#959 魂の名医イエス・キリスト

メッセンジャー似顔絵

おはようございます、高原剛一郎です。

さて私は先日、ロビンソンクルーソー漂流記の要約版を読み、感動しました。
実はこの物語は、実在の人物アレクサンダー・セルカークという人をモデルにしたお話なのです。
彼は船長に反抗的になるあまり、無人島に置き去りにされてしまうのです。彼の手元に残ったのは、二日分の食料とナイフやランプ、そして聖書だけでした。
かつてこの島に流れ着いた人々はみな、死に絶えていました。
しかし彼は、このどん底の中で生き延び、そして聖書を読むのです。それは文字や英語を忘れないように、頭の体操として読み始めるのです。
しかし読み進めて行くうちに、聖書の言葉が自分への神の語りかけとして響いてくるようになったんです。
そして聖書の中の多くの慰めの言葉により、彼は正気を保つことができたのです。

カット

ロビンソン・クルーソー

イエスは罪人とともに食事をされた

さて、聖書の中にイエス・キリストが語られた、罪人への励ましの言葉があります。今日はそのみことばを解説してみましょう。
ある時、皆から軽蔑されていたはみ出し者たち、がイエス・キリストとともに食事をしていました。するとまじめな人たちは、それを見て批判しました。
「あんな不道徳な連中と平気でつき合うとは何事か」というわけです。そこでイエスは答えて言われました。
「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるために来たのです。」
ここでキリストは罪人を病人になぞらえ、キリストを医者にたとえてお話しされました。どういう意図があったんでしょう。

病気を持っていても自覚がない時がある

第一に、深刻な病気は人をむしばみ、最後に死に至らせるように、罪は人を神から引き離し、永遠の死に至らせる深刻な事態であるということであるからです。
ところでひとことで病人と言っても、自覚のある病人もいれば、自覚のない病人もいますね。
私は10年ほど前、帯状疱疹という病気になり、大変困りました。旅先で発症したんですが、とっても痛かったんです。
体の半分にブツブツができるんですが、まるで剣山でも押し付けられているような感覚です。
病院に行って原因を聞きました。「こんなウイルス、いつ入ったんでしょう?心当たりがありませんが」と言ったんです。
するとお医者さんは「子供のころ水疱瘡になったでしょが、弱ってくると表面に出てきて活動するんです。
、一度水疱瘡になると、ウイルスは一生体の中に潜伏しているんですよ」と教えてくださったんです。
抵抗力のある時は、ウイルスは静かにしているんです。
私たちは元気な時は病気の原因が寄り付かないと思って生活していますが、実はミクロの単位で見るなら、どんな健康体に見える人の中にも、病気の原因となるものは住みついているのです。
つまり病人は、一目で病人とわかる人と、病人には見えないキャリア、の2種類があるのです。
人の目にはよい人と悪い人、正しい人と罪深い人の2種類がいるように見えますが、神の目にはすべての人は、霊的な病人、罪人なのです。
そして神から離れるこの罪のゆえに、人は死に至るのです。

麻薬にまみれたポルトガル

第二に、キリストはご自分を医者になぞらえたのは、罪人をありのままで近寄らせるためなのです。
ヨーロッパにポルトガルという国がありますが、この国は20世紀に入って、ヨーロッパでもっとも長く独裁体制下にあった国です。
約60年間、言論の自由もなく、軍事独裁政権下で非常に弾圧されていた時代がありました。
ところが1974年のクーデターによって、とうとう独裁体制は終わります。国民はこれまで経験できなかった自由を手に入れます。
検閲は廃止され、選挙が実施され、何よりもアフリカでの植民地戦争が終わったのです。
しかし、これによって新しい問題がポルトガルに起こったのです。麻薬に対する考えが緩くなってしまうんですね。
さらに旧植民地からは100万人もの移民が殺到し、人口が増加すると同時に、経済はひどい不況に陥ってしまうのです。
そこへアフガニスタンやパキスタンから、麻薬が押し寄せてきたのです。
イベリア半島の先端にあるポルトガルは、麻薬取引の玄関口になり、取り締まっても取り締まっても、薬物が入り込んでくるのです。
そして90年代に入ると、なんと国民の1パーセントがヘロインの使用者となってしまうのです。

思い切った麻薬対策

罰を重くしても、問題は一向に解決しませんでした。というのは、取り締まりが厳しくなればなるほど、使用する人々はますます隠れて使うようになったからです。
このままでは国家は崩壊します。その時この問題に立ちあがったのは、麻薬治療の専門医グォラオという人でした。
彼は思い切った手を提案し、それが採用されるのです。そしてなんとポルトガルは、2001年7月1日麻薬を非犯罪化した最初の国になったのです。
麻薬はもちろん違法ですが、少量であれば所有していても逮捕されないという法律を作ったのです。
それは麻薬を大目に見るためではなく、使っている人々を治療に呼び込むためです。
今までは治療を申し出るやいなや、投獄されてしまったんです。そこから立ち直りたいという思いはあっても、告白することはできなかったんですね。
この非犯罪化まで、麻薬撲滅の予算の9割は取り締まりに使われて、医療は一割だけでした。しかし非犯罪化により、9割が医療に1割だけが取り締まりに使われるようになったのです。
どういうことでしょう。たった10年で麻薬のリハビリを受ける人が4.5倍に増え、使用する人々が半分になったのです。
今や麻薬で命を落とす人は、100万人中6人で、これは西洋で最も少ないのです。

罪人を責めるのではない

どうして麻薬依存者が、かくも劇的に減ったんでしょう。本当のことを告げた時、さばきではなく、治療が始まることになったからです。
つまり隠す必要がなく、逃げる必要がなくなったのです。
麻薬使用者は、そのままの状態で当局に打ち明けることができるのです。
病人が病院へ行った時、病気になったことを責め立てる医者はまずいないでしょう。医者は責めるためではなく、癒すためにいるのです。
そのようにキリストは罪人を責め立てて、さばき、のろうために来られたのではなく、罪人を赦し、受け入れ、再び立ち上がらせるために来られた救い主なのです。

魂の医者にゆだねる

第三に、キリストは薬で私たちの罪を赦したのではなく、ご自身の身に私たちの罪という病を背負って、引き受け、死んでくださることにより、また三日目に復活することによって罪の赦しをもたらしてくださった方なのです。
時に新しい伝染病などが猛威を振るう時、恐るべき現場に乗り込んで解決に取り組んでくださるドクターたちがいますね。ほんとに頭が下がります。
というのは、しばしばその解決のプロセスの中で、医者自身が病に倒れることがあるからです。
エイズが発見されて、世界中に広がって行った時にも同じことが起こりました。実はエイズで死んだ最初のイギリス人の医者は、働き盛りのクリスチャンでした。
彼はジンバブエで細菌の研究に携わっている間に、エイズに感染したのです。
末期症状の中で、彼のコミュニケーション能力は日ましに衰えていき、妻に意思を伝えることもできなくなっていったのです。
ある時彼は自分の思いをどうしても伝えたくて、メモ帳に“J”というアルファベット文字を書きました。
妻は医学事典を取り出して、“J”で始まる用語を探して示しましたが、そういうことではありませんでした。
妻は「もしかしてジーザスのこと?」と訊くと、彼はうなずいたのです。いのちが体からまさに離れようとなった時「自分にはジーザスがいるから大丈夫なのだ」ということを伝えたかったのです。
なぜならこの方こそ魂の医者であり、罪人を天国に迎えることのできる唯一のお方であるからです。
どうぞあなたもキリストを救い主として受け入れてください。心からお勧めします。


使用CDジャケット
向日かおり:その翼

今日のみことば
そこで、イエスは答えて言われた。「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるために来たのです。」
(ルカ5:31-32)