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Bible & Gospel

No.539 2010年07月25日 「主と主のことばに」

おはようございます。那須清志です!

 皆さんはどんなときにリラックス出来ますか。私は大好きな音楽を聴くときです。私たちの生活に音楽は欠かせないものですね。カラオケが大好きという人は多いと思います。英語では「カラオキ」というぐらい、日本からはじまったカラオケ文化は世界に影響を与えています。

圧倒的に多い愛の歌

 世界中で歌われている歌の歌詞は、人生で味わう喜怒哀楽を歌ったものが多いですが、圧倒的に多いのが男女の間の愛についてでしょう。人間が愛によって育まれ、愛を大切にし、愛を求めるのは理由があると聖書が語ります。それは、人間が愛なる神によって創られたからです。聖書に「愛は神から出ているのです。」とあります。聖書の中には人間に対する愛の語りかけが随所に表れています。その神の愛を教えられ、その愛に感動した多くの人が、神さまに対して歌を作りました。それが賛美歌です。

「主と主のことばに」という賛美歌

 ある時、私は「主と主のことばに」という賛美歌を聴いていました。主とは聖書が語る創造主なる神さまのことです。その歌詞は次のようなものでした。

  主と主のことばに 頼るは楽し 主は我が願いを
  聞き入れたもう ひたすら ただ主に 頼る我が身を
  主よ主よ なおなお 恵ませたまえ

スイートということば

 この歌の原曲は英語です。その歌詞を見ていると、スイートということばが使われていました。神さまに信頼することは、とてもスイートだと言うんです。スイートの複数はスイーツです。最近では甘いもの、甘いお菓子、特に洋菓子のことをスイーツと言われていますね。10年ほど前から若者たちが盛んにそのことばを使うようになりました。
 本当の神さまに信頼するのは「楽しい。快い。甘い。」というわけです。一体、どんな思いでこの詩は書かれたのでしょう。この歌の作詞者は、ルイーザ・ステッドです。

ルイーザ・ステッドの悲惨な体験

 彼女はある日、夫と4才になる一人娘と一緒に海辺に出かけ、楽しい時を過ごしていました。ところが、一つの叫び声で和やかな雰囲気は一転します。男の子が海で溺れて助けを呼んでいたのです。夫は彼を助けるために、海に飛び込みました。ところが、もがく子供にしがみつかれて、何とご主人まで溺れてしまったのです。ルイーザと娘は目の前で二人が溺れていく様子を見ながら、なすすべもありませんでした。
 このような悲惨な体験の後、しばらくして彼女の心から出たのが、このフレーズでした。英語の一番の歌詞ですが、訳すとこうなります。

  イエスに信頼すること その方のことばを
  受け入れ信じること その方の約束の中に
  とどまること 主はこうおっしゃった
  ということを知ることは 何とスイートなことでしょう

神さまからの慰め

 どうしてこんな詩が書けたのでしょうか。彼女は悲しみを感じなかったのでしょうか。悲しみを吹き飛ばしたのでしょうか。いいえ、違います。彼女は悲しみのただ中で、神さまからの慰めを味わったのです。
 私たち人間は悲しい出来事に遭遇したとき、同じような経験をした人から、慰められることがあります。「この人なら自分の気持ちを分かってもらえる」と心を素直に開いた時に、相手の慰めは、自分の心に流れ込んできます。ことばは無かっても、共にいて、涙を流してくれるだけで、大きな慰めになることもあります。彼女にとって、正に神はそのような方だったのです。

 「どうして全知全能の神さまが奇蹟を起こして下さらなかったのか。どうしてこのようなことが許されたのか。」その深い思いをすぐには理解することが出来なかったでしょう。しかし、それまで味わったことのない、さらに深い神さまの思いを教えられたのです。神は同じような、いや、もっと大きな悲しみを経験されたということを彼女は心から悟ったのです。

十字架で死ぬことがイエスの最大の目的

 神さまは今から2000年前、私たちのために救い主イエスをこの地上に遣わされました。イエスは神のメッセージを伝え、多くの人々を感動させました。「悲しむものは幸いです。その人たちは慰められるから。」などの有名なメッセージについて聞かれたことがあるでしょう。しかし、このイエスが地上に来られた最大の目的は、人々から賞賛を受けることではありませんでした。人間の罪の身代わりとして十字架の上で死ぬことだったのです。神にとって、イエスを十字架の苦しみから救い、十字架にかけた人たちに直ちに裁きを下すことはたやすいことでした。しかし、神は敢えてそれをしなかったのです。人類の罪の問題を解決するためには、罪なき神のひとり子イエスが身代わりとして死ぬしか方法がなかったからです。

 ルイーザは目の前で死んでいったご主人と子供のことを通して、神の悲しみと苦しみを思い、その神から慰めが溢れていることに気づかされたのです。

信頼することはなんとスイートなことでしょう

 英語の3番、4番の歌詞を直訳するとこうなります。
 3番
  イエスに信頼することは なんとスイートなことでしょう
  この方は罪から解放し 自分自身からも解放して下さいました
  私はこの方からいのち 休息 喜び 平安を受けました

 4番
  素晴らしいイエスさま 救い主 友なるあなたに
  信頼することを知ったこと またあなたが私と共におられ
  世の終わりまで私のそばにおれることを知ったことは
  何よりも喜びです

 彼女は、十字架にかかり三日後に死を突き破ってよみがえられたイエスの中に、力と慰めを見たのです。この地上での別れは辛いものですが、天国でご主人に再会できる希望を胸に抱きながら、ルイーザは再び立ち上がります。

アフリカの人々に引き継がれた信仰

 後にルイーザと娘さんは南アフリカに宣教師として赴きました。現地のクリスチャンと再婚し、25年間奉仕し続けました。多くの困難の中で「誰がこんな働きにふさわしいでしょう」と思わず言ってしまいそうなときにも、彼女はふさわしいかどうかは神さまが決めることです。と神に信頼しながら、歩み続けました。病気のために引退を余儀なくされ、数年後南ローデシアで亡くなりました。彼女の仲間たちはこの賛美歌を心から愛していました。そして、この曲について次のように記しています。
 「私たちは彼女を失って本当に寂しいです。でも、彼女の信仰はここアフリカの5万人の人々に引き継がれています。この賛美歌を現地のことばで彼らが歌い続けているのです。」と。

イエス・キリストの慰めと励まし

 この曲が出来たのは、今から130年ほど前です。シンプルな曲ですが、多くのゴスペル歌手がカバーし、歌い継がれてきました。この曲のいきさつを聞いてその理由が分かったような気がします。慰めを受けた彼女がこの曲によって130年間、今度は同じような悲しみを経験した人々の心を励まし、慰めてきたのです。いや、イエスがこの地上に来られ、天に帰って行かれてから2000年間多くの人々は、イエス・キリストから慰め、励ましを受けて来ました。そして、この放送をお聞きの皆様にも神は愛の招きをしておられます。神が私たちのために用意して下さった永遠の救いのプレゼントを是非、受け取って下さい。プレゼントの詳しい中身や、受け取り方については聖書の中に詳しくかかれています。この機会に是非聖書を手にお取り下さい。心からお勧め致します。


コル・シャローム:主と主のことばに
新約聖書 ヘブル人への手紙4:15
 私たちの大祭司は、私たちの弱さに同情できない方ではありません。罪は犯されませんでしたが、すべての点で、私たちと同じように、試みに会われたのです。