「新しい船出−キリストに乗り込む」
ところで一昨年「2012年」という映画が公開されました。これは2012年に全地球陸地をのみ込むような大洪水が起こる、その中で一握りの人間たちが大型船に乗り込み救出されるという話です。
この映画の見どころの一つは8000メートル級のヒマラヤを一気にのみ込む大津波です。あまりにもリアルなコンピューターグラフィックの映像に、見ている人はみな息をのみます。
映像を作り出すまでの苦労
そしてこのコンピューターグラフィックを作ったのは日本人坂口亮さんという方なんですね。彼はこの作品でアカデミー化学賞を受賞しました。ところでいったいどのようにしてこんなにリアルな水の動きを表現することができたんでしょう。流体力学に基づいて映像を作ることによってです。ところがこれはなかなか難しいことだったんですね。坂口さんは流体力学を使えば本物そっくりの波の動きを作れるとは考えていましたが、実際に流体力学の本を読むとチンプンカンプンだったそうです。と言うのはこのジャンルは高等数学に支えられているからです。
小学4年分数から始めた坂口さん
そして坂口さんは高等数学の本を買ってきて読むんですが、それでもまたチンプンカンプンなんです。なぜでしょう。小学校時代から算数が大嫌いで勉強をしてこなかったからっていうんですね。それで高校の数学の教科書を読み始めました。それでも分からないんです。それで中学の教科書、小学校の教科書と下りて行き、最終的に分数まで戻ったそうです。なんと彼は小学4年分数の単元で算数と決別してたんですね。しかし、ここからは早かったそうです。分数から始めて中学の数学、高校の数学、大学の数学、高等数学まで上り詰め、ようやく流体力学の本を読むことができるようになりました。ここまで来て初めて、あぁなるほど、水ってこうやって動くんだってわかったそうなんです。
困難に耐える力を生み出すもの
ところで坂口さんはこの途中の努力についてまるで数学や物理の勉強をしているという感覚はなかったそうです。彼にとっては数学ができるようになるということが最終目的ではありません。彼はあくまでも大好きなコンピューターグラフィックの勉強をしているつもりなんです。だからそれほど苦ではないんですね。学生時代嫌で仕方がなかった数学を、苦に感じないで取り組むことができた最大の理由はなんでしょう。目的がはっきりしているということです。何のための勉強か何のための数学かという目的がはっきりしていました。彼にとってはコンピューターグラフィックを通して、この映画を少しでも偉大な作品にするということが目的だったんです。才能ある監督が総力を挙げて取り組むこの映画に自分も参加して、より一層素晴らしい作品にするという目的がはっきりしていたので勉強しているという意識すらなかったんですね。目的が明確になれば多くの困難に耐える力が湧いてきます。いや困難は良きチャレンジにすら変わっていくんですね。
人類歴史総監督なる創造主
ところで映画には映画監督がいるように、実は人類歴史にも人類歴史総監督がおられるのをご存知でしょうか。聖書は人類歴史の最初から最後までを実に正確に語っている預言の書物でもあるんです。神様がこの世界を作られた時から今日に至るまで、いや、人類歴史のゴールに至るまでを語りきっている書物なんです。監督は作品を作るときに配役を決め、ロケ地を設定し、様々な役割をスタッフに与えます。それと同じように神は人類救済のマスタープランの中に、あなたが加わることを心から望んでおられる方なのです。この人類歴史のテーマを一言でいうなら、裁きと救いです。すなわち、罪に対する裁きとキリストによる救いなのです。神という中心を失った人間が、自分の欲望の赴くままに暴走する人類歴史の出来事は破壊と悲惨の繰り返しです。この悲惨な世界から真の神様のもとに救出するために、神は救い主を送ってくださいました。この方こそイエス・キリストなのです。
映画のモデルとなった聖書の記事
実は映画「2012年」にはモデルがあります。それは聖書の中に登場するノアの箱船です。ノアの箱船なんか神話だって思っている方々が日本には多いようですね。しかし現代科学は聖書の記録が正しいということをしっかりと裏付けているのです。例えば、全地球を覆った大洪水があったということは、化石によって証明されています。世界でもっとも標高の高い山であるエベレスト山の頂上の地面からは貝やヒトデやサンゴの化石が発見されているからです。これはかつてこの山をも完全に覆った洪水があったということの証拠なのです。またノアの箱船のサイズと比については驚くべきことが分かっています。
箱船のサイズ
それは長さ300キュビト、幅50キュビト、高さ30キュビトで作るようにと神から指示されたと旧約聖書創世記の中に書かれてあるんですね。この箱船のサイズの比は30対5対3の直方体です。実はこの比で船を作ると90度傾いても転覆しないで元に復元するということがわかっています。ですからこれを船舶の黄金比と言います。多くのタンカーはこの比で作られているんです。20世紀になって様々な実験により発見できた比なんですね。どうしてこれを大昔の人間であるノアがこの比率で船を作ったんでしょう。神が教えたというのでない限り説明がつかないのです。さて、このノアの箱船について新約聖書の中でこのようなことが語られています。
「わずか八人の人々が、この箱舟の中で、水を通って救われたのです。そのことは、今あなたがたを救うバプテスマをあらかじめ示した型なのです。」
神の用意された箱船なるイエス・キリスト
ここで聞きなれない言葉が登場します。バプテスマという言葉ですね。これはいわゆる洗礼のことではありません。ここでいうバプテスマというのはキリストが私たち人間の罪のために引き受けてくださった十字架の裁きを意味しています。地球規模の大洪水の中で、箱舟の中にいた8人だけは安全でした。それは彼らが立派だったからでも罪がなかったからでもありません。神が示した箱船の中に入っていたからです。それと同じように私たちもキリストという神の用意された箱船に入るならば、何からも安全なのです。いったい何からの安全でしょう。死後の裁きからの安全です。またやがてこの世界に降りかかる最後の戦争からも安全です。なぜなら今、天にいるキリストは人類歴史の終わりに到来し、本物のクリスチャンをみな天に引き上げてくださるからです。
どうぞあなたもこの年の初めにイエス・キリストという箱船の中に乗り込んでください。心からお勧めしたいと思います。