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Bible & Gospel

No.529 2010年05月16日 「試練に倒されない生き方」

おはようございます。高原剛一郎です!

 先日、大阪のなみはやドームというところで、フィギアスケートの大会がありました。世界のトップスケーターが集まるショーでしたが、中でもひときわ輝いていたのは、高橋大輔選手と浅田真央選手です。3月のフィギアスケートの世界選手権で日本人初のアベック優勝を果たしたからです。観客の拍手もひときわ大きかったようですね。優勝する。金メダルを取る。トップに立つ。華々しい成功の頂点に立ってる人は、いやでも光り輝いていますね。しかし、私はそれも良いんですけど、より興味があるのは、メダルを取り損ねた選手のことです。

試練のない人生はありません

 というのは、人間の真の価値というのは、成功体験によってははかることが出来ないからです。嫌むしろ、逆境や困難や試練、挫折をどのように超えていくかという所に、人間としての本当の実力が、表されているように思うのです。というのは、成功しているときは、努力をしなくても、元気に前向き、溌剌としていられるからです。しかし、人生の中で、いつも成功ばっかりという人はいないと思うのです。それどころか成功しか知らない人が失敗したときのダメージというのは、何とも酷いものになるようですね。試練のない人生はありません。ならば、いかにすれば試練を乗り越えていくことが出来るんでしょう。

パウロという人物のこと

 その秘訣を言語に絶する迫害と困難を乗り越えていく中で、倒されることなく、見事な人生を生ききったパウロという人物のことから考えたいと思います。
 聖書はこう語っています。
「私はキリストとともに十字架につけられました。もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。いま私が、この世に生きているのは、私を愛し私のためにご自身をお捨てになった神の御子を信じる信仰によっているのです。」
 ここでパウロは、すさまじい試練の中で生きてきた彼の秘訣を3つ語っているように思います。

パウロの3つ秘訣

 第一に、私のためにキリストがいのちがけの愛で愛して下さった事実に立ったということですね。
 私は昨年、妻を亡くしました。胃癌でした。発見されたときには、すでに手遅れで手のつけようがなかったのです。69日間の闘病生活の末に、天国に召されていったのです。しかし、それまでの結婚生活の21年間と、この69日間を振り返って考えてみると、私は何とも言えない勇気というか、力がみなぎってくるんです。私は一人の女性によって、徹底的に愛されるということを経験したからです。元気なころも彼女の献身的な愛はうれしかったんですが、彼女が病に倒れてから、それらが本物であったことを、私は幾度も経験したのでした。

命を削って行くような愛

 自宅療養していた彼女は、夜になると癌特有の苦痛で苦しがったのです。それでいつもボルタレンという鎮痛剤をいれてました。それをいれると痛みは去るんですが眠ってしまうんですね。ある晩夜遅くに私は自宅へ戻ると彼女は七転八倒の状態でした。鎮痛剤を入れてるにも関わらず効き目がないんです。ふと傍らをみると翌日から伝道旅行に出発する私のために、カバン一式にすべてが詰め込まれていました。私の旅行の準備をするために、薬を飲まずに荷造りしていてくれたのです。薬を飲んでしまうと、眠り込んでしまうために、痛みをこらえながら一生懸命に旅行準備をしていてくれたのです。私が見たのは薬を入れたばかりの時だったんですね。一事が万事で彼女の献身的なバックアップは、命を削って行くような行為でしたが本人は妻として当たり前のことだと言うのです。

私にすべてを捧げきってくれた人

 私は自分のような男に人生を欠ける人を見て、身震いしました。今でも彼女がしてくれた一つ一つの親切や愛を思い出すと、自分を粗末に出来なくなります。様々な試練や困難はありますが、私に命を使い切ってくれた人の生き方を思い出すと、恥ずかしい生き方が出来なくなるんです。しかも、私にはこの妻以上に私にすべてを捧げきってくれた人がもう一人います。それがイエス・キリストです。
 キリストは私を愛して下さった。私はあのキリストの生き様に恥じるような人生を投げてしまうような生き方をしてはいけないという気持ちになるんです。そして、キリストも私だけではない、あなたを愛していらっしゃるのです。そしてこのことを本当にまともに受け止めるなら、力になります。

あなたのためにご自身を捨てたキリスト

 第二に、キリストはあなたのためにご自身を十字架の上でお捨てになった。という事実です。何故何一つ罪のないキリストが、十字架で死ななければならなかったんでしょうか。あなたの罪を身代わりに背負って、永久処分するためです。では何故罪を永久処分して下さったんでしょう。罪を持ったまま天国に戻ること、天国に行くことが出来ないからです。

日本人初の女性宇宙飛行士

 日本人初の女性宇宙飛行士は、向井千晶さんです。彼女のご主人は病理学者の向井牧夫さんですが、彼は宇宙から戻った自分の妻の行動を不思議な気持ちで見ていたそうです。というのは、行動が変だったんですね。車のドアを開けたかと思うと、頭から突っ込もうとするんです。また、何度も何度も手を放してハンドバッグが地面にどさっと落ちるのを確かめたりするんですね。再び重力を体で感じる驚きが大きくて、そういう行動になってしまったんです。そんな彼女に聞いてみたそうです。「宇宙飛行で一番感動したことってなんだい?」地球の青さをながめたことでしょうか。宇宙の漆黒を見たことでしょうか。違ったんですね。何だったんでしょう。「勿論、地球に帰って来た時よ。」元居たところ、自分の生まれ育った星、この大地と水の広がる地球というふるさとに戻ったことの感動が、何よりも一番だったっと言うんですね。
 キリスト十字架にかかれた目的を突き詰めて言うなら、あなたを魂のふるさとに戻れるようにするためです。そして、あなたは戻れるのです。この救いを受け取るならば……。

神の御子を信じる信仰

 第三に、困難の中でパウロが倒されなかった理由、それは、神の御子を信じる信仰です。神の御子を信じる信仰によって生きているのです。と彼は言ったのです。神のひとり子イエス・キリストは十字架にかかって死なれた後、三日後に復活なさいました。死を突き破ってよみがえられたのです。この死というどうにもならない絶望的状況を打ち破った方は、死の問題よりは小さい一切の問題をどうして解決出来ないと言うことがあるでしょう。この全知全能の神の御子に対する信頼が彼をあらゆる困難の中で、支えたのです。いや、神の御子が彼の信仰を支えて彼を生かして来られたのです。

神に力づけられ前進する人生

 神は最悪の事態にも働くことが出来る方です。人の目に絶体絶命の状況も神の目には新しいことを創造する材料を舞台でしかありません。人間の企てるいかなる悪も、不幸も、神の建設的な働きを妨げることは出来ないのです。そして、そう信じて生きる人生の何と逞しいことよ。痛快なことよ。どうぞ、あなたもあなたを愛し、あなたのためにご自身をお捨てになった神の御子イエス・キリストを信じる信仰をあなたの造り主に表明して下さい。そして永遠のいのちを持ち、困難のただ中で、生ける神さまに力づけられて前進する人生を歩んで下さい。心からお勧めしたいと思います。


Ko-Kumi:優しい声を聞いて
新約聖書 ガラテヤ人への手紙2:20
 私はキリストとともに十字架につけられました。もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。いま私が、この世に生きているのは、私を愛し私のためにご自身をお捨てになった神の御子を信じる信仰によっているのです。