No.497 2009年10月04日 「いのちを捨てるために来た救い主」
おはようございます、高原剛一郎です
私は先日、石川豊子アナウンサーの講義録を読み、大変参考になりました。講義のテーマは、コミュニケーションの原点です。私たちは日頃、自分では100パーセント伝えているつもりなのに、相手にはその半分も届いていないと言うことがあるんですね。伝えるは必ずしも伝わるになってないんです。どうして伝えているのに伝わらないんでしょうか。彼女によると、三つほど理由があるそうです。
聞き取りにくい伝え方
第一に、声が小さかったり、口の中でもごもご言ってそもそも音声として聞き取りにくい伝え方をしていることがあるって言うんですね。要するに、発音や滑舌が悪いんです。でもこれはそんなに深刻なことじゃない。なぜなら直せるからです。発声練習を積むことによって、口の周りの筋肉を伸ばすと滑舌は良くなるそうです。また、腹式呼吸のやり方をマスターすると、大きな声が自然と出てくるようになるんですね。
ピンと来る話し言葉
第二には、相手がピンと来る話し言葉を使うことです。特に日本語には同音異義語がたくさんあるので注意がいります。同音異義語というのは、同じ発音だけれど、意味が異なることばです。例えば、「貴社の記者が汽車で帰社しました。」なんのこっちゃ分かりませんね。「あなたの会社のインタビュアーが、汽車という交通手段で会社へ戻りました。」という意味です。漢字で書けば見てすぐ分かるんですが、聞くとうんと考えないといけなくなりますね。これではスムーズに伝わったとは言えません。
非言語の部分をしっかりと添える
第三に、非言語の部分をしっかりと添えることだそうです。非言語というのは、ことば以外の部分です。動作や、表情や、声のトーンです。ことばだけでは伝わらないことも、非言語の部分が加わると、はじめて伝わるということがあるんですね。例えば、「こんにちわ」ということばに非言語であるお辞儀が加わり、笑顔が伴うと挨拶としてのメッセージが届きます。「ごめんなさい。」ということばに、非言語である表情や、涙が伴うと心に響くんですよね。口先のことばではなく、体を張ったことばは血の通ったメッセージになるんですね。
聖書の中で最も沢山出てくる文章
ところで、あなたをお造りになった創造主なる神さまは、あなたに対して語りかける神です。というのは、聖書の中で最も沢山出てくる文章は、「神は仰せられた。」「神は語られた。」ということばなんです。神とは、あなたに語りかける神なんです。そして、疑り深い人間に、はっきりと分かるメッセージで伝えるために、イエス・キリストをこの世に遣わして下さったのです。イエス・キリストという方は、生身の人間となって、いわば体を張ってこの世に生まれた、神のひとり子なんです。人に伝えるために人となり、子供にでも分かることばを使い、実際の行動、表情、喜怒哀楽のすべてをもって、生ける神さまを証しされた方なんですね。
キリストが伝えたかったことって何でしょう
では、神のどんなメッセージを伝えて下さったんでしょうか。ある時キリストはこうおっしゃいました。
「わたしは門です。だれでも、わたしを通ってはいるなら、救われます。……わたしは、良い牧者です。良い牧者は羊のためにいのちを捨てます。」
キリストが伝えたかったことって何でしょう。神さまから離れた人間は、生きているときには羊のように迷い、最後、避けられない死を迎えた後は、永遠の滅びに向かっていってしまう。しかし、良い羊飼いであるキリストは、人間の迷いと死後の裁きからの救いのため、自分のいのちを捨てるために来たんだ。という宣言なんですね。
コーチ・カーターというアメリカ映画
コーチ・カーターというアメリカ映画があります。これはアメリカのカリフォルニア州にある、とあるスラム地区にある高校バスケットボール部の監督に就任したケン・カーターさんの実話を元にして作った映画です。 彼が監督に就任したとき、このチームはがたがたで、最低最悪の状態であったそうです。みんな一人一人がエゴ丸出しで、弱いくせにプライドだけが高いんですね。そこでカーター監督は、2つのことを変える決心をいたします。それは、礼儀正しく振る舞うということ、勿論服装や言葉遣い、そのすべてをきっちりさせると言うことですね。そして、試合に出るためには、勉強でも学業でも、良い成績を取るということです。
ティモという選手
元々勉強が苦手な子が殺到していたクラブだったんですね。反発した選手が沢山いたんですが、その中の内の一人にティモという選手がいました。彼はカーター監督の命令を拒否して、チームから立ち去ります。というのは、彼はとても体が大きく、また運動神経の発達した人だったんです。自分が抜けたらチームは成り立たなくなるだろうという自信があったんですね。そのうちチームの方から帰ってきてくれ、戻って来てくれと頼み込んでくるに違いないと思っていました。
困ったのはティモの方だった
しかし、誰も引き留めず、また誰も頼みに来るものがいなかったのです。実は彼自身は、気づいていませんでしたが、彼の運動神経や身体能力という長所よりも、彼の醸し出す険悪なムードの方が、チームにとっては、マイナスだったんですね。そして、どんな名プレイヤーもチームなしにバスケは出来ません。困ったのはティモの方になってしまったんです。やがて、ティモはチームに戻ってもう一度仲間に入れて欲しいと頼み込みます。そして、監督にどうしたらチームに戻してもらえるだろう。どうしたら試合に出させてもらえるんだろうと尋ねるんですね。その時、カーターは凄い要求を出すんです。金曜日までに腕立て伏せ2500回とダッシュ1000本やってこいというんですね。ティモは真っ青になりながら、どうしてもチームに戻りたい一心でそれに取り組みます。しかし、これはどう考えても出来ない要求だんたんです。
ティモを助け出したチームメイト
とうとう金曜日がやって来たのですが、彼は正直に出来なかったって言うことを告白します。カーターはやろうとした彼のがんばり、努力に感銘を受けながらも、約束は約束、この条件は下げることは出来ない。あなたはこのチームに戻ることは出来ない。出て行きなさい。と言うんです。ところが、ティモががっくりとうなだれてチームを去ろうとしたその時のことです。それまで、ティモが目の敵にしていたチームメイトのジェイソンが監督の前に出てきてこう言うんですね。「監督。あいつの代わりに俺が腕立て伏せやります。監督は俺たちはチームなんだって言いました。彼が苦しむなら俺たちも苦しむ、一人の選手が勝ったら、俺たち全員の勝ちなんでしょう」監督が絶句するなか、ジェイソンは黙々と腕立て伏せを始めますやがてそれを見ていた他のチームメイトも一人また一人とチーム全員が腕立てをしてカーターからの要求を満たせるようにティモを助け出すんですね。
十字架でいのちを捨てられたキリストの姿
自分のためにコーチに頼み込み、肉体を酷使する友の姿に心打ち砕かれたティモがただ涙するばかりです。 そして私も感動しました。なぜなら、ティモの姿の上に自分の姿がダブったからです。そして、あの目の敵にして来た友の上に真の権威者である神に私のことを執り成し、十字架の上でいのちを捨てて下さったキリストの姿がダブって迫ってきたからです。
キリストはあなたの救い主
キリストはあなたのためにいのちをかけて、執り成しをし、罪の赦しを成し遂げて下さったあなたのための救い主なのです。どうぞ、あなたのためにいのちを捨てながら神に執り成した方、そして3日目に復活したキリストを通って永遠のいのちを受け取って下さい。心からお勧めしたいと思います。
わたしは門です。だれでも、わたしを通ってはいるなら、救われます。また安らかに出入りし、牧草を見つけます。……わたしは、良い牧者です。良い牧者は羊のためにいのちを捨てます。