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Bible & Gospel

No.473 2009年04月19日「自由への道−神への礼拝」

おはようございます、高原剛一郎です

 私は先日、あるご婦人たちの集まりに招かれました。そこで聖書のメッセージをしたのですが、その後で一人の方から質問をいただいたんです。「私はなんだかんだと言っても、人生で一番大切なのは、お金だと思います。お金がないために、賢くても進学出来なかったり、治療を受けられなかったり、みすみすチャンスを見逃さなければならないと言うことがあります。だから、人生で一番大事なのは、結局お金だと思います。違いますか。」って言うんですね。

人生で一番大事なものはお金?

 いや、実にストレートで正直な質問ですね。確かにお金は大事です。実は人間というのは、金の使い方でその人柄をはかることが出来るんですね。何にお金をかけるか、何にお金を出し渋るか。まとまったお金が出来たときに、それをどこに回すのか。返済に使うのか。遊びで散財してしまうのか。お金というのはその人の人間性をトレーニングするものにもなるんですね。お金をマネージメント出来る人は人生をマネージメント出来る人です。そういうわけで、お金はすごく大事なものなんですね。

一番大事にしているものによって支配される

 しかし、人生で一番大事にしてしまうと、その人を支配するものに早変わりしてしまうんですね。お金をマネージメントするのではなく、お金にマネージメントされる人になりはててしまうんです。というのは、人間というのは、自分が一番大事にしているものによって、支配されてしまうからです。お金が自分の人生の神になるとどうでしょうか。持っているお金の増減によって、幸せになったり、不幸せになったりします。他人との比較に走りがちになります。ある場合は、お金のために不道徳なことをしてしまいます。お金に人生をコントロールされる人間になってしまうんですね。

人生で一番大事なものは子供?

 人生の中で一番大事なものは、子供だという人もいますね。子供は親にとって本当に大切です。子供のためだったら、自己犠牲をいとわない親は多いと思います。しかし、子供を人生の中で一番大事なものにしてしまうと、悲劇が起こるんですね。なぜならそういう親は子供を通してでないと生きることが出来なくなるからです。子供の成績の出来不出来で機嫌がよくなったり、悪くなったりします。そして子供を自分の意のままにしようとするのです。

ダニエル・シュレーダーという人物

 精神分析の創始者であるフロイトの患者の中に、ダニエル・シュレーダーという人物がいました。彼は裁判官を務めたほど頭脳明晰な人物なんです。しかし、42才の時にパラノイヤーという精神病を発症してしまいます。その原因は幼少期に厳格な父親から受けた教育にありました。シュレーダーは自ら回想録を書いたんです。この回想録を材料にして、多くの学者が分析を加えたんですが、その中に「魂の殺害者」というレポートがあります。それによると、シュレーダーの奇妙な告白には一つ一つ根拠があるって言うんですね。例えば彼は自分の目を小人が開け閉めするって言うんです。なぜそんなことを言うんでしょうか。彼が少年時代、彼の父親は息子が勉強中居眠りしたりしないようにまぶたを引っ張り上げる機械を作って彼に装着させてたんですね。それだけではありません。いすに座っている時、きちんと座らせるために、背筋を伸ばす機械を作り出しました。また眠っているときには棺桶に収納されたように、まっすぐに眠らせるために、特別な装具をつけさせたんです。シュレーダーの精神と肉体は、彼の父親によって、がんじがらめに縛り付けられていたんです。

シュレーダーにとっては不幸だった父親の愛

 ところで、父親はなぜそんな異様なことを息子に課したのでしょうか。息子が憎かったんでしょうか。いいえ、愛してたんです。お父さんは、ドイツの有名な教育学者だったんですね。それで自分の息子には、世界一立派な大人になってほしいと心の底から願っていたのです。息子は父親にとって、人生で一番大事な存在でした。ですから決して手を抜くことが出来なかったのです。しかし、このことはシュレーダー自身にとっては不幸以外のなにものでもありませんでした。子供の上に自分の人生やアイデンティティーを築き上げていこうとすると、子供に対して支配的になります。意のままにならないと虐待します。そして、このようにして育った子供は、やがて親を憎むようになるか、自分というものを持たない大人になるかのどちらかです。

人生で一番大事なものは友達?

 人生で一番大事なものは、友達だという人生観も一般的には美化されていますね。確かに友達は大事です。私自身、自分の人生から友達という存在を差し引いたら、とっても貧弱なものになるのは間違いありません。しかし、友達もまた人生の土台には出来ないものです。友達至上主義の人は、その友達の発言や行動に過剰反応してしまうからです。「自分が友達にどう思われているか」ということについて、気になって気になって仕方がなくなります。友達を失わないようにするため、自分であることを止めてしまいます。そして、友達にもそれと同じことを求めるようになりがちです。友達が自分以外に親しい友達を持つことを禁じたりします。友達の自由な行動によって、振り回されます。どうしてそうなるんでしょう。精神が友達によって支配されてしまうからです。

良いものを最も良い方と交換して拝むことは偶像礼拝

 人間は、自分が一番大事にしてるものによって、支配されるのです。そして、この一番大事にしているもののことを聖書は偶像と呼ぶんですね。そして、この偶像に支配されている状態を偶像礼拝の状態と語るんです。そして、この偶像礼拝の状態を最大の罪と語るのです。罪とは一体何でしょう。良いものを最も良い方と交換して拝んでしまうことなんです。お金も、家族も、友達も、仕事もみんな大切で良いものだと思うんですね。しかし、それを最も良い方、至高なる方、あなたという人間を造り出した神と交換するということは罪なのです。罪とはあなたの創造主以外のものの上に自分の人生を築き上げることなのです。

 聖書はこう言っています。
「あなたには、わたしのほかに他の神々があってはならない。あなたは自分のために偶像を作ってはならない。それを拝んではならない。それらに仕えてはならない。」と。

まことの神を礼拝する人生

 これは、あなたの造り主である神のことばです。なぜ神様は偶像礼拝を断罪したのでしょうか。それは、人間を何かの奴隷にしていく道につながっているからです。実は人間が人生の中で、一番大事にしても決して自己の尊厳を失うことのない対象が一つだけあるんですね。それはまことの神を礼拝する人生です。あなたの造り主はこの全宇宙を造られた至高の存在です。この創造主を人生の主人とすることは、この神によって支配されることです。言いかえれば、全知全能の神以外のすべてのものから支配されない人生なんですね。

立ち返る道はただ一つだけ

 たとい一文無しになり、子供が自分の願わぬ方向へ進み、友人が独自の道に行ったとしても、それに翻弄されない人生です。神の主権を信じる人生に、敗北はないんですね。この神の元に立ち返ることは人生の回復です。そして、立ち返る道はただ一つだけ、神が遣わされた救い主イエス・キリストを自分の主として受け入れることです。どうぞあなたもイエス・キリストを救い主として、心に信じ受け入れて下さい。心からお勧めしたいと思います。



大和田広美:You are Precious in My Sight
旧約聖書 出エジプト記20:4
 あなたは、自分のために、偶像を造ってはならない。上の天にあるものでも、下の地にあるものでも、地の下の水の中にあるものでも、どんな形をも造ってはならない。