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Bible & Gospel

No.490 2009年08月16日「イエス・キリストが果たした三つの使命」

おはようございます、高原剛一郎です

 最近、犬を飼う目的が昔と変わってきたそうです。昔は番犬にするために飼ったんですね。しかし、今では話し相手にするため、家族のメンバーにするため、心の癒しのために飼うっていう方が多いそうです。確かに犬って飼ってみるといいですよね。人間みたいに裏表がない。ところが、実は犬も嘘をつくということが分かってきたんですね。

仮病を使って愛を勝ち取ろうとする犬

 一番よくあるのが、室内犬の三本足歩行です。痛々しく一本の足を上げて歩くので、獣医さんに連れて行きます。ところが、傷もなければ、骨折もしてない。しばらく動物病院であずかることにして飼い主が出て行くと、途端に四本足歩行になるっていうんですよね。それで獣医さんがよくよく聞いてみると大抵はその家に赤ちゃんが生まれたとか、新しいペットを買ったということが多いそうです。犬にしてみたら、それまではみんなの注目を一身に浴びていたのに、ニューヒーローの登場で、見向きもされなくなって寂しいんですね。それで仮病を使って、愛を勝ち取ろうとしているっていうんです。

真実な愛を必要としている人間

 犬ですら愛されないことに耐えられないとしたら、ましてや人格ある人間はどれほど真実な愛を必要としているのではないでしょうか。しかし、この真実の愛を見出すことは、何とまれなことでしょう。大体そんな愛ってあるんでしょうか。あるんです。神さまは人を愛してキリストをこの世に使わして下さったんですね。

 聖書の中にこう書いてあります。
 「キリストも一度罪のために死なれました。正しい方が悪い人々の身代わりとなったのです。それは、肉においては死に渡され、霊においては生かされて、私たちを神のみもとに導くためでした。」
 ここにキリストが来られた三つの理由が書いてあります。

身代わりに神の裁きを引き受けるため

 第一にキリストは悪い人々の身代わりとなって神の裁きを引き受けるために来て下さった。ということです。今年は太宰治生誕100年です。それで太宰の作品がとてもよく売れているんですね。中でも彼が自殺する年に発表された「人間失格」という作品は、彼の肉筆原稿のままで出版されるほどの人気です。太宰にはとても深い罪意識があったんですね。それは、かつて人妻の田部シメ子と心中を図った際に、自分は生き残ったけれど、彼女だけが死んでしまったという経緯があったのです。このような暗い過去とは裏腹に、人気絶頂の作家になればなるほど、彼の心は悶えたんですね。

反対語を捜す遊び

 この人間失格の中に言葉遊びの場面があります。主人公の洋三は反対語アントニムを捜す遊びをするんですね。北の反対は南、男の反対は女、しかし、罪の反対は何か分からないんです。罪の反対が分かれば罪の実態も分かる気がするんだけれど、神でもない、救いでもない、愛でも光でもない。神にはサタン、愛には憎しみ、光には闇がある。一体罪の反対って何なんだ。そのとき、罪と罰ということばが閃くんですね。これはドストエフスキーの小説のタイトルです。主人公は結局、罪の反対は罰だ。なぜなら罰を受けたら罪は消えるからだ。と結論付けそして太宰は自分を罰するために自殺したのです。これによって罪を消すことが出来ると考えたようです。しかし、ここには何の救いもありません。聖書的に見るなら、罪の反対って何でしょう。それはキリストです。キリストこそ何一つ罪のない方です。そしてキリストこそは、罪人の罪をことごとく背負い、赦しを与えて下さった方であるからです。キリストは何のために来られましたか。あなたの罪のために、死ぬために来た方、正しい方が悪い人々の身代わりとなったのですと語るんですね。

聖霊によって死から復活するため

 第二に、聖霊によって死から復活するためにこの世に来られたんです。そして、復活によって死を滅ぼすために来られたんです。私は毎年のように、イスラエルという国に行きます。エルサレムに行くと虐殺記念館という建物があります。そこにはアウシュビッツの原寸大の施設が、一部設置されています。そして有名な絶滅収容所の玄関口に、有名な、有名なことばが、掛けられているんです。「労働はあなた方を自由にする。」という言葉です。一生懸命働けば、いつかここから出ることが出来ると約束したんです。しかし、そんなことは勿論嘘っぱちです。ナチスは一度入った彼らを出すつもりはありませんでした。そんなことをしたら、収容所内部のおぞましい悪行が世界中に知れ渡ってしまいます。この中に入ったものは、二度と出ることが出来ません。それは効率的、計画的にユダヤ民族を抹殺する殺人工場であったからです。しかし、実際にはここから生きて出ることの出来た方々がいました。どうして出ることが出来たんでしょう。話し合いによって理解してもらったんでしょうか。いいえ、ナチスが連合軍に敗北することで、解放されたのです。

死からの解放は死を粉砕することによる

 死からの解放も同じです。人間はどんなに若くて元気な人も、いつか必ず死ぬという点で、死の収容所の中に閉じ込められているのと同じです。そして、多くの人は、「労働があなたを自由にする。一生懸命生きていたら何とかなる。一生懸命修行したら、天国へ行ける。極楽へ行ける。」と偽りの標語に踊らされています。しかし、それは嘘です。死からの解放は死を粉砕することによって初めて可能となるのです。キリストは十字架の上で死なれ、墓に葬られた後、三日目に死を粉砕して、よみがえったのです。「キリストを信じるものは、死んでもまたよみがえる」これが、キリストの約束して下さった救いなんですね。

私たちを神のみもとに導くため

 第三の目的、それは神から離れていた私たち一人一人を神のみもとに導くためです。それまでは、自分のためだけに生きていた人を、神という作者の目的に合致して、この地上生涯を歩むようにさせるっていうんですね。真に意味のある人生に入れて下さるんです。

フランクルという精神科ドクター

 アウシュビッツに収容されたユダヤ人の中に、フランクルというユダヤ人の精神科ドクターがいました。毎日、何千人もがガス室に送られて殺される状況の中で、耐えかねた囚人が彼のところへやってきます。そして、「私は自殺したい。たとえこの虐待に耐えて生き延びたところでどっちみちいつかはガス室へ送られるって決まってるんだから。」そのとき、フランクルはこう言ったそうです。「確かに我々はいつかガス室で殺されるだろう。しかし、君にはお嬢さんがいるじゃないか。彼女はまだこの収容所のどこかで生きているかも知れない。生きている彼女にとっては、君が死なずにいるということが、何より励みとなり、人生の意味となっているんだ。お父さんと生きて再会するんだ。私にはお父さんがいるんだ。ということが彼女の勇気の源となっているんだ。だから、君は殺される日が来るまで一日でも、一時間でも、一分でも長く生き続けるべきなんだ。」

神こそあなたの存在目的

 自分のために生きている人より、愛する人のために生きる方が支えられるんです。あなたには娘さんがいますか、いなくても大丈夫です。神があなたの家族となって下さるからです。神こそあなたの存在目的です。どうぞ、あなたのために天から世に下った救い主イエス・キリストを信じて下さい。心からお勧めしたいと思います。



みぎわ:救いのうた
新約聖書 第一ペテロ3:18
 キリストも一度罪のために死なれました。正しい方が悪い人々の身代わりとなったのです。それは、肉においては死に渡され、霊においては生かされて、私たちを神のみもとに導くためでした。