私は先日、自宅に戻ると留守番電話に録音がなされていました。アルゼンチンからの国際電話だったのです。ところが、録音状態が悪く名前がどうしても聞き取れないんですね。しかし、その内容は私を暖かく励ます言葉だったのです。実はその日、私の誕生日でした。私はその方の姿を見ることは出来ませんが、しかし彼女の言葉によって大いに力づけられたのです。地球の裏側に私を祈ってくださる人がいると分かったからです。
 神は見えません。しかし、天であなたのために祈り、あなたの帰りを待っている方なのです。どうぞあなたも、神が供えてくださったキリストを信じてください。心からお勧めしたいと思います。

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